恋するオナホール

色部耀

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僕はこのオナホールの嗚咽を忘れることはないだろう。

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「どうしてやめてしまったんですか!」
「僕は可哀想なのでは抜けないんだよ!」
「私頑張りますから!」
「はっきり言わせてもらうと、嗚咽が汚い!」
「え……きたな……」

 オナホールは僕の言葉にショックを受けたのか、ベッドから落ちると床で萎びてしまっていた。

「ちょっと落ち込みすぎじゃない?」
「直生くんの突っ込みが激しすぎて耐えられなかっただけです」
「そんなに激しく突っ込んだつもりはないぞ?」
「言葉の方ですよ! レディーにはもう少し優しくしてください」
「オナホールだが?!」
「くっ……」

 オナホールはビタンビタンと床に尻尾(?)を叩きつけて抗議をしている。その様子を見るに今流行りの転生なのか何なのか知らないが魂はレディーらしい。

「レディーなのは分かった。分かったところで一ついいか?」
「なんですか?」
「じゃあ僕は出会って間もない女の子に自分の性癖を見せつけて、イチモツを咥えさせたってことか?」
「ド変態ですね」
「そうなることは分かってたよ! でもお前も鏡見ろよな!」

 オナホールは僕に言われてまた姿見の前まで移動すると、何やらポージングを始めた。自立してうねうねしている様はなんだか可愛らしくも見えるが、その正体はシリコンの塊だ。

「こうして見ると可愛い気がしてきました」
「お前もド変態だな」
「仲間ですね。これから仲良くするしかありませんね」
「オナホールと仲が良い大学生とか、世間に顔向けできない案件だが」
「私たちだけの秘密ですね。これは運命を感じます」
「オナホールとの運命とか人生で最も感じたくないものの一つじゃないか?!」
「考えたこともないから分かりません」
「僕も今の今まで考えたことないよ!」

 机の上に飛び乗ったオナホールはゆらゆら揺れながら喋る。

「まあ、一週間分の食費で話し相手を買ったとでも思うことにするよ」
「え、私奴隷みたいなやつですか? エッチなことさせられるんですか?」
「そのエッチなことができないって諦めたところだよ」
「それは申し訳ありませんでした」

 オナホールはペコペコお辞儀をしている。まあ……悪い奴ではないし呪いのオナホールってわけでもなさそうだからいいか。

「とりあえず今日は風呂入って寝るか」
「お背中流しましょう」
「どうやってだよ!」
「頑張ります!」
「お前の頑張りには今後一切期待しないから、そこんとこよろしく」
「よろしくありませんが!」

 その日、僕は風呂場でベトベトになったローションを洗い落とした。もちろんオナホールについたローションも洗い落としたわけだが、その時も例の如く汚い嗚咽を吐きまくって耳が痛かった。

 僕はこのオナホールの嗚咽を忘れることはないだろう。
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