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鉱山都市ロイハイゲン編
56 ご機嫌斜めの朝食時間
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前回のあらすじ。
「ふみゅ…」
「寝顔はカワイイが朝までガッチリホールディング」
ぎりぎりと下腹部あたりが苦しい。結局朝まで寝られなかった。ふぇぇ、マグが朝まで眠らしてくれないよぉ。
「ん…。おはようございますトリスト」
「おう、おはよ」
「目元にくまが出来てますが、眠れませんでした?」
ケロリとした顔。悪気がない分余計にタチが悪い。
「ああそうだな。誰かが俺の下腹部をガッチリホールディングしていたからな」
「さて、朝ごはんを食べに行きましょう」
スルー。まさかのスルー。え?俺って異論反論異議質問申し立てられないのん?人権ないの?
「まあ化物に近いので人権も糞もありませんけどね」
はんっと鼻で笑われる。一種の軽蔑。あるいの嘲笑。腹立つわー。これやられると腹立つよね!さすがの温厚な俺でもプッチン!なので言い返してやる。
「はっ、化物幼女に言われた」
言っといて今更気づく。これは禁忌の言葉だと。マグが俺の前で止まり振り返る。振り返ったときの手はグーで握られています。
「それ以上は辞めておきなさい。でなければ私の魔法の右手が光って唸りますよ?」
もちろん手は光ってなどいない。え、魔法って何だっけ?
「それ魔法じゃないよね!?明らかに物理だよね!?」
「いいえ、魔法です」
きっぱりと答えやがった。魔法じゃないのに魔法とのたまいやがった。やだ何あの子怖い。
「では歯を食いしばりやがれです」
「ああ!早くしないと朝ごはんなくなるなー!ほら、急ごうぜ」
俺は些か強引にマグの柔らかい腕をつかみ歩く。それ以降マグは話さなかった。
○ ○ ○
食堂に着くとリヴィアンとクロビア公爵とウィルが席に座っていた。みんなやけに早起きだなぁ。
「やぁ。おはようトリスト君。昨日はよく眠れたかな?」
にやりと笑うクロビア公爵。この人絶対気づいているな。こんなときに使う言葉。ジョー○ター、貴様見ているな!クロビア公爵はかなりユニークなようだ。
「で、何でトリストとマグが仲良く手をつないでるわけ?」
リヴィアンは不機嫌そうに俺とマグをジト目で睨みつける。な、何?俺なんか悪いことした?したの?
「いや別に何にもないけど…」
そこにマグが笑いながらいう。
「別にいいじゃないですか。一晩を共にした仲でしょう?」
カラン。静かな食堂に金物が落ちる音が響く。音の原因の方を見る。リヴィアンでした。愕然とした顔で硬直している。
「おい!誤解を招く言い方をするな!」
「だって本当でしょう?」
「にしても言い方があるだろ!それに!俺は一睡もしてない!」
「へぇ、その心は?」
「お前が俺の下腹部を足でホールディングして締め付けていたからだよ!」
「足を絡めた?」
ゴッ!今度は机に何かをぶつける音。そろりとリヴィアンを見ると完全に壊れていた。ゴッゴッと机に頭をぶつけ始めたのだ。
「違う!だから、あー…。よし!今日の夜はリヴィアンと寝るから!それでいいだろ!?」
するとゆらゆらとぶつけていた頭をもたげ、俺を見る。数秒後、ボッという効果音が出そうなくらいリヴィアンの顔が赤くなる。
「ばっ、いいわよ!い、一緒に寝たいなんてとんでもない変態ね!馬鹿…」
威勢の良かった声は後半から小さくなりそして消える。重くなった空気を取り戻すためか、ウィルが手を鳴らす。
「ほっほっ。ではリヴィアン様。リヴァイアサンの躾をせねば。中庭で致しましょう。トリスト殿とマグ様もお立会いしますか?」
神獣の躾。ふむ。少し興味はある。俺はその問に首を立てに振る。
「そうだな。朝飯食ったら行こうか」
リヴィアンの機嫌もなんとか治ったのでなんとかなりそうだ。うーむ、見習いたいその多彩な技!結局みんなでリヴァイアサンの躾を見に行くことになった。
「ふみゅ…」
「寝顔はカワイイが朝までガッチリホールディング」
ぎりぎりと下腹部あたりが苦しい。結局朝まで寝られなかった。ふぇぇ、マグが朝まで眠らしてくれないよぉ。
「ん…。おはようございますトリスト」
「おう、おはよ」
「目元にくまが出来てますが、眠れませんでした?」
ケロリとした顔。悪気がない分余計にタチが悪い。
「ああそうだな。誰かが俺の下腹部をガッチリホールディングしていたからな」
「さて、朝ごはんを食べに行きましょう」
スルー。まさかのスルー。え?俺って異論反論異議質問申し立てられないのん?人権ないの?
「まあ化物に近いので人権も糞もありませんけどね」
はんっと鼻で笑われる。一種の軽蔑。あるいの嘲笑。腹立つわー。これやられると腹立つよね!さすがの温厚な俺でもプッチン!なので言い返してやる。
「はっ、化物幼女に言われた」
言っといて今更気づく。これは禁忌の言葉だと。マグが俺の前で止まり振り返る。振り返ったときの手はグーで握られています。
「それ以上は辞めておきなさい。でなければ私の魔法の右手が光って唸りますよ?」
もちろん手は光ってなどいない。え、魔法って何だっけ?
「それ魔法じゃないよね!?明らかに物理だよね!?」
「いいえ、魔法です」
きっぱりと答えやがった。魔法じゃないのに魔法とのたまいやがった。やだ何あの子怖い。
「では歯を食いしばりやがれです」
「ああ!早くしないと朝ごはんなくなるなー!ほら、急ごうぜ」
俺は些か強引にマグの柔らかい腕をつかみ歩く。それ以降マグは話さなかった。
○ ○ ○
食堂に着くとリヴィアンとクロビア公爵とウィルが席に座っていた。みんなやけに早起きだなぁ。
「やぁ。おはようトリスト君。昨日はよく眠れたかな?」
にやりと笑うクロビア公爵。この人絶対気づいているな。こんなときに使う言葉。ジョー○ター、貴様見ているな!クロビア公爵はかなりユニークなようだ。
「で、何でトリストとマグが仲良く手をつないでるわけ?」
リヴィアンは不機嫌そうに俺とマグをジト目で睨みつける。な、何?俺なんか悪いことした?したの?
「いや別に何にもないけど…」
そこにマグが笑いながらいう。
「別にいいじゃないですか。一晩を共にした仲でしょう?」
カラン。静かな食堂に金物が落ちる音が響く。音の原因の方を見る。リヴィアンでした。愕然とした顔で硬直している。
「おい!誤解を招く言い方をするな!」
「だって本当でしょう?」
「にしても言い方があるだろ!それに!俺は一睡もしてない!」
「へぇ、その心は?」
「お前が俺の下腹部を足でホールディングして締め付けていたからだよ!」
「足を絡めた?」
ゴッ!今度は机に何かをぶつける音。そろりとリヴィアンを見ると完全に壊れていた。ゴッゴッと机に頭をぶつけ始めたのだ。
「違う!だから、あー…。よし!今日の夜はリヴィアンと寝るから!それでいいだろ!?」
するとゆらゆらとぶつけていた頭をもたげ、俺を見る。数秒後、ボッという効果音が出そうなくらいリヴィアンの顔が赤くなる。
「ばっ、いいわよ!い、一緒に寝たいなんてとんでもない変態ね!馬鹿…」
威勢の良かった声は後半から小さくなりそして消える。重くなった空気を取り戻すためか、ウィルが手を鳴らす。
「ほっほっ。ではリヴィアン様。リヴァイアサンの躾をせねば。中庭で致しましょう。トリスト殿とマグ様もお立会いしますか?」
神獣の躾。ふむ。少し興味はある。俺はその問に首を立てに振る。
「そうだな。朝飯食ったら行こうか」
リヴィアンの機嫌もなんとか治ったのでなんとかなりそうだ。うーむ、見習いたいその多彩な技!結局みんなでリヴァイアサンの躾を見に行くことになった。
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