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貿易都市グリゴレオ編
6 買春少女の行方
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少年が諭すような声音で目の前の少女に話す。
「僕は無理だ。ここを出れば嫌でも見つかる。君だけでも逃げるんだ」
だが少女も譲らない。
「いやっ!一緒に逃げるって言ったじゃない!なのにどうして…?」
今にも泣きそうな声。しかしそれ以上に少年は焦っていた。
「いいから逃げろ!全員捕まったら死んだ皆の努力が無駄になるだろ!」
「でも…」
「行けっ!後ろを振り向くな!」
そういったその時、
「いたぞ!殺せ!」
剣を持った傭兵たちがこちらへやってくる。
「急げっ!」
どんっ、と少女のぐずる背中を押す。戸惑いつつも走り出す少女。
後ろは暗い。ここは下水道だから死体の匂いをもかき消すことが出来る。なので殺しても問題ないのだ。バレることのない場所。
走る少女の後ろの暗闇から悲鳴が聞こえた。その悲鳴は先程の少年の声だった。
(殺してやる!あいつらのせいで私達の人生がどれだけ歪んだか!絶対に殺してやる!)
涙を流しながら走る少女は心に復讐を深く刻み込んだのだ。
○ ○ ○
あの不毛というよりどうでもいい決闘の後、金髪腹黒イケメン野郎のギルドは解散した。女を侍らすためのギルドと知ったらしい女性陣はそそくさと去っていった。
「さて、家が欲しいな」
ポツリとつぶやく俺に反応したのはマグだった。
'家を買うならかなりのお金を要しますが、モンスターを狩ることができない以上お金の云々ではないと思うのですが'
そう、ギルドに所属していない以上勝手にモンスターを狩ることは出来ない。この話はマリアから聞いた。彼女も解散した後どこかへと去っていった。少し、残念です…。
どうしたものかと考え込んでいると
'その身なりでは何処のギルドも入れてくれなさそうですよ?'
ご最もと言うべきか。多少のお金は持っている。…あれ?そう言えばここのお金の単位ってなに?
'ガルド、ですね'
「いかついな」
まぁそんなことはどうだっていい。ガルドを手に入れなきゃ元も子もないわけだし。
'金に困る転生者…フッ'
「笑ったな?笑ったろ!?畜生、食いもんも衣服もなくたって生きてける奴は気楽だな!」
'そうでもありませんよ?あなたが死ねば私も死にますし'
死ぬのが怖くないのか?こいつは。という疑問を後にマグはこう語る。
"感情の無いものですからそういうものはわかりかねます"
ドライだ。冷たい。
'三話くらいで倒したモンスターのオーブがあるでしょう?それを換金して貰えば良いのでは?'
なんだよ三話って。メタい発言を控えろ。
'アニメ化するなら声優さんは'
声優ダメ絶対!!名前規制かけてもダメだろ!
メタ発言にも限度があるから。あるから!
にしてもあのモンスターから出てきた玉、あれオーブって言うのか。と、いうわけで換金所に足を運ぶ事になったのだ。
歩いて数十分。
「またのお越しをお待ちしております」
俺が焼き払ったモンスター名はドッペルゲンガー。しめて六千ガルドなり。一ガルドを日本円にすると二円。日本円で六千ガルドは一万二千円。
「金持ちだ!」
'たったの六千ガルドですか。わびしいですね'
お前知ってるか?一円いや、一ガルドを笑うやつは一ガルドに泣かされるんだぜ。
'そんな常識を私が知らないとでも?'
…そですね。とにかく!これで服が買える!ここに合わせた服を!
