ドSワンコとクズ眼鏡

うさき

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 手を繋いだり触れたりするだけではやはり終わらず、結局唇を奪われて押し倒される。
 まあ七海に我慢しろという方が無理か。

 キスをされながら好き放題に触られ、グズグズになってもなお七海は俺を愛することをやめなかった。
 好きという気持ちは恐ろしいほどに劇毒だ。
 その笑顔を見る度に、手が触れる度に、視線が合う度に苦しくて堪らないほど心臓が震える。

「――っあ…ぅ…っ」

 七海のモノを受け入れて、忙しなく息をしながら目の前の身体を手繰り寄せる。
 苦しいはずなのに、身体は驚くほど快感を生んでしまう。
 こんな感覚七海に会うまで知らなかったのに、今では当たり前のように身体が受け入れている。

「…っはぁ、今日は…やめろって言わないんですね」

 余裕なく肩で息をしながら、七海が俺の顔を覗き込む。
 
「い…言ったらやめるのか」
「ん、無理です。言わないで」

 そう言って甘えるように鼻先を擦り付けられた。
 くすぐったさにふふ、と息を漏らしてしまう。
 この間のようなどこか焦った抱き方ではなく、今日は酷く甘えるように俺を求めてきて堪らなく可愛いなんて思ってしまう。
 
 こんな俺より図体のデカい男を可愛いと思ってしまうなんて、俺の感性はついに七海に壊滅させられてしまったらしい。
 子犬のような仕草に油断をしていたら、不意に腰を揺さぶられて高い声が漏れる。

 七海の表情がどこか余裕なく変わり、俺を見下ろす視線に匂い立つような色気が宿る。
 俺が快感を覚えているのをいいことに、容赦なくガツガツと腰を打ち付けてきた。
 
 熱いそれが奥へと叩きつけられる度に、こらえきれない声が勝手に口から漏れてしまう。
 覆いかぶさってきた七海に唇を塞がれ、そうしてまた身体を貪られる。
 
 身体が灼けそうだ。
 ビリビリと指先まで痺れるような快感とむせ返るような甘い空気に、もう目が回りそうだった。

「…っあ、七海。もう――」
「はぁ…イきますか?俺ももうやばいです。みーちゃん、今日は中に出しますね」
「んっ、な、中…って――っあ、ふぁッ」

 聞き返している暇もなく、激しく腰を揺さぶりながら七海が苦しそうに眉根を寄せる。
 そんな表情にすらゾクゾクと身体が煽られてしまう。

「…っそんないきなり締め付けないで下さいよ。中出し嬉しいですか?」
「やっ…何言って…ッ」

 否定しようとしたが、堪らない快感が昇り詰めてくる。
 タイミング良く七海に自身を扱かれて、意識が白んでいく。

「はぁ…っ、イく、出しますね。みーちゃんの中に全部出しますから…っ」
「あっ、やッ――ぁあっ」

 ドクドクと叩きつけられるような熱い感覚を、いっぱいに身体の奥に感じる。
 同時に俺自身も、七海の手の中に勢いよく熱を吐き出していた。



 一回で終わるはずもなく案の定好き勝手に身体を弄ばれ、調子に乗ったように何度も中に出された。
 よく考えればありえないことなのだが、家でするより圧倒的に俺達は学校で身体を重ねた回数のほうが多い。

 今まで中に出されたことはなかったが、一応アイツなりに気遣っていたのか。
 いやそんな気遣いするなら学校でそんな行為をするな。

「ほら、中に出したの掻き出さないとお腹壊しますよ」
「さ、触るなっ。自分でやるっ」

 そして俺達は今そんな押し問答を風呂場でしている。
 必死に抵抗しようとするが、例のごとく腰が痛い。
 結局七海に抱きしめられながら後処理をされる。
 
「――っん」
「…エロい声出さないで下さいよ。ムラムラしてきました」
「おいっ」

 今したばかりだろうが。
 怪しい手が俺の尻を撫でたが、パシリと慌てて払う。
 七海は気分を害するでも無く、ずっと嬉しそうに表情を緩めたままだった。
 
「じゃあお腹すきました。みーちゃんヘロ眼鏡さんなんで俺がご飯作りましょーか?」
「ふざけるな。お前の焦がしたカレーを食べ切るの大変だったんだからな」
「あれ、でも全部食べてくれたんですね」

 それは料理しない奴が一生懸命作ってくれたと思えば、捨てる気になんてならない。
 ただし不味かったが。
 
「ちゃんと俺が作るからお前も風呂に入れ。23時過ぎるからもう外には出るなよ」
「はーい」

 七海は子供らしく良い返事をして、だがもう一度ギュッと俺を抱きしめた。
 
「…みーちゃん、ありがとうございます」

 そっと耳に落ちてきた言葉に、じわりと心が溶かされていく。

 俺は少しでも七海の癒やしになれたのだろうか。
 家庭事情のことはきっとまだ根深く七海の心にあるだろうが、当たり前のようにコイツが甘えられる場所を作ってやりたいと思ってしまった。

 応えるように大きな背中を撫でてやりながら、そっと自分の中で一つの決意をした。
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