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二章:招かれざる者
第10話 その男、鬼が住むか蛇が住むか
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「もう…いくら何でもやりすぎだったよ」
隣に座ったクリスに対してグレッグは肝を冷やした様に言った。トーラン夫妻はクリスから注文を取ると、ソーダをグラスに注いでから彼に差し出す。
「相手が武器を持ち、明確な敵意があると判断した場合は武力を行使しても良い。交戦規定にも書かれてたじゃないか」
「そ、それはそうだけど…もう少しほら、加減とか――」
「無用な加減によって反撃される可能性を作っては本末転倒だ…あまり偉そうには言えんがな」
クリスはソーダを飲みながらグレッグに過去の経験から来る持論を述べていたが、夫妻はそれを興味津々に聞き入りながら作業をしていた。
「こんな新人さんが来てくれたんなら騎士団も当分は安泰だな。グレッグの旦那」
グラスを拭き終わった店主は、彼らに渡す書類や騎士団に収める分の金の整理をしながらグレッグに言った。当の本人は少し困惑した様に笑うと、書類と小切手を受け取った。
「今月はイマイチだね。どいつも簡単な仕事ばかりするせいで、上級の魔物の討伐やハーピィの巣の駆除みたいな面倒な仕事には全然手を付けてないんだよ」
書類を確認する二人を見ながらアビーも愚痴を言った。
「これが未達成の依頼だね…じゃあ、後は騎士団で受け持つよ」
「へい、毎度あり」
飲み物のお代を払ってからグレッグは騎士団に任せるように告げると、夫妻からの挨拶を背にクリスとギルドを出る。曇りから少し日差しが入り込んでおり、少々湿っている路地を照らし出していた。
「ギルドの仕事を騎士団が受けるのか?」
クリスは歩きながらグレッグに尋ねた。
「ギルドで紹介している仕事は、基本的に騎士団の情報筋から仕入れた上で出している物なんだ。加入するための審査は厳しいけど、依頼を引き受ける人達はその分優遇している…それでも引き受けてもらえないような厄介な仕事に関しては僕達の出番って事だよ」
グレッグは鞄に書類や小切手を仕舞い、はにかみながら親切に答えた。恥ずかしさが見え隠れしているのは、高名な魔術師であった男が何はともあれ自分を頼りにしていくれているという現状に対する高揚が原因であった。
「なるほど。しかし、ここまで詳しいとはたいしたものだ。この仕事は長いのか?」
「そ、そんな事無いよ…!他の仲間に比べたらまだまだ…」
「称賛は素直に受け取れ。その喜びがきっと成長に繋がる」
解説を聞いたクリスが分かりやすい説明を褒めると、グレッグは自身を卑下しながら仲間達の事に言及した。クリスは彼の謙遜的な態度を心の優しさから来るものだと考えつつも、年長者としてのアドバイスを彼に送る。少し顔が明るくなったグレッグは頷いてから彼に礼を言ったが、不意に周囲の人々が慌ただしくしているのに気づいた。
クリスは息を切らして走っている一人の男性を捕まえて事情を尋ねると、何も無い筈の場所から魔術師が現れて、暴れ始めたとの事らしかった。
「どこからともなく現れるなんて、そんな事が…」
「出来る」
「え…」
「正確に言えば出来る奴を知っている。グレッグ、まずは荷物を本部に届けろ。俺は先に向かう」
どの様な手段で街へ入り込んだのか想像もつかないグレッグと対照的に、クリスには確信があった。指示を出した後、グレッグの返事を待たずにクリスは走り出すと、市民が逃げてきた方角へ向かって行く。グレッグはどうにか彼に追い付こうとするために、逃げようとしている御者を呼んでレギオン本部へ至急送ってくれるように頼み込んだ。
