上 下
9 / 19
城桜七乃はデートに憧れる

城桜七乃と取嶺結汰はデートが分からない

しおりを挟む
 デート…意:女性と散歩をしたり買い物をしたりすること。

 かくしてデートとはリア充がするものと言える。

 だが!リア充でもない俺がこうしてデートに誘われているのもまた事実。

 あの後の余談の回想。



「は?」

「だからっ、ああ!もうっ!これ以上は言わんからよく聞け!儂と!デートを!してくれ!」

 そんな事わかっている。脳で分かっても俺の精神が受け付けようとしないのだ。

「た、たかが女子達に追いかけられるだけで恥を忍んで俺にそんな事頼むなんてどうかして」

 ひゅっ。

 刹那、右頬に幽かな熱と痛みがあった。一体、取嶺結汰の身に何があったのか!

と、他人に徹するくらいにわからなかった。

 城桜の姿勢をよく見る。

 左手を真っ直ぐに伸ばし、城桜の目はすっと俺を見据えている。

 この目つき。絶対何人か殺ってる目だ。本気と書いてマジと読むくらいマジだった。

「るというかそうだよなそうそう。女が女に追いかけられるなんておかしいもんな笑い事じゃないよな。よしよし協力するからそんな目で俺をみるなぁ!」

 以上回想終わり。

 情けない?プライド?ねーよんなもん。

 もうあれだな、タイトル詐欺の作品だって言われても俺は疑わないな。

 まあ、とにもかくにも今週の土曜日にデートらしい。まだまだ時間なんて、

「ん?」

 ふとベットの横に張っているカレンダーが目に入る。

 今日は俺の中ではたしか水曜日だったような。あれ?おっかしいなぁ。カレンダーじゃ今日金曜日じゃないなか。

 オイオイ、んなわけあるか。と何度もカレンダーを見直す。

「ハハハ、そんなわけ」

 金曜日。

「ハハ、そんなわ」

 金曜日。

「ハ、ハ。そんな、ああ明日じゃねーかぁぁぁ!」

 この日程自己嫌悪になったのは久しぶりだった。

 さてはて、そこからいろいろあって今に至るわけだが、緊張して約束の時間より二時間早く来てしまった。

 べ、別に楽しみになんかしてないんだからねっ!

 そんな独り言り何十回繰り返したか、ようやく約束の時間の十分前になったところで、

「すまぬな。待たせたか?」

「ああ、早く来すぎて待った」

「お主が悪いのではないのか?」

「そんな事…あるな」

 他愛のない話。
 
 いつも通りの日常。

 でもだからこそ嘘臭い。

 いつまでも続くことのない青春は、何度も思い出の中でリピートされ、懐かしまれる。

「さて、どこへ行くのじゃ?」

 は?

「行くとこ決めて…」

「いやいや、こういうものは男性がエスコートするものじゃろ?」

 えー、えーえー。

 やっぱり桜姉ぱないっす!まじで今時っす!JKしてるっす!

「まあ、公園で散歩でも良いのじゃが」

 そうしたい気持ちは山々だ。何せ、今月のお金が残りわずかなのだ。がしかし、可愛い女性に奢らす男というのもなんだか嫌だ。

 情けなくない?金出せない男って。

 まぁこうやって男は女に金を貢ぐんだろうな。やだなー永遠に独身でいいよ。ホントにもう。

「よ、よーし!じ、じゃあ行こうか。どこに行きたい?」

 こうなったら意地でも男になってやる!

 …デートって何だっけ?
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

スケートリンクでバイトしてたら大惨事を目撃した件

フルーツパフェ
大衆娯楽
比較的気温の高い今年もようやく冬らしい気候になりました。 寒くなって本格的になるのがスケートリンク場。 プロもアマチュアも関係なしに氷上を滑る女の子達ですが、なぜかスカートを履いた女の子が多い? そんな格好していたら転んだ時に大変・・・・・・ほら、言わんこっちゃない! スケートリンクでアルバイトをする男性の些細な日常コメディです。

就職面接の感ドコロ!?

フルーツパフェ
大衆娯楽
今や十年前とは真逆の、売り手市場の就職活動。 学生達は賃金と休暇を貪欲に追い求め、いつ送られてくるかわからない採用辞退メールに怯えながら、それでも優秀な人材を発掘しようとしていた。 その業務ストレスのせいだろうか。 ある面接官は、女子学生達のリクルートスーツに興奮する性癖を備え、仕事のストレスから面接の現場を愉しむことに決めたのだった。

雌犬、女子高生になる

フルーツパフェ
大衆娯楽
最近は犬が人間になるアニメが流行りの様子。 流行に乗って元は犬だった女子高生美少女達の日常を描く

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました

フルーツパフェ
大衆娯楽
 とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。  曰く、全校生徒はパンツを履くこと。  生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?  史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。

校長先生の話が長い、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
学校によっては、毎週聞かされることになる校長先生の挨拶。 学校で一番多忙なはずのトップの話はなぜこんなにも長いのか。 とあるテレビ番組で関連書籍が取り上げられたが、実はそれが理由ではなかった。 寒々とした体育館で長時間体育座りをさせられるのはなぜ? なぜ女子だけが前列に集められるのか? そこには生徒が知りえることのない深い闇があった。 新年を迎え各地で始業式が始まるこの季節。 あなたの学校でも、実際に起きていることかもしれない。

処理中です...