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1章
4B-護衛
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「ーーいや~さっきの君達の音楽凄かったよ~!
僕の名前はクレッチ。パーティのリーダーだ。よろしく!」
奏太達は、先程の冒険者ギルドで自分達の同行権を買ったパーティと共に、馬車に揺られていた。
今回の馬車は剣王軍の時とは違い、随分まともだった。
荷車を曳いているのも、今度は普通の馬だ。
同行している青年の冒険者達も、感じよく爽やかな印象を受ける。
「そういえば今日はどんな討伐クエストなんだ?」
また昨日みたいに危険な目に遭うと困るので、奏太がクエスト内容を確認する。
「うーん、残念だけど、今日のクエストは討伐じゃなくて、護衛任務なんだ。
あ、向こうにいる馬車がその依頼主だよ。」
目を向けると、そこには豪勢な馬車が停まっていた。周りには兵士らしき人物が数十名程構えている。
一体誰を護衛するというのだろうか。
いかにも凡人ではなさそうな雰囲気に、奏太は緊張を覚える。
奏太達の馬車が停車すると、クレッチ達は即座に高級馬車の元へと駆け寄り、膝を付いて控える。
すると、馬車から見覚えのある人物が降りてきた。
あっ! あれはまさかーー
「この度は我々が旅の護衛をお勤め致します、国王陛下。」
「うむ。よろしく頼むぞ。」
クレッチが頭を下げる先には、国王とその娘のアイバニーゼが立っていた。
「ええーっ!? 護衛任務って、まさか国王の!?」
奏太達は、予想だにしない人物が現れた事に驚きの声を上げた。
その声に気付き、国王とアイバニーゼがこちらを見やる。
「おお、何者かと思えば、響子殿、金重殿、そして奏太殿ではないか。
そなたらも此度の護衛に同行するのであるか?」
国王が言葉を掛ける横で、奏太達に気付いたアイバニーゼが、「あっ」と小さく声を出す。
「ええっと、はい……。」
奏太が戸惑いながら返事をすると、アイバニーゼが嬉しそうに目を見開いたーー
ーー奏太達は再び馬車に揺られながら、青年に状況を尋ねた。
「今回は隣国に訪問する国王陛下の護衛任務なんだ。」
そういう事は先に言っておいて欲しかった。国王とは、先日ギターを披露した後逃げ出して以来なので、若干の気まずさがある。
「でも、そんな重要な任務を、どうして冒険者が請け負うんですか?」
横から響子が尋ねる。確かに周りには護衛の兵士も付いてるし、わざわざ冒険者を雇う必要があるのだろうか。
「実は国の兵士達は、基本的に戦争とかで人と戦うために訓練されていて、魔物との戦いに慣れていない人が多いんだ。
でも旅の道中には、魔物に襲われる可能性もあるから、僕達みたいな冒険者に護衛の依頼が来るんだ。
どのような魔物が現れるか分からないから、受注条件はランク8以上の冒険者のみとなっているけどね。」
よく見ると、クレッチは銅色に輝くギルドタグを首に下げている。
こいつら優男に見えて、実は剣王軍よりランクが上なのかよ。
人は見かけによらないんだな。
「そんなクエストに、小生達のような駆け出しが同行しても良いのでござるか……?」
金重の言うとおり、結局ランク0のパーティが同行しているのでは、ランク制限の意味が無いようにも思える。
「その辺は大丈夫だよ。ランク制限とは言っても、ランク0の見習いパーティは自己責任での同行が許されているし、何かあったら僕達が助けるから。
僕がお願いして同行を頼んだ君達を、危険な目に遭わせる訳にはいかないからね。
もし仮に同行者が無法者で、何か悪事を働こうとしても、国の兵士が人間相手に、しかもランク0の冒険者に負ける訳がないからね。」
頼もしい言葉だが、奏太は前回の事を思い出し、二の舞にならないか心配になる。
まあ今回もピンチになったらフ◯ディに変身して歌えば大丈夫だろう。
奏太は楽観視するが、自分が思うように物事は運ばないのが世の常であるーー
一方、国王の馬車の中では、アイバニーゼがウキウキと顔を綻ばせていた。
「どうしたんだいアイバニーゼよ。何か嬉しいことでもあったのかな?」
国王がアイバニーゼ以上に顔を弛めながら尋ねる。
「な、なんでもありません、お父様。」
アイバニーゼは、自分でも気付かないうちに顔がニヤけていたことに「はっ」として、顔を引き締めた。
また奏太達の演奏が聴けるかもしれない。
期待が込み上げ、自然と顔が弛むアイバニーゼだったーー
ーー馬車が出発してから半刻ほど経ったが、まだ目的地に到着する気配はない。
初めは異世界での旅路にワクワクしたが、何もない馬車の中では1時間もすると流石に飽きてしまう。
隣に目をやると、響子はコクリコクリと眠りこけている。
かたやその隣で、金重が黙々と雷魔法で蓄電池を充電していた。
どうやら時間がある時はこまめに充電していたようで、魔力も少し鍛えられたようだ。
金重って結構真面目な奴なんだな。
金重の雷魔法と蓄電池は、奏太達が電気のない異世界でロックバンドをやるための生命線となる。
金重の意外な側面に、奏太は素直に感心する。
そういえば自分も、昨日のクエストと今日の録音で精霊魔法を使いまくり、結構魔力が鍛練された。
あれだけポーションをがぶ飲みして魔法を鍛えれば、そろそろ次の霊魂を呼び出せてもおかしくない筈だ。
そしてもしシ◯・ヴィシャスに変身出来れば、とうとう響子さんと……。