――――クリス達が魔術師の襲撃の事実を知る少し前、街の運河沿いに位置する公園では、いつもと変わらず人々が休息のために寛いでいた。ボールで遊び飽きた子供達が別の場所へ行こうと歩道へ飛び出した時、彼らは奇妙な物を目撃した。宙にインクの染みの様な斑点がポツリと浮いていたのである。興味本位で近づき、どの角度から見ても黒い点であり目の錯覚では無かった。
不思議に思っていた直後、その黒い点は水にインクを垂らしたかのように一気に広がり、やがて濃い靄となって周囲に拡散した。驚いた子供達は転びながらも逃げ出し、周囲にいた者達も様子がおかしいと距離を置いた。やがて靄が晴れると、数人程の戦闘服を着用した魔術師と、彼らの背後で洋梨を齧っているネロが現れた。魔術師達もこの現象にあまり慣れていないのか、戸惑う様に自身の体や周囲を見渡している。
「いつでも行けるか?」
ネロは部下である魔術師達にそんなことを言いながら辺りを眺めていると、自分の事を興味津々に見つめている年端も行かない少年と目が合った。穏やかそうに、そして軽い足取りで近づくと少年の目の前でしゃがんだ。
「ぼく、おにいさんが怖くないのかい?」
ネロからの問いかけに、みすぼらしい恰好をして少し間の抜けた様な顔をしている少年は首を縦に振った。
「そっかぁ。よし…おにいさんが手品を見せてやろう。ほら、この両手を見て。何の仕掛けも無いだろ?触ってごらん」
両手を少年の前に差し出しながらネロが言うと、少年は確かめるように触れてみた。当然だが何も無く、革製のグローブをはめているだけの変哲も無い手である。
「よーし、見てなよ。こうやって手を閉じる。しばらくして手をどけると…ほら」
ネロが説明をしながら左手に覆い被すようにして右手を置き、少し間をおいてから右手をどけた。すると、左手にはどこから取り出したのか紙に包まれたターキッシュ・デライトが数粒ほど現れていた。少年は驚くと同時に、しばらく口にしていない甘味を前に生唾を飲み込んでしまう。
「ほら、あげる。おにいさんを怖がらなかったご褒美だ。盗られないようにコッソリ食べなよ?それと…今からこの辺りはちょっと騒がしくなるから、あっちの遠くの方へ行ってくれるかい?いいね?」
ネロが菓子を手渡すと、少年は嬉しそうにはしゃぎながらお礼を言って走り去った。ネロはそんな少年に対して笑顔で手を振って見送った。
「じゃあね~、ハハ……」
そんな風に言いながら見送っていた少年の姿が小さくなると、ネロは見送るのを止めて一息つく。そして立ち上がって仲間達の方へ向いた。
「はい、それじゃあ適当に暴れて」
先程の少年と話していた時からは想像もつかない程に冷たく、しかし淡泊に言い放ったネロの言葉を皮切りに、魔術師達は水や砂を操りながら攻撃を始めた。人々を飲み込もうとする荒れ狂う水流や砂嵐や、弾丸のように人々へ襲い掛かる大粒の飛沫と石をのらりくらりと避けながら、ネロは近くの喫茶店に押し入る様にして入った。
「ひっ…な、何だアンタは?!」
逃げようとしていたのか店主らしき男はいきなり入って来たネロに怯えていた。窓が割れ、外からは悲鳴が聞こえてくる。しかしネロはどうでも良い風に騒がしい外から離れている席に座った。
「カフェラテが飲みたい。ミルクの割合を少なめにしてほしいね」
「訳の分かんねえ事言ってないでとっとと出て行ってくれ!」
店主はそう言って自分だけでも逃げ出そうとしたが、黒い靄が目の前に現れたかと思うと、先程まで席に座っていたはずのネロが目の前にいた。
「金はある。出してくれるんなら、身の安全は保障する」
紙幣をチラつかせながらネロが言うと、店主は諦めた様にして震える声で分かったとだけ言った。また黒い靄の中へ消えたかと思うと、ネロは再び先程と同じ席に着いている。何がどうなってるのか分からない状態で店主が必死に注文の品を作っている中、ネロはかつての旧友の到着をのんびりと待ち侘びていた。
