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ハムサ国にて
次の国へ
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「ミズキ……、もう、嫌か?」
耳元で囁かれる。
え、まだ、したいの!?
もうお腹いっぱいに出したのに!
「挿れるだけで良い。駄目か?」
そう言って。
お腹を撫でる手が、やたらエロいんだけど。
いや、絶対それ、挿れるだけじゃ済まない流れだよね!?
次は動いていいか? になる流れだよね?
でも。
「いいよ、して?」
アーディルの手に、自分の手を重ねる。
「ああ、……ミズキ……愛している。私の可愛い小鳥」
ぎゅっと抱き締められて。
後ろから、熱いのを押し付けられた。
結局俺も、アーディルのお願いを拒めないのだった。
だって、何をされても気持ち良いし。
アーディルのこと、愛してるんだもん。
†††
翌朝。
セーレムが朝食に、と果物や焼き魚を持ってきてくれた。
今朝捕まえたばかりの採れたてだそうだ。
俺が教えた、網での漁を試してみたんだとか。
広大な湖は、ここの国民全ての腹を満たして尚、有り余るほど多数の魚が泳いでいるという。
オアシスには食用の植物もあるし。
この国の食糧問題も無事解決したようで、良かった。
国を出る時には、ヤスミン王子や国民たちだけでなく、すっかり元気になったナエフ王まで見送りに出てきてくれた。
「まるで若返ったようで、身体の調子が良いのです。これもすべてマラーク様のもたらされた”おフロ”のお陰でしょうな。まだまだこれに王位を譲らなくとも、現役で行けそうです」
笑顔で背筋を伸ばして立っている。
なんと、お風呂に入ったらよく眠れるようになった上に、腰の具合がすっかり良くなったとか。
血行が良くなったのかな……?
「さすが、マラーク様のお造りになった”フロ”ですね。素晴らしい薬効です」
ヤスミン王子も感動していた。
どうやらあの青白いお湯には、腰痛や筋肉疲労に効く温泉効果もあったようだ。
まあ、喜んでくれたなら何よりだ。
「我が妃の望み通り、全ての国に”フロ”を伝えていくつもりだ」
アーディルは使命感を抱いているようだ。
いや、無理に全部の国に広めなくても……。別に、押し付けるつもりはなくて。
気に入ってくれたらいいな、程度なんだけど。
「わたくし、陰ながら応援しております!」
ヤスミン王子に、力強く応援されてしまった。
「あ、ありがとう。頑張るね」
†††
次に向かうのは、ワーヒド国などがある大陸の、隣にある大陸。
そこの最北端にあたる、サブア国だ。
距離としてはアルバ国からハムサ国と変わらないので、また途中で野営することになる。
世界地図に例えていえば、ワーヒド国がある辺りはモンゴルかな?
でもって、イスナーンはカザフスタン、サラーサ国はネパール、アルバ国がタイ、ハムサ国はロシア辺りになる。
これから行くサブア国は、だいたいカナダに相当する位置だと思う。
ついでに言えばスィッタ国はオーストラリア、サマニア国がメキシコ、ティスア国はブラジル。
最後に行く予定のアシャラ国は南極大陸になるのかな?
最北端に相当する場所には昔、スィフルという国があったらしいけど。
残念ながら、もう滅亡してしまったらしい。
大体の感じなので、ぴったりその場所にある訳じゃないけど。
そういう風に考えておくと、海が出来た後のイメージがしやすいと思う。
今の所、海が出来たらこの世界が全体的に冷える”かもしれない”っていう予想をしてるだけだけど。
実際にどうなるかは、まさに神のみぞ知る、だ。
でも、このまま放っておいたら、この世界は確実に渇いていって。
生物はただ死にゆくだけだ。
寿命がどれくらいかわからないけど。
この世界で、俺が生きて動ける間にどうにかしないと。
神様だって、ただ単に幸せに生きろ、というだけのノープランでこの砂漠の世界に送った訳ではないだろう。
こんな、チート級のとんでもない能力を授けたからには、それが可能な能力があればこの世界のことを何とかするだろう、って期待もあった……と思いたい。
まさか、救うのに失敗した時のための、”一回だけのリセット”じゃないよな!?
†††
「ミズキ、この辺りで休憩を入れるぞ」
アーディルの声で、思考が現実に戻された。
お昼休みか。
「じゃ、この辺にオアシス作るね」
ええと、この辺は世界地図で言うと……アラスカ州辺りかな?
海には沈まないだろうから、大きめに作っちゃおう。
アラスカって、何があったっけ? 地理はさっぱりだ。
まあいいか。
「これは、初めて見る木だな?」
アーディルが、不思議そうにオアシスを見ていた。
あっ、いけね。
また、うっかり針葉樹林で作っちゃった。
まだ気が早いよ。枯れないといいけど。
ここの針葉樹林たちにも、しばらくがんばってもらおう。
「ええとね、この木の幹に傷をつけると、甘い樹液が出るんだ」
白樺と、サトウカエデ。甘味料になる。
木に傷をつけるのは可哀想な気がするけど。ゴムとかもそうやって採取するもんだしな……。
「ほう。この木を、ワーヒド国に植えることは?」
甘味料はこの世界でも貴重なものみたいだし。アーディルも欲しいのかな?
「うーん、試してみてもいいけど。これはあったかい国の木じゃないから、どうかなあ」
ハムサ国の湖周辺にも生やしたから、頼んで採取してもらって、取引してもいいかも。
とかいう話をして。
休憩の間、樹液を採取してみた。
取れたのは少しだけど。皆大喜びだった。
皆で舐めてたら、すぐ無くなっちゃった。
聞けば、この世界では塩よりも砂糖の方が貴重だそうだ。
だったら、ワーヒド国でも育てられる砂糖を考えないと。
耳元で囁かれる。
え、まだ、したいの!?