内心でガッツポーズをしていると薄暗い路地から出てきたバニラ色の髪の少女とぶつかる。 そして俺の服を掴んだと思いきや、
「助けてください!お願いします!」
その少女の服装はボロボロでなにかイカ臭い。これはあれだ、男の局部から出てくるアレの匂いだ。
「君ってもしかして」
その声を塞ぐように野太い男の声が聞こえる。
「待てこの糞ガキ!やらせてくれるっつうからわざわざ一万ガルド払ってやったのに途中で逃げるとは何様だあ!?」
太ったヒゲの濃い三十代のおっさん。
「買春してる娘?」
これはまた一波来そうだと俺はそう予感した。
「僕は無理だ。ここを出れば嫌でも見つかる。君だけでも逃げるんだ」
だが少女も譲らない。
「いやっ!一緒に逃げるって言ったじゃない!なのにどうして…?」
今にも泣きそうな声。しかしそれ以上に少年は焦っていた。
「いいから逃げろ!全員捕まったら死んだ皆の努力が無駄になるだろ!」
「でも…」
「行けっ!後ろを振り向くな!」
そういったその時、
「いたぞ!殺せ!」
剣を持った傭兵たちがこちらへやってくる。
「急げっ!」
どんっ、と少女のぐずる背中を押す。戸惑いつつも走り出す少女。
後ろは暗い。ここは下水道だから死体の匂いをもかき消すことが出来る。なので殺しても問題ないのだ。バレることのない場所。
走る少女の後ろの暗闇から悲鳴が聞こえた。その悲鳴は先程の少年の声だった。
(殺してやる!あいつらのせいで私達の人生がどれだけ歪んだか!絶対に殺してやる!)
涙を流しながら走る少女は心に復讐を深く刻み込んだのだ。
○ ○ ○
あの不毛というよりどうでもいい決闘の後、金髪腹黒イケメン野郎のギルドは解散した。女を侍らすためのギルドと知ったらしい女性陣はそそくさと去っていった。
「さて、家が欲しいな」
ポツリとつぶやく俺に反応したのはマグだった。
'家を買うならかなりのお金を要しますが、モンスターを狩ることができない以上お金の云々ではないと思うのですが'
そう、ギルドに所属していない以上勝手にモンスターを狩ることは出来ない。この話はマリアから聞いた。彼女も解散した後どこかへと去っていった。少し、残念です…。
どうしたものかと考え込んでいると
'その身なりでは何処のギルドも入れてくれなさそうですよ?'
ご最もと言うべきか。多少のお金は持っている。…あれ?そう言えばここのお金の単位ってなに?
'ガルド、ですね'
「いかついな」
まぁそんなことはどうだっていい。ガルドを手に入れなきゃ元も子もないわけだし。
'金に困る転生者…フッ'
「笑ったな?笑ったろ!?畜生、食いもんも衣服もなくたって生きてける奴は気楽だな!」
'そうでもありませんよ?あなたが死ねば私も死にますし'
死ぬのが怖くないのか?こいつは。という疑問を後にマグはこう語る。
"感情の無いものですからそういうものはわかりかねます"
ドライだ。冷たい。
'三話くらいで倒したモンスターのオーブがあるでしょう?それを換金して貰えば良いのでは?'
なんだよ三話って。メタい発言を控えろ。
'アニメ化するなら声優さんは'
声優ダメ絶対!!名前規制かけてもダメだろ!
メタ発言にも限度があるから。あるから!
にしてもあのモンスターから出てきた玉、あれオーブって言うのか。と、いうわけで換金所に足を運ぶ事になったのだ。
歩いて数十分。
「またのお越しをお待ちしております」
俺が焼き払ったモンスター名はドッペルゲンガー。しめて六千ガルドなり。一ガルドを日本円にすると二円。日本円で六千ガルドは一万二千円。
「金持ちだ!」
'たったの六千ガルドですか。わびしいですね'
お前知ってるか?一円いや、一ガルドを笑うやつは一ガルドに泣かされるんだぜ。
'そんな常識を私が知らないとでも?'
…そですね。とにかく!これで服が買える!ここに合わせた服を!
内心でガッツポーズをしていると薄暗い路地から出てきたバニラ色の髪の少女とぶつかる。 そして俺の服を掴んだと思いきや、
「助けてください!お願いします!」
その少女の服装はボロボロでなにかイカ臭い。これはあれだ、男の局部から出てくるアレの匂いだ。
「君ってもしかして」
その声を塞ぐように野太い男の声が聞こえる。
「待てこの糞ガキ!やらせてくれるっつうからわざわざ一万ガルド払ってやったのに途中で逃げるとは何様だあ!?」
太ったヒゲの濃い三十代のおっさん。
「買春してる娘?」
これはまた一波来そうだと俺はそう予感した。
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