隣に座ったクリスに対してグレッグは肝を冷やした様に言った。トーラン夫妻はクリスから注文を取ると、ソーダをグラスに注いでから彼に差し出す。
「相手が武器を持ち、明確な敵意があると判断した場合は武力を行使しても良い。交戦規定にも書かれてたじゃないか」
「そ、それはそうだけど…もう少しほら、加減とか――」
「無用な加減によって反撃される可能性を作っては本末転倒だ…あまり偉そうには言えんがな」
クリスはソーダを飲みながらグレッグに過去の経験から来る持論を述べていたが、夫妻はそれを興味津々に聞き入りながら作業をしていた。
「こんな新人さんが来てくれたんなら騎士団も当分は安泰だな。グレッグの旦那」
グラスを拭き終わった店主は、彼らに渡す書類や騎士団に収める分の金の整理をしながらグレッグに言った。当の本人は少し困惑した様に笑うと、書類と小切手を受け取った。
「今月はイマイチだね。どいつも簡単な仕事ばかりするせいで、上級の魔物の討伐やハーピィの巣の駆除みたいな面倒な仕事には全然手を付けてないんだよ」
書類を確認する二人を見ながらアビーも愚痴を言った。
「これが未達成の依頼だね…じゃあ、後は騎士団で受け持つよ」
「へい、毎度あり」
飲み物のお代を払ってからグレッグは騎士団に任せるように告げると、夫妻からの挨拶を背にクリスとギルドを出る。曇りから少し日差しが入り込んでおり、少々湿っている路地を照らし出していた。
「ギルドの仕事を騎士団が受けるのか?」
クリスは歩きながらグレッグに尋ねた。
「ギルドで紹介している仕事は、基本的に騎士団の情報筋から仕入れた上で出している物なんだ。加入するための審査は厳しいけど、依頼を引き受ける人達はその分優遇している…それでも引き受けてもらえないような厄介な仕事に関しては僕達の出番って事だよ」
グレッグは鞄に書類や小切手を仕舞い、はにかみながら親切に答えた。恥ずかしさが見え隠れしているのは、高名な魔術師であった男が何はともあれ自分を頼りにしていくれているという現状に対する高揚が原因であった。
「なるほど。しかし、ここまで詳しいとはたいしたものだ。この仕事は長いのか?」
「そ、そんな事無いよ…!他の仲間に比べたらまだまだ…」
「称賛は素直に受け取れ。その喜びがきっと成長に繋がる」
解説を聞いたクリスが分かりやすい説明を褒めると、グレッグは自身を卑下しながら仲間達の事に言及した。クリスは彼の謙遜的な態度を心の優しさから来るものだと考えつつも、年長者としてのアドバイスを彼に送る。少し顔が明るくなったグレッグは頷いてから彼に礼を言ったが、不意に周囲の人々が慌ただしくしているのに気づいた。
クリスは息を切らして走っている一人の男性を捕まえて事情を尋ねると、何も無い筈の場所から魔術師が現れて、暴れ始めたとの事らしかった。
「どこからともなく現れるなんて、そんな事が…」
「出来る」
「え…」
「正確に言えば出来る奴を知っている。グレッグ、まずは荷物を本部に届けろ。俺は先に向かう」
どの様な手段で街へ入り込んだのか想像もつかないグレッグと対照的に、クリスには確信があった。指示を出した後、グレッグの返事を待たずにクリスは走り出すと、市民が逃げてきた方角へ向かって行く。グレッグはどうにか彼に追い付こうとするために、逃げようとしている御者を呼んでレギオン本部へ至急送ってくれるように頼み込んだ。
――――クリス達が魔術師の襲撃の事実を知る少し前、街の運河沿いに位置する公園では、いつもと変わらず人々が休息のために寛いでいた。ボールで遊び飽きた子供達が別の場所へ行こうと歩道へ飛び出した時、彼らは奇妙な物を目撃した。宙にインクの染みの様な斑点がポツリと浮いていたのである。興味本位で近づき、どの角度から見ても黒い点であり目の錯覚では無かった。