もうお腹いっぱいに出したのに!
「挿れるだけで良い。駄目か?」
そう言って。
お腹を撫でる手が、やたらエロいんだけど。
いや、絶対それ、挿れるだけじゃ済まない流れだよね!?
次は動いていいか? になる流れだよね?
でも。
「いいよ、して?」
アーディルの手に、自分の手を重ねる。
「ああ、……ミズキ……愛している。私の可愛い小鳥」
ぎゅっと抱き締められて。
後ろから、熱いのを押し付けられた。
結局俺も、アーディルのお願いを拒めないのだった。
だって、何をされても気持ち良いし。
アーディルのこと、愛してるんだもん。
†††
翌朝。
セーレムが朝食に、と果物や焼き魚を持ってきてくれた。
今朝捕まえたばかりの採れたてだそうだ。
俺が教えた、網での漁を試してみたんだとか。
広大な湖は、ここの国民全ての腹を満たして尚、有り余るほど多数の魚が泳いでいるという。
オアシスには食用の植物もあるし。
この国の食糧問題も無事解決したようで、良かった。
国を出る時には、ヤスミン王子や国民たちだけでなく、すっかり元気になったナエフ王まで見送りに出てきてくれた。
「まるで若返ったようで、身体の調子が良いのです。これもすべてマラーク様のもたらされた”おフロ”のお陰でしょうな。まだまだこれに王位を譲らなくとも、現役で行けそうです」
笑顔で背筋を伸ばして立っている。
なんと、お風呂に入ったらよく眠れるようになった上に、腰の具合がすっかり良くなったとか。
血行が良くなったのかな……?
「さすが、マラーク様のお造りになった”フロ”ですね。素晴らしい薬効です」
ヤスミン王子も感動していた。
どうやらあの青白いお湯には、腰痛や筋肉疲労に効く温泉効果もあったようだ。
まあ、喜んでくれたなら何よりだ。
「我が妃の望み通り、全ての国に”フロ”を伝えていくつもりだ」
アーディルは使命感を抱いているようだ。
いや、無理に全部の国に広めなくても……。別に、押し付けるつもりはなくて。
気に入ってくれたらいいな、程度なんだけど。
「わたくし、陰ながら応援しております!」
ヤスミン王子に、力強く応援されてしまった。
「あ、ありがとう。頑張るね」
†††
次に向かうのは、ワーヒド国などがある大陸の、隣にある大陸。
そこの最北端にあたる、サブア国だ。
距離としてはアルバ国からハムサ国と変わらないので、また途中で野営することになる。
世界地図に例えていえば、ワーヒド国がある辺りはモンゴルかな?
でもって、イスナーンはカザフスタン、サラーサ国はネパール、アルバ国がタイ、ハムサ国はロシア辺りになる。
これから行くサブア国は、だいたいカナダに相当する位置だと思う。
ついでに言えばスィッタ国はオーストラリア、サマニア国がメキシコ、ティスア国はブラジル。
最後に行く予定のアシャラ国は南極大陸になるのかな?
最北端に相当する場所には昔、スィフルという国があったらしいけど。
残念ながら、もう滅亡してしまったらしい。
大体の感じなので、ぴったりその場所にある訳じゃないけど。
そういう風に考えておくと、海が出来た後のイメージがしやすいと思う。
今の所、海が出来たらこの世界が全体的に冷える”かもしれない”っていう予想をしてるだけだけど。
実際にどうなるかは、まさに神のみぞ知る、だ。
でも、このまま放っておいたら、この世界は確実に渇いていって。
生物はただ死にゆくだけだ。
寿命がどれくらいかわからないけど。
この世界で、俺が生きて動ける間にどうにかしないと。
神様だって、ただ単に幸せに生きろ、というだけのノープランでこの砂漠の世界に送った訳ではないだろう。
こんな、チート級のとんでもない能力を授けたからには、それが可能な能力があればこの世界のことを何とかするだろう、って期待もあった……と思いたい。
まさか、救うのに失敗した時のための、”一回だけのリセット”じゃないよな!?
†††
「ミズキ、この辺りで休憩を入れるぞ」
アーディルの声で、思考が現実に戻された。
お昼休みか。
「じゃ、この辺にオアシス作るね」
ええと、この辺は世界地図で言うと……アラスカ州辺りかな?
海には沈まないだろうから、大きめに作っちゃおう。
アラスカって、何があったっけ? 地理はさっぱりだ。
まあいいか。
「これは、初めて見る木だな?」
アーディルが、不思議そうにオアシスを見ていた。
あっ、いけね。
また、うっかり針葉樹林で作っちゃった。
まだ気が早いよ。枯れないといいけど。
ここの針葉樹林たちにも、しばらくがんばってもらおう。
「ええとね、この木の幹に傷をつけると、甘い樹液が出るんだ」
白樺と、サトウカエデ。甘味料になる。
木に傷をつけるのは可哀想な気がするけど。ゴムとかもそうやって採取するもんだしな……。
「ほう。この木を、ワーヒド国に植えることは?」
甘味料はこの世界でも貴重なものみたいだし。アーディルも欲しいのかな?
「うーん、試してみてもいいけど。これはあったかい国の木じゃないから、どうかなあ」
ハムサ国の湖周辺にも生やしたから、頼んで採取してもらって、取引してもいいかも。
とかいう話をして。
休憩の間、樹液を採取してみた。
取れたのは少しだけど。皆大喜びだった。
皆で舐めてたら、すぐ無くなっちゃった。
聞けば、この世界では塩よりも砂糖の方が貴重だそうだ。
だったら、ワーヒド国でも育てられる砂糖を考えないと。
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