ドSワンコとクズ眼鏡

うさき

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 生徒指導室に入ったら、即七海に後ろから抱きしめられた。
 しかもご丁寧にガチャリと後ろ手で内鍵を閉める音までして、ギョッとする。
 
「ちょ…っ待て、変な真似するなと言っただろう。俺はお前と話をしにきたんだ」
「お説教ですよね?ちゃんと聞きますよ」
「そ、それは聞く態度じゃないだろう」
「大丈夫です。終わってから全部聞きますから」

 何が大丈夫なんだ。
 いやその前に何を終えるつもりなんだ。
 体格差のせいもあって後ろから抱き込まれてしまうと身動きが取れない。
 当たり前だが、男の力だ。
 
「…いい加減に――」

 顔を振り向かせたら、伸びてきた片手に頬を取られる。
 そのままぐいと上向かされて唇を奪われた。

 有無を言わせず入り込んできた舌に、何より先に罪悪感が込み上げる。
 俺はまたしても生徒とこんなことをしてしまった。
 慌ててその胸を押したが、口の中を這う舌にうまく呼吸が出来ない。

「――っん」 

 強引に舌を絡め取られて、身体がビリビリと痺れる。
 昨日されたことを身体が思い出すように、熱を持って疼くような感覚が次々と込み上げてくる。

 やっぱりコイツ、手慣れている。
 簡単にこういう事をする奴だから、きっといろんな奴にやっているんだろう。

 頭の片隅でそう思いながらも、巧みな口付けに翻弄されてしまう。
 慣れないキスに酸欠になり、ふわりと意識が浮く。

 ああ、くそ。
 また何も考えられない。

「…はぁ…っは…」

 しばらくの後ようやく唇を離されて、肩で必死に息をする。
 脳が蕩けてしまったように身体が脱力していたが、気付けばしっかりと七海の手に腰を支えられている。

 熱くなった指先が俺の唇をなぞり、目の前の瞳がふわりと優しげに細められる。

「ちゅー好きですか?本当にいい反応してくれますね」
「…あ、ち、違――」

 言われてカッと顔が熱くなる。

 反論しようとしたが身体を反転させられて、壁に押し付けられた。
 硬い壁の感触を頬に感じながら、後ろから伸びてきた手が身体の線をなぞる。
 そのままシャツのボタンを外されそうになり、慌ててその手を掴んだ。
 
「…おいっ、だから話を――」
「はいはい、いい子ですから。暴れないで下さいね」

 そう言って、再び唇を重ねられる。
 なんで俺が子供に子供扱いされなければならないんだ。
 そう思いながらも再び口の中を侵されてしまえば、呆気無く意識を持ってかれてしまう。

 七海の手がシャツのボタンを数個外し、隙間から手を差し入れてくる。
 熱い手のひらがゆるりと身体を撫でた後、キュッと胸の突起を摘まれた。

「――んぅっ」

 キスされてるせいでくぐもった声が鼻から漏れる。
 爪先で引っかかれ、指の腹で捏ねるように何度も責め立てられる。
 口付けだけで十分翻弄されているというのに、堪らなくむず痒い刺激が脳を震わせる。
 
 今更ながらここまできて、ようやく俺は気付いた。
 コイツが俺にしようとしていることに。

「…っあ、だ、ダメだ。さすがにそれは――」
「ん…怖いですか?先生初めてなんで、優しくしますよ」

 言いながら服越しに硬くなったものを腰に押し付けられる。
 生々しい感触に何かを察して、ドクリと心臓が跳ね上がった。

 ――マズい。
 どう考えても、絶対にこれ以上はいけない。
 神谷が昨日職員室で見ていた『30代男性、強制わいせつ罪で逮捕』という文字が頭の片隅に思い浮かぶ。
 
 だが心とは裏腹にドロドロに口の中を犯されると、気持ちよさにとろりと目が潤む。
 自分がこんなに快楽に弱い人間だと思わなかった。

「…っあ」

 あっという間にベルトを緩められ、ズボンへ差し入れられた手が俺の自身を捉える。
 しっかりと俺のソレを握った手のひらは少し汗ばんでいて、吸い付くようなそれに背筋がゾクゾクとした。
 そのままゆるゆると射精させるための動きをされる。

「…ッ……ふ」
「…はぁ、ちゅーしてたら声聞けませんね」
「――っあ」

 先端を指で擦られ、背中がビクリと反り返る。
 元々性欲に関してはタンパクで疎いこともあり、自分でもほとんどしない。
 人にされるなんて以ての外で、強制的に与えられる感覚に瞠目してしまう。
 
 普段しないからこそ、その反動のように簡単に身体が昂ぶっていく。
 あっという間に込み上げた快感に堪らず頭を振った。

「…七海っ、ダメだ。もうやめてくれ…っ」
「早いっすね。もうイキますか?」
「あっ、あっ――も…手、離し…」
「離しませんよ。でももう少し我慢しましょうね」

 根本をキュッと握られて、放ちそうだった熱が身体に籠もる。
 ガクガクと身体が震えて、目尻に生理的な涙が滲んだ。
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