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東海岸 〜束の間の安息4〜
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庭で、銃を持ち、的を当てるエディとそれを眺めているナオを鑑賞。
十メートル以上離れた的は、空き瓶だ。
「やってんな。」
隣に座り込むジェイは、ほらと、飲み物を寄越す。
「ナオに持たせるのか?」
「出来ればしたくないけど、状況によっては、否定出来ない。護身術ぐらいは教える。いざって言う時に必要だからね。」
「そのいざが来なきゃいいな。エディが壊れるぜ。見てみろよ。あんなに優しげな面、中々見れないぜ。」
ナオが質問してるのを嫌がらずに答え、穏やかに見てる様は、普段のギャングのリーダーの姿が違う。
「…ジェイ。頼まれてくれない。」
「人を荒く使うの、慣れてるよな。で、なに。」
「ヒステリー坊っちゃんを通じて、エディの昔の師匠をこちらに呼び寄せて。言い値で払う。」
「樒を巻き込むのか?フー一族が黙ってねえだろ。」
「見返りは勿論、渡すよ。お家騒動で忙しいだろうけどね。もし、味方になるなら、邪魔な連中を黙らしてやるって言って。」
「こわっ。でも、樒の話に耳を貸さないかもしれないぜ。」
「もし、ゴネるようなら、こう言って。師匠が弟子の足を引っ張んな。ハゲって。」
渋い顔をするジェイは、金はたくさん、もらうからなと、ガシガシと頭を掻く。
「場所は何処にいるんだよ?」
「カリブ海。バーミューダ諸島にいる。エディが探したから100パーいる。あいつ等に取られる前に、奪う。」
「常に奪ってないか。」
「気のせいだよ。ヒステリー坊っちゃん、変装はうまいし、キレてなきゃ、交渉うまいから。任せる。」
「お前が大半、キレさせてるんだよ。」
「聞こえないわー。」
ナオの後ろに回り込み、銃を構えて、教えてる。反動に驚いたようで、おっかなびっくり。エディが笑っている。
常に気を張って生きてこなきゃ、死んでいたような環境で見つけた眩しい存在を手放したら、死ぬよりも、辛い。
「くだらないもんにエディたちは、やらないよ。」
バシュッ。置いていたリンゴに撃った。
バラバラに落ちていく。果汁が飛び散り、草花を濡らす。
「で?あの女は、僕を足に使おうと?」
自室で、浴びるように酒を飲んでいた美青年は、眉をひそめる。愛しい男からの連絡に舞い上がったら、口を開けば、憎き女からの依頼。
「君はいつからあの女の下僕になったんだい?」
ため息をつきながらも、説明する彼は、どうにかと頼んでくる。
絹のように美しい長い黒髪をゆったり結いてる髪を触りながら、傷一つない繊細な指で、艷やかな唇をなぞる。
「十億はもらうよ。それから、協力もしてもらう。なんてたって、彼の師匠は、あのヴィクトル・ベルトフ。腕利きの暗殺者だ。魔神と言われた男を迎えに行くんだから。」
彼はありがとうと感謝を述べ、言い値で払うと言っていたことと、彼の居場所を告げ、及び、応じなかった場合の発言。
「なんだい?それ。」
さあと彼は苦笑いを漏らす。
彼はもう一度、ありがとうとつぶやき、おやすみと言う。
「他に…言うことはないのかい?」
笑って逃げられた。悔しい!酒瓶を派手に割る。
忌々しい同腹の兄たちも、ままならない自分の心も。
あの女は、側にいて、僕は、こんな息苦しい場所にいる。
その日、樒の部屋では、いつもよりも、激しい癇癪の音が響いた。
十メートル以上離れた的は、空き瓶だ。
「やってんな。」
隣に座り込むジェイは、ほらと、飲み物を寄越す。
「ナオに持たせるのか?」
「出来ればしたくないけど、状況によっては、否定出来ない。護身術ぐらいは教える。いざって言う時に必要だからね。」
「そのいざが来なきゃいいな。エディが壊れるぜ。見てみろよ。あんなに優しげな面、中々見れないぜ。」
ナオが質問してるのを嫌がらずに答え、穏やかに見てる様は、普段のギャングのリーダーの姿が違う。
「…ジェイ。頼まれてくれない。」
「人を荒く使うの、慣れてるよな。で、なに。」
「ヒステリー坊っちゃんを通じて、エディの昔の師匠をこちらに呼び寄せて。言い値で払う。」
「樒を巻き込むのか?フー一族が黙ってねえだろ。」
「見返りは勿論、渡すよ。お家騒動で忙しいだろうけどね。もし、味方になるなら、邪魔な連中を黙らしてやるって言って。」
「こわっ。でも、樒の話に耳を貸さないかもしれないぜ。」
「もし、ゴネるようなら、こう言って。師匠が弟子の足を引っ張んな。ハゲって。」
渋い顔をするジェイは、金はたくさん、もらうからなと、ガシガシと頭を掻く。
「場所は何処にいるんだよ?」
「カリブ海。バーミューダ諸島にいる。エディが探したから100パーいる。あいつ等に取られる前に、奪う。」
「常に奪ってないか。」
「気のせいだよ。ヒステリー坊っちゃん、変装はうまいし、キレてなきゃ、交渉うまいから。任せる。」
「お前が大半、キレさせてるんだよ。」
「聞こえないわー。」
ナオの後ろに回り込み、銃を構えて、教えてる。反動に驚いたようで、おっかなびっくり。エディが笑っている。
常に気を張って生きてこなきゃ、死んでいたような環境で見つけた眩しい存在を手放したら、死ぬよりも、辛い。
「くだらないもんにエディたちは、やらないよ。」
バシュッ。置いていたリンゴに撃った。
バラバラに落ちていく。果汁が飛び散り、草花を濡らす。
「で?あの女は、僕を足に使おうと?」
自室で、浴びるように酒を飲んでいた美青年は、眉をひそめる。愛しい男からの連絡に舞い上がったら、口を開けば、憎き女からの依頼。
「君はいつからあの女の下僕になったんだい?」
ため息をつきながらも、説明する彼は、どうにかと頼んでくる。
絹のように美しい長い黒髪をゆったり結いてる髪を触りながら、傷一つない繊細な指で、艷やかな唇をなぞる。
「十億はもらうよ。それから、協力もしてもらう。なんてたって、彼の師匠は、あのヴィクトル・ベルトフ。腕利きの暗殺者だ。魔神と言われた男を迎えに行くんだから。」
彼はありがとうと感謝を述べ、言い値で払うと言っていたことと、彼の居場所を告げ、及び、応じなかった場合の発言。
「なんだい?それ。」
さあと彼は苦笑いを漏らす。
彼はもう一度、ありがとうとつぶやき、おやすみと言う。
「他に…言うことはないのかい?」
笑って逃げられた。悔しい!酒瓶を派手に割る。
忌々しい同腹の兄たちも、ままならない自分の心も。
あの女は、側にいて、僕は、こんな息苦しい場所にいる。
その日、樒の部屋では、いつもよりも、激しい癇癪の音が響いた。
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