金重が真面目に充電する傍ら、奏太は自らの欲望を満たすべく、魔法を使う計画に妄想を膨らませたーー
僕の名前はクレッチ。パーティのリーダーだ。よろしく!」
奏太達は、先程の冒険者ギルドで自分達の同行権を買ったパーティと共に、馬車に揺られていた。
今回の馬車は剣王軍の時とは違い、随分まともだった。
荷車を曳いているのも、今度は普通の馬だ。
同行している青年の冒険者達も、感じよく爽やかな印象を受ける。
「そういえば今日はどんな討伐クエストなんだ?」
また昨日みたいに危険な目に遭うと困るので、奏太がクエスト内容を確認する。
「うーん、残念だけど、今日のクエストは討伐じゃなくて、護衛任務なんだ。
あ、向こうにいる馬車がその依頼主だよ。」
目を向けると、そこには豪勢な馬車が停まっていた。周りには兵士らしき人物が数十名程構えている。
一体誰を護衛するというのだろうか。
いかにも凡人ではなさそうな雰囲気に、奏太は緊張を覚える。
奏太達の馬車が停車すると、クレッチ達は即座に高級馬車の元へと駆け寄り、膝を付いて控える。
すると、馬車から見覚えのある人物が降りてきた。
あっ! あれはまさかーー
「この度は我々が旅の護衛をお勤め致します、国王陛下。」
「うむ。よろしく頼むぞ。」
クレッチが頭を下げる先には、国王とその娘のアイバニーゼが立っていた。
「ええーっ!? 護衛任務って、まさか国王の!?」
奏太達は、予想だにしない人物が現れた事に驚きの声を上げた。
その声に気付き、国王とアイバニーゼがこちらを見やる。
「おお、何者かと思えば、響子殿、金重殿、そして奏太殿ではないか。
そなたらも此度の護衛に同行するのであるか?」
国王が言葉を掛ける横で、奏太達に気付いたアイバニーゼが、「あっ」と小さく声を出す。
「ええっと、はい……。」
奏太が戸惑いながら返事をすると、アイバニーゼが嬉しそうに目を見開いたーー
ーー奏太達は再び馬車に揺られながら、青年に状況を尋ねた。
「今回は隣国に訪問する国王陛下の護衛任務なんだ。」
そういう事は先に言っておいて欲しかった。国王とは、先日ギターを披露した後逃げ出して以来なので、若干の気まずさがある。
「でも、そんな重要な任務を、どうして冒険者が請け負うんですか?」
横から響子が尋ねる。確かに周りには護衛の兵士も付いてるし、わざわざ冒険者を雇う必要があるのだろうか。
「実は国の兵士達は、基本的に戦争とかで人と戦うために訓練されていて、魔物との戦いに慣れていない人が多いんだ。
でも旅の道中には、魔物に襲われる可能性もあるから、僕達みたいな冒険者に護衛の依頼が来るんだ。
どのような魔物が現れるか分からないから、受注条件はランク8以上の冒険者のみとなっているけどね。」
よく見ると、クレッチは銅色に輝くギルドタグを首に下げている。
こいつら優男に見えて、実は剣王軍よりランクが上なのかよ。
人は見かけによらないんだな。
「そんなクエストに、小生達のような駆け出しが同行しても良いのでござるか……?」
金重の言うとおり、結局ランク0のパーティが同行しているのでは、ランク制限の意味が無いようにも思える。
「その辺は大丈夫だよ。ランク制限とは言っても、ランク0の見習いパーティは自己責任での同行が許されているし、何かあったら僕達が助けるから。
僕がお願いして同行を頼んだ君達を、危険な目に遭わせる訳にはいかないからね。
もし仮に同行者が無法者で、何か悪事を働こうとしても、国の兵士が人間相手に、しかもランク0の冒険者に負ける訳がないからね。」
頼もしい言葉だが、奏太は前回の事を思い出し、二の舞にならないか心配になる。
まあ今回もピンチになったらフ◯ディに変身して歌えば大丈夫だろう。
奏太は楽観視するが、自分が思うように物事は運ばないのが世の常であるーー
一方、国王の馬車の中では、アイバニーゼがウキウキと顔を綻ばせていた。
「どうしたんだいアイバニーゼよ。何か嬉しいことでもあったのかな?」
国王がアイバニーゼ以上に顔を弛めながら尋ねる。
「な、なんでもありません、お父様。」
アイバニーゼは、自分でも気付かないうちに顔がニヤけていたことに「はっ」として、顔を引き締めた。
また奏太達の演奏が聴けるかもしれない。
期待が込み上げ、自然と顔が弛むアイバニーゼだったーー
ーー馬車が出発してから半刻ほど経ったが、まだ目的地に到着する気配はない。
初めは異世界での旅路にワクワクしたが、何もない馬車の中では1時間もすると流石に飽きてしまう。
隣に目をやると、響子はコクリコクリと眠りこけている。
かたやその隣で、金重が黙々と雷魔法で蓄電池を充電していた。
どうやら時間がある時はこまめに充電していたようで、魔力も少し鍛えられたようだ。
金重って結構真面目な奴なんだな。
金重の雷魔法と蓄電池は、奏太達が電気のない異世界でロックバンドをやるための生命線となる。
金重の意外な側面に、奏太は素直に感心する。
そういえば自分も、昨日のクエストと今日の録音で精霊魔法を使いまくり、結構魔力が鍛練された。
あれだけポーションをがぶ飲みして魔法を鍛えれば、そろそろ次の霊魂を呼び出せてもおかしくない筈だ。
そしてもしシ◯・ヴィシャスに変身出来れば、とうとう響子さんと……。
金重が真面目に充電する傍ら、奏太は自らの欲望を満たすべく、魔法を使う計画に妄想を膨らませたーー
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