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亜樹:風呂にて

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「奈津、お風呂の用意できたよ?」

「や、俺はいいわ」
奈津はひょいと手を振って、階段をのぼっていった。


もう寝るのかな?
さすがに疲れたのかもしれない。

空港からここまでの移動だけじゃなく、外に買い物に行って。
わざわざ手料理まで作ってくれたのだから。


せっかくお湯を張ったので。
眼鏡を置き、服を脱いで、浴室に入った。

すると、奈津が後から入ってきた。


「え? やっぱり入るの?」
「……久しぶりだし、背中でも流し合おうぜ」
と、椅子に座らされた。


大きくなったのに、銭湯でもなく、一緒にお風呂に入るなんて恥ずかしいけど。
まあ、20年ぶりの兄弟再会だし。

お風呂くらい、いいか。


◆◇◆


「っ、」

ボディシャンプーのついた手が、背中を滑った。
え? タオルは?

「ちょ、え、素手で洗うの?」

「フツー、素手じゃね?」
奈津は当然のようにしてるけど。

普通は、素手で洗うものなのか?
僕は今まで、粗めのタオルで洗ってた。

……でも、確かにTVのCMだと、確かに素手で洗っているような……?


「亜樹、こんな小さかったんだな」
笑いながら、背中を洗われる。

意外に優しい手つきだ。
いや、見た目が変わっただけで、中身は変わっていないのかも。

「奈津が大きくなったんだよ」
「……そうかもな」


腕や、手まで。
指の間も、丁寧に洗われて。

「ほら、ちっちぇえ手」
手を合わせた。

確かに、ふたまわりは大きそうだ。

本当に、大きくなったんだな。
僕よりも、大人みたい。


大きな手が、胸やお腹を、撫でるように洗っていく。
くすぐったい。

……その下は、さすがに困る。


「え、も、もういいから、交代!」

泡を流して。
奈津を椅子に座らせた。


◆◇◆


僕よりも、広い背中。

父よりも背が高いし、大きくなってると思う。
こうしてみると、改めて、大人になったんだな、と実感する。

最後に見たのはまだ6歳の時だったし、当たり前か。


ボディシャンプーを手に取り、泡立てて。
奈津の背中を洗ってやる。

……体温が高いのか、あったかい。

引き締まった身体。
鍛えてるのかな? どこにも無駄な贅肉が無い。

まるでギリシャ彫刻みたいな、綺麗な身体だ。
こんなに見事な身体だと、デッサンしたくなってしまう。

デッサンモデルになって、って頼んだら、してくれるかな?
眼鏡を外してしまったせいで、細部がよく見えないのが残念だ、とか思ってしまった。


「くすぐってえよ。もっと強くやってくれ」
文句を言われてしまった。

「ええ~」

力を入れて、ごしごし擦ってみる。
こうして触れていると、張りのある身体が、よくわかる。

「何か、スポーツでも、してたの?」
二の腕を洗いながら、聞いてみる。

「いや、ジムに通ってたくらいだ」

ボクシングジムみたいのを想像したけど。
よく話を聞けばフィットネスジムらしい。水泳や、トレーニングマシンで鍛えたという。


「それでこんないいカラダになるんだ。僕も通ってみようかな」
「亜樹には無理だろ」

ばっさり言われた。ひどい。

ジムに通える根性があったらこんな我儘ボディになってないって?
反省してます……。


◆◇◆


後ろから前を洗うのは難しそうだったので、前に回ると。

「……そういや、さっきここ・・も、洗ってなかったよな?」
奈津はボディシャンプーを手に取り、泡立てて。

「ひゃ、」
お尻を掴まれた。


「やらけー尻。オンナみてえ」
むにむにと揉みながら、笑ってる。

「し、失礼なこと言うな、」
さすがにそこまで脂肪はついてない。と思う。


「わ、」

ぐい、と引き寄せられて。
奈津の膝の上に乗り上げるかたちになる。

「……フーゾクとか、行ったことあるか?」
「へ?」

胸に、ボディシャンプーを塗りつけられて。
熱い胸に抱き寄せられた。


こういう・・・・サービス。知らねえ?」
と。

胸板で、胸を擦られる。
ぬるぬるして。変な感じだ。

こういうサービスって。
いったい、どんなサービスだよ!?


「し、知らない、フーゾクとか、行ったことないし、」
「へえ? そうなんだ」

奈津は、自分の足にもボディシャンプーを垂らしたと思ったら。
僕のお尻で、自分の足を擦るように動かした。

「ひゃ、ちょ、そ、それまずい、」

硬い大腿筋や腹筋で、股間も擦られてしまって。
ぞくぞくしてしまう。


そういえば、しばらくなかったことを思い出す。

その気になれなかったのもあって。
すっかり枯れたものだと思っていたのに。


◆◇◆


「あ、」

熱い。
と思ったら。

奈津の性器が。僕の足に触れていた。


……うわ、大きい。

腹につきそうなほど、そそり立って。
僕のと、全然違う。兄弟なのに。


ぎゅっと抱き締められて。
僕のお腹で、大きなを擦っている。

何、これ。
どうして、こんな。


僕のも。
奈津の腹筋で擦られて。

これ、すごく。


「ひっ、」

ぬるり、と。
お尻の間に指が滑らされた。

そんなところ。
どうして。


「……も、綺麗に洗ってやるからな?」

やけに色気のある声が。
耳元で。


「俺の、ナマで突っ込んでも、大丈夫なくらい」


◆◇◆


「ひっ、……っ、や、あ、」

風呂場に、やけに響く。
僕の声と。

くちゅくちゅと、お尻のナカを弄る音。

何で?
どうして、こんな。


「も、やだぁ、」

何度も、ナカを洗われて。
ぬるま湯で流されて。

排泄を見られるような、恥辱を覚えた。

皮も。
奈津の。弟の手で剥かれてしまった。屈辱だ。


シャワーで身体を流して。
奈津は僕を抱いたまま、浴室を出た。

タオルで包まれて。

軽快に階段を上がっていく。
腕力もそうだけど。脚も、凄い力なんだろう。鍛えているから?


向かっているのは、自分の部屋ではなく。

僕の、前の部屋……?


ベッドには、ボトルとボックスティッシュが置かれていて。
ボトルのラベルには、ラブローションと書かれていた。……ラブ?


そして、奈津は言った。

「……20年、待った。約束通り、あんたをもらう」
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