不思議に思っていた直後、その黒い点は水にインクを垂らしたかのように一気に広がり、やがて濃い靄となって周囲に拡散した。驚いた子供達は転びながらも逃げ出し、周囲にいた者達も様子がおかしいと距離を置いた。やがて靄が晴れると、数人程の戦闘服を着用した魔術師と、彼らの背後で洋梨を齧っているネロが現れた。魔術師達もこの現象にあまり慣れていないのか、戸惑う様に自身の体や周囲を見渡している。
「いつでも行けるか?」
ネロは部下である魔術師達にそんなことを言いながら辺りを眺めていると、自分の事を興味津々に見つめている年端も行かない少年と目が合った。穏やかそうに、そして軽い足取りで近づくと少年の目の前でしゃがんだ。
「ぼく、おにいさんが怖くないのかい?」
ネロからの問いかけに、みすぼらしい恰好をして少し間の抜けた様な顔をしている少年は首を縦に振った。
「そっかぁ。よし…おにいさんが手品を見せてやろう。ほら、この両手を見て。何の仕掛けも無いだろ?触ってごらん」
両手を少年の前に差し出しながらネロが言うと、少年は確かめるように触れてみた。当然だが何も無く、革製のグローブをはめているだけの変哲も無い手である。
「よーし、見てなよ。こうやって手を閉じる。しばらくして手をどけると…ほら」
ネロが説明をしながら左手に覆い被すようにして右手を置き、少し間をおいてから右手をどけた。すると、左手にはどこから取り出したのか紙に包まれたターキッシュ・デライトが数粒ほど現れていた。少年は驚くと同時に、しばらく口にしていない甘味を前に生唾を飲み込んでしまう。
「ほら、あげる。おにいさんを怖がらなかったご褒美だ。盗られないようにコッソリ食べなよ?それと…今からこの辺りはちょっと騒がしくなるから、あっちの遠くの方へ行ってくれるかい?いいね?」
ネロが菓子を手渡すと、少年は嬉しそうにはしゃぎながらお礼を言って走り去った。ネロはそんな少年に対して笑顔で手を振って見送った。
「じゃあね~、ハハ……」
そんな風に言いながら見送っていた少年の姿が小さくなると、ネロは見送るのを止めて一息つく。そして立ち上がって仲間達の方へ向いた。
「はい、それじゃあ適当に暴れて」
先程の少年と話していた時からは想像もつかない程に冷たく、しかし淡泊に言い放ったネロの言葉を皮切りに、魔術師達は水や砂を操りながら攻撃を始めた。人々を飲み込もうとする荒れ狂う水流や砂嵐や、弾丸のように人々へ襲い掛かる大粒の飛沫と石をのらりくらりと避けながら、ネロは近くの喫茶店に押し入る様にして入った。
「ひっ…な、何だアンタは?!」
逃げようとしていたのか店主らしき男はいきなり入って来たネロに怯えていた。窓が割れ、外からは悲鳴が聞こえてくる。しかしネロはどうでも良い風に騒がしい外から離れている席に座った。
「カフェラテが飲みたい。ミルクの割合を少なめにしてほしいね」
「訳の分かんねえ事言ってないでとっとと出て行ってくれ!」
店主はそう言って自分だけでも逃げ出そうとしたが、黒い靄が目の前に現れたかと思うと、先程まで席に座っていたはずのネロが目の前にいた。
「金はある。出してくれるんなら、身の安全は保障する」
紙幣をチラつかせながらネロが言うと、店主は諦めた様にして震える声で分かったとだけ言った。また黒い靄の中へ消えたかと思うと、ネロは再び先程と同じ席に着いている。何がどうなってるのか分からない状態で店主が必死に注文の品を作っている中、ネロはかつての旧友の到着をのんびりと待ち侘びていた。
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