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鉱山都市ロイハイゲン編
53 水面の影
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前回のあらすじ。
「満月の映る水面から水神獣爆誕」
「さぁあやつを仕留めましょうぞ!」
だぁかぁらぁ!何でオメェなんだよぉ!
「来ますっ!」
マグが叫ぶ。ばっとリヴァイアサンの方に振り向く。赤い真紅の嘴から水が飛び出す。
「魔法抵抗!」
唱えた瞬間刃状の水が俺の目の前で弾ける。が、それだけでは終わらない。次々に水刃は俺を攻撃する。その怒涛の勢いに俺は少しずつ押されていた。
「な、何だよこれぇ!」
俺が悲鳴を上げたのを聞いたのか、マグが魔法を唱える。
「裂傷魔法!」
ビシビシっと何かが切れる音がするが、リヴァイアサンは何事もないように俺に攻撃を続ける。
「抜刀術、居合い!」
リヴィアンが刀を鞘から抜き、鞘の口からは火花が散る。が、
「う、硬い!」
リヴァイアサンの鱗が刃を通さないのだ。キィィと音が鳴り響く。その反動のせいでリヴィアンは無防備だ。それを狙うかのようにリヴァイアサンが水刃を飛ばす。
「危ない!」
そのとき、水刃が真っ二つに切れる。リヴィアンの前に立っていたのはウィルだった。
「ほっほっ。年甲斐もなく頑張ってしまったわい」
手には刀が握られている。鈍色に光る刀。
「妖刀、神殺刀。東洋の国では有名な神器でなかなか扱いが難しいのですよ」
怪しく光る神殺刀の刃の部分に水滴が垂れる。
「さて、あやつには物理的な攻撃は効かないようですぞ。トリスト殿は魔法が得意でしょう?」
キラリと光るウィルの目は、忍者ではなく侍に近しいものだった。
「ああ」
「わたくしが気を引きます。その間にトリスト殿はリヴァイアサンを奪取して下され」
奪取?ナニソレ?
「神獣は召喚獣としても扱えます。奪取とは神獣を魔法陣に封印することで、その魔法陣は複雑であればある程操作が細やかにできるようになります」
ははぁ、でもそんな封印の仕方わかんな
「あ」
俺はリヴィアンを見る。そうだよ、なんか召喚師になり損ねたって言ってたし。士よりも師のほうが上なわけで、結果召喚師にはなれなかったが召喚士にはなれているわけだ!
「リヴィアン」
「嫌よ」
ツンとそっぽを向く。リヴァイアサンはマグが相手をしているためこちらには気づいていない。
「お願いだよ!リヴィアンしかいないんだ!」
「そんな事言ったって、私は召喚師にはなれなかったの!こんな上級の神獣を操るなんて私には出来ない…」
少しずつ焦燥が俺の心を襲うのを感じつつ、リヴィアンの説得に入る。
「だから、このままだと全員死ぬんだよ!」
「殺せばいいじゃない!」
「いや、考えろよ!」
「何をっ!」
目に涙を浮かべてリヴィアンは俺を睨みつける。
「こいつを手駒にできればレヴィアタンを倒すのも容易にできるだろ!」
その考えがなかったのか、リヴィアンはハッとする。この子ホントにバカの子かしら?
「いいわ、あの女を殺れるならいくらでもね!」
リヴィアンの目が一瞬にして変わる。これは本気の目だ。
「良し。作戦はこうだ。俺がリヴァイアサンの周辺のマナを質量変換させて動きを鈍くさせる。その間に何とかしてくれ」
「何分くらい足止めできる?」
「長くても三分。最悪一分半。いけるか?」
リヴィアンは強く頷く。決心を固めたように。
「ええ、いけるわ。私こう見えても首席だったんだから。まあ、召喚師になれなかったのは仲の悪かった女の子に召喚獣使っちゃったからなんだけど」
全部自業自得じゃん!自分が悪いんじゃん!そう心の中で激しく突っ込みを入れる。それを感じ取ったのか、
「ふん。自分が弱いのがいけないのよ。私も弱かったせいでこうなったんだから」
何とかリヴィアンの説得に成功。残る問題は、
「さて、いっちょ暴れますか」
「そうね、私もなんだか最近暗い感じだったし」
リヴァイアサン奪取のみ。
「満月の映る水面から水神獣爆誕」
「さぁあやつを仕留めましょうぞ!」
だぁかぁらぁ!何でオメェなんだよぉ!
「来ますっ!」
マグが叫ぶ。ばっとリヴァイアサンの方に振り向く。赤い真紅の嘴から水が飛び出す。
「魔法抵抗!」
唱えた瞬間刃状の水が俺の目の前で弾ける。が、それだけでは終わらない。次々に水刃は俺を攻撃する。その怒涛の勢いに俺は少しずつ押されていた。
「な、何だよこれぇ!」
俺が悲鳴を上げたのを聞いたのか、マグが魔法を唱える。
「裂傷魔法!」
ビシビシっと何かが切れる音がするが、リヴァイアサンは何事もないように俺に攻撃を続ける。
「抜刀術、居合い!」
リヴィアンが刀を鞘から抜き、鞘の口からは火花が散る。が、
「う、硬い!」
リヴァイアサンの鱗が刃を通さないのだ。キィィと音が鳴り響く。その反動のせいでリヴィアンは無防備だ。それを狙うかのようにリヴァイアサンが水刃を飛ばす。
「危ない!」
そのとき、水刃が真っ二つに切れる。リヴィアンの前に立っていたのはウィルだった。
「ほっほっ。年甲斐もなく頑張ってしまったわい」
手には刀が握られている。鈍色に光る刀。
「妖刀、神殺刀。東洋の国では有名な神器でなかなか扱いが難しいのですよ」
怪しく光る神殺刀の刃の部分に水滴が垂れる。
「さて、あやつには物理的な攻撃は効かないようですぞ。トリスト殿は魔法が得意でしょう?」
キラリと光るウィルの目は、忍者ではなく侍に近しいものだった。
「ああ」
「わたくしが気を引きます。その間にトリスト殿はリヴァイアサンを奪取して下され」
奪取?ナニソレ?
「神獣は召喚獣としても扱えます。奪取とは神獣を魔法陣に封印することで、その魔法陣は複雑であればある程操作が細やかにできるようになります」
ははぁ、でもそんな封印の仕方わかんな
「あ」
俺はリヴィアンを見る。そうだよ、なんか召喚師になり損ねたって言ってたし。士よりも師のほうが上なわけで、結果召喚師にはなれなかったが召喚士にはなれているわけだ!
「リヴィアン」
「嫌よ」
ツンとそっぽを向く。リヴァイアサンはマグが相手をしているためこちらには気づいていない。
「お願いだよ!リヴィアンしかいないんだ!」
「そんな事言ったって、私は召喚師にはなれなかったの!こんな上級の神獣を操るなんて私には出来ない…」
少しずつ焦燥が俺の心を襲うのを感じつつ、リヴィアンの説得に入る。
「だから、このままだと全員死ぬんだよ!」
「殺せばいいじゃない!」
「いや、考えろよ!」
「何をっ!」
目に涙を浮かべてリヴィアンは俺を睨みつける。
「こいつを手駒にできればレヴィアタンを倒すのも容易にできるだろ!」
その考えがなかったのか、リヴィアンはハッとする。この子ホントにバカの子かしら?
「いいわ、あの女を殺れるならいくらでもね!」
リヴィアンの目が一瞬にして変わる。これは本気の目だ。
「良し。作戦はこうだ。俺がリヴァイアサンの周辺のマナを質量変換させて動きを鈍くさせる。その間に何とかしてくれ」
「何分くらい足止めできる?」
「長くても三分。最悪一分半。いけるか?」
リヴィアンは強く頷く。決心を固めたように。
「ええ、いけるわ。私こう見えても首席だったんだから。まあ、召喚師になれなかったのは仲の悪かった女の子に召喚獣使っちゃったからなんだけど」
全部自業自得じゃん!自分が悪いんじゃん!そう心の中で激しく突っ込みを入れる。それを感じ取ったのか、
「ふん。自分が弱いのがいけないのよ。私も弱かったせいでこうなったんだから」
何とかリヴィアンの説得に成功。残る問題は、
「さて、いっちょ暴れますか」
「そうね、私もなんだか最近暗い感じだったし」
リヴァイアサン奪取のみ。
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