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十四章:運命

第112話 答え

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「…何だ、あれは…!!」

 その頃、ネロによる襲撃を出来る限り警戒しようと配置されていた兵士達は地平線を埋め尽くす魑魅魍魎の姿を目撃していた。闇と思われる黒い靄の中から次々と姿を現す異形の化け物達は、唸りはするもののその場から動く事は無い。ネロに従い、攻撃を仕掛けるその時を待っていたのである。

「やあ」

 どうしようも出来ない状況ではあったが、出来る限りのことをするしかないと騎士団が動こうとしていた最中、ネロは本部の前に姿を現した。

「ガーランドはいるか ?そろそろ答えを聞こうと思ったが…」

 誰一人として彼の問いに応じる者がいなかった事で、ネロはクリスが自分の意思に応じるつもりが無いというのを悟る。

「…そうか。じゃあ、まあ…死ぬしかないな」

 そう言い残して消えた後、ネロは怪物達のもとへと瞬間移動を行う。

「やれ」

 彼らにそう伝えた瞬間、眷属である化け物達は雄たけびと共に駆け出す。街を目掛けてがむしゃらに突き進む彼らを見て、一人勝利を確信していたネロは笑みを浮かべたまま彼らを見送っていた。

 そして今にも化け物達の群れがレングートの街へ到達しようとしていたその時、上空から巨大な岩石が墜落してきた。街の周りを囲むようにして隕石の様に次々と落下してくる岩石によって街への侵入は阻まれてしまった。

「ん ?」

 少々ネロは困惑した。魔法である事は間違いなかったが、あれだけの規模の使い方を出来る者が他にいたかと不思議に思っていたのである。直後、上空から化け物達の下へ飛来し、彼らの目の前に静かに降り立つ人影を目にする。

「おいおい…マジか」

 そう呟くネロが見た先にいたのはクリスだった。全身に契約を結んだ証である痣が現れ、瞳の色は赤く染まっていた。こちらへ向かって来る化け物達に対して、クリスが手をかざした瞬間、突如彼らの体から炎があがってその身を焼き尽くす。化け物達は誰一人として、逃れられなかった。

 燃え盛る炎に包まれて消し炭となる化け物達の間をクリス通り抜け、ネロを視界に捉えられる場所まで悠々と歩いて移動する。

「それが答えか。奴らの犬に、なるわけだな ?」

 ネロがそうやって尋ねてみるも、クリスは何一つ答える事は無かった。沈黙がつついていた次の瞬間、クリスは瞬間移動で近づいた後に彼を殴り飛ばす。吹き飛ばされたネロはすぐに立て直し、ズキズキと痛む頬に少し手を当てた。

「よし…そっちがその気なら少し本気出すぜ」

 そう呟いたネロはすぐに体に闇を纏わせる。誰に見守られることも無く、最後の戦いが始まろうとしていた。
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