148 / 159
虫の知らせ
しおりを挟む
困ったなあ。
フランは、頭を悩ませていた。
目の前にいる妖精の少年は、兄らしき人物に叱られ、泣いている。
抱っこされているが、大粒の涙が、尋常ではない程の量で流れており、足元が水浸し。
強い魔力を感じている。
「エリー、人間の子供を二人も呼び寄せるなんて。お前の魔力でも、難しいんだよ。わかるだろう。大分、魔力が減っている。この大バカに何を言われても、無視しなさい。父上は大層、お怒りだ。逃げるな、グルーピー。」
エグエグと泣く彼に、諭すように話す彼は、グルーピーと言う青年に魔法をかけた。
「…さて、どうしたものか。」
「お家に帰れないのですか?」
「いや、帰れないと言うわけでないんだが、何分、ここは、妖精界だ。繋げるには時間が掛かってしまう。こちらの事情で、巻き込んでしまい、申し訳ない。」
気がついた。エリアスの兄の瞳が虹色みたいな虹彩を放っている。
「やー。」
泣きながらしがみついているエリアスは、グズグズしながら、拒否する。まだ遊びたい。
「妖精界って?」
ノアが首をかしげる。
「妖精だけの世界だ。君たちのいる世界とちょっとずれている。難しい話は置いておいて。転移術も時間がかかるし、暫し、ここにいてもらう他ないか。」
「あの!僕たちの家族が心配しちゃう。連絡は取れないんですか!」
レオは正義感と誠実さを兼ね備えた兄であり、もし、自分のせいでと、責めていたら、居た堪れなくなる。
「…無いわけでない。そうだな。」
思案する彼にドキドキしてしまう。
ところに代わり、庭に犬一匹に、子供が二人。
「モリア、ありそうだなと思ったら、吠えてね。掘るから。」
「ねーねー、リーサ、ほんとに、お宝出てくるの?」
「テレビでやってたもん。犬が庭で吠えたら、何か、出てくるんだよ!」
まず、モリアは、犬は犬でも、黒狗である。嗅覚は確かに鋭いが、躾されている立派な番犬。
庭を荒らしたことは、一度もない。
荒らすのは、いつだって、孫である。
「何かって、なーに?」
「えー。お宝だよ!金ピカのやつとか?」
「金ピカ?」
はしゃぐ二人に、モリアは、静かに佇んでいる。
「目がチカチカするぐらいの派手なやつ。」
「ダンジョンにあるみたいなお宝のやつがあるといいね!」
止める者がいない。あと、彼らは、砂場で遊ぶスコップ片手に、掘る気である。
正に、やる気満々。しかし、頭上から声がする。
「あなた達、やめなさいな。なんで庭を見ると、穴を堀りたがるの?フィルやコルルが、困るでしょう。」
窓からツェリが声を掛けてきた。
「まま!」
「こんな暑い日に、モリアを付き合わせるのは、止しなさいな。かわいそうだわ。あと、あなた、いくら言っても、帽子を被らないわね?庭に宝は埋まってないわ。」
「あるかもしれないじゃん。」
「おバカね。ここは、ロッシュヴォークの敷地よ?もっと厳重なところにあるに決まってるでしょ。お母様に庭を荒らして、怒られたばかりでしょ。」
自慢の庭に穴を掘った孫娘に、リリーエは、雷を落とした。
理由はお宝があるんではないかと、掘ったのだ。慌てた双子がリーサを庇った。
「おばあちゃんがあんなに怒るとはおもわなかったの。」
「お母様もまさか、孫娘が、穴を掘るなんて、思わなかったでしょうね。」
「ねーねー、ツェリおばちゃん。なんでクロッグを持ってるの?」
「そうだわ。あなた達、上がってきなさい。緊急事態よ。」
「?」
目を見合わせる。
「フランとノアがいなくなった?」
目をぱちくり。セミの抜け殻を探しに、森の中を探索したまでは良かったが、行方知れずになったらしい。
レオとメイドが同伴していた。
証言では、小さな光のような輪っかに吸い込まれていく二人を見たらしい。
捜索隊を出すレオたちと弟の安否がわからず、情緒不安定のノアの兄達から、助言を貰うべく、連絡画来たそうだ。多分、フランの兄の提案だ。
「お前、また何か、わからん踊りをしたわけじゃあるまいな!」
「してなーい!なんでリーサがしたことになってるの!あとわからん踊りじゃないやい!あれは、アメフラシのダンスだもん。」
ノアの兄であるイヴァンの詰問に動じないリーサは反論。アメフラシのダンスとは、かつて、甘えん坊たちが、間違った知識を得て、面白そうだからと、数日、踊っていた。
数日間、雨ばかり、降ったのだ。
あと、そのアメフラシのダンスは、可愛くなかった。がに股で延々とクルクルと周り、掛け声はよっよっと言う。即座に保護者は止めたが、面白がった子供たちには、逆効果。
「俺の可愛いノアを大抵、騒動に巻き込むのは、お前だ!」
「リーサじゃなーい!!」
男らしい柳眉な眉をひそめ、ノアと同じ青い海の色をした青年のイヴァンに食って掛かるリーサ。
横で今はそんな話じゃないと嗜めるレオが映っている。
「落ち着きなさい。ベイビーは何もしてないんだから。」
マルクスが前に出てくる。
「弟がいなくなって、不安がるのは、充分、わかるよ。でもベイビーは何もしてない。ベイビーを責めるのは、お門違いだよ。」
「すいません、マルクスさん。イヴァンは動揺してしまって。僕がいたのに…。」
「大丈夫だよ。レオ。」
レオは、弟たちが、消えた瞬間の魔法の流れを調べていると言う。
その光の輪のような魔力は、感じたことがない不思議な力だったらしい。
「光の輪…?」
アルミンが首をかしげる。
「どうしたの?アルミン?」
「アメフラシのダンス…あれ??引っ張られる?」
「?」
「んー?」
アルミンは考える。何処かで同じようなことを聞いた。
「あ!思い出したよ!コハクだあ!ほら、コハク、保育園の時にさ、行方不明になったじゃない?エルモおじいちゃんが暴れて大変だった時。」
「…?ああ!!あったあ。アメフラシのダンスを踊った時ね?」
「コハクに教えた時にさ、コハク、お外で踊ってたのに、いなくなっちゃって。次の日に帰ってきたの。怖くなかったって。お友達になったのって言ってたよ!」
「お友達って?」
「妖精だよ!妖精界の妖精だったって聞いたよ!悪戯ピンキーじゃなかったよ!って教えてくれたもん。」
画面越しのフランの兄もノアの兄の驚愕もその話を聞いていた周りの保護者らもあ然。
「妖精界の妖精…?」
「そうだよ!確か、コハク、妖精界へ行けるようになったって言ってたもん。」
ドカーンと爆弾を落とすアルミンに、後ろに気絶するイヴァンに、固まるレオの姿が映る。
「そうだった。悪戯ピンキーは妖精界にいないと聞いたの、がっかりしたの、覚えてる。」
別の意味で、悔しがるリーサにそうじゃないと、嗜める双子。
「コハクに連絡してみる?そしたら、二人は見つかるよ!多分。」
キラキラと目を輝かせるアルミンにリーサも妖精界に行きたーいと言うリーサ。
何処から突っ込めば、いいか、困り果てる周り。
妖精界とは特別な場所である。
おいそれと行けるような距離ではない。
「コハクにつなげて。」
無邪気にアルミンが提案する。
フランは、頭を悩ませていた。
目の前にいる妖精の少年は、兄らしき人物に叱られ、泣いている。
抱っこされているが、大粒の涙が、尋常ではない程の量で流れており、足元が水浸し。
強い魔力を感じている。
「エリー、人間の子供を二人も呼び寄せるなんて。お前の魔力でも、難しいんだよ。わかるだろう。大分、魔力が減っている。この大バカに何を言われても、無視しなさい。父上は大層、お怒りだ。逃げるな、グルーピー。」
エグエグと泣く彼に、諭すように話す彼は、グルーピーと言う青年に魔法をかけた。
「…さて、どうしたものか。」
「お家に帰れないのですか?」
「いや、帰れないと言うわけでないんだが、何分、ここは、妖精界だ。繋げるには時間が掛かってしまう。こちらの事情で、巻き込んでしまい、申し訳ない。」
気がついた。エリアスの兄の瞳が虹色みたいな虹彩を放っている。
「やー。」
泣きながらしがみついているエリアスは、グズグズしながら、拒否する。まだ遊びたい。
「妖精界って?」
ノアが首をかしげる。
「妖精だけの世界だ。君たちのいる世界とちょっとずれている。難しい話は置いておいて。転移術も時間がかかるし、暫し、ここにいてもらう他ないか。」
「あの!僕たちの家族が心配しちゃう。連絡は取れないんですか!」
レオは正義感と誠実さを兼ね備えた兄であり、もし、自分のせいでと、責めていたら、居た堪れなくなる。
「…無いわけでない。そうだな。」
思案する彼にドキドキしてしまう。
ところに代わり、庭に犬一匹に、子供が二人。
「モリア、ありそうだなと思ったら、吠えてね。掘るから。」
「ねーねー、リーサ、ほんとに、お宝出てくるの?」
「テレビでやってたもん。犬が庭で吠えたら、何か、出てくるんだよ!」
まず、モリアは、犬は犬でも、黒狗である。嗅覚は確かