22 / 65
21.違和感
しおりを挟む
「何の理由があって来たのかとか聞かれなかったね」
嵐が去った後で一息ついているような美波さんに俺はそう言う。美波さんは特に何も考えていなかったのか返事も無い。根掘り葉掘り聞いてくるような先生ではなかったことだけは正直なところ楽ではあった。しかし探し物という目的があったので、その件については聞いてもらえれば良かったかもしれない。
「探し物のことは先生に聞いてみなくてよかったの?」
その言葉に美波さんはようやく頭が回り始めたのか、俺の顔を見て答えた。
「え、あ、はい。もうここは十分です」
何も探したりしていないのに十分とはまた不思議な感じだ。美波さんは本当に探すつもりがあるのだろうかと疑問に思う。
「じゃあ、次は小学校に行きましょうか」
俺の疑問も晴れないまま、美波さんは次の目的地に向かうことを提案して教室から出るように廊下の方へと歩き出した。中学校から小学校まではほとんど離れていない。確かに今日のうちに両方回っておくことは効率的ではある。
しかしそれとは別で、中学校を何も探さずに通り過ぎるのはやはり違和感が残る。
「美波さん。今日のうちに小学校に向かうことは賛成だけど、いくつか聞きたいことがある。歩きながらでいいから教えてほしい」
俺は廊下に出たところで美波さんに伝える。急ぐわけでもなく他に用事があるわけでもないからのんびり付き合おうかとも思っていた。しかしいざこうして付き合っているとストレスが無いとは言いづらい状態でもあると分かった。今後は暇だからといってよく分からない事を安請け合いするのは良くないかもしれない。よく考えてから行動しよう。
「……答えられる範囲で良ければ答えます」
一歩先を歩いていた美波さんは俺に背中を向けてそう言った。俺は歩調を速めて隣に並び、質問を選別しながら歩く。美波さんは俺からの質問を待ちながらもスマートフォンで地図アプリを立ち上げようとしていた。
ストレスが無いとは言えないと言ったものの、イライラしたり苦しかったりというわけではない。ちょっとモヤモヤする感じ。それが少しでも紛れたらいい。その程度の質問だ。
「俺には美波さんが中学校の中を探しているようには見えなかったんだけど、美波さんはどこを探してたんだ?」
嵐が去った後で一息ついているような美波さんに俺はそう言う。美波さんは特に何も考えていなかったのか返事も無い。根掘り葉掘り聞いてくるような先生ではなかったことだけは正直なところ楽ではあった。しかし探し物という目的があったので、その件については聞いてもらえれば良かったかもしれない。
「探し物のことは先生に聞いてみなくてよかったの?」
その言葉に美波さんはようやく頭が回り始めたのか、俺の顔を見て答えた。
「え、あ、はい。もうここは十分です」
何も探したりしていないのに十分とはまた不思議な感じだ。美波さんは本当に探すつもりがあるのだろうかと疑問に思う。
「じゃあ、次は小学校に行きましょうか」
俺の疑問も晴れないまま、美波さんは次の目的地に向かうことを提案して教室から出るように廊下の方へと歩き出した。中学校から小学校まではほとんど離れていない。確かに今日のうちに両方回っておくことは効率的ではある。
しかしそれとは別で、中学校を何も探さずに通り過ぎるのはやはり違和感が残る。
「美波さん。今日のうちに小学校に向かうことは賛成だけど、いくつか聞きたいことがある。歩きながらでいいから教えてほしい」
俺は廊下に出たところで美波さんに伝える。急ぐわけでもなく他に用事があるわけでもないからのんびり付き合おうかとも思っていた。しかしいざこうして付き合っているとストレスが無いとは言いづらい状態でもあると分かった。今後は暇だからといってよく分からない事を安請け合いするのは良くないかもしれない。よく考えてから行動しよう。
「……答えられる範囲で良ければ答えます」
一歩先を歩いていた美波さんは俺に背中を向けてそう言った。俺は歩調を速めて隣に並び、質問を選別しながら歩く。美波さんは俺からの質問を待ちながらもスマートフォンで地図アプリを立ち上げようとしていた。
ストレスが無いとは言えないと言ったものの、イライラしたり苦しかったりというわけではない。ちょっとモヤモヤする感じ。それが少しでも紛れたらいい。その程度の質問だ。
「俺には美波さんが中学校の中を探しているようには見えなかったんだけど、美波さんはどこを探してたんだ?」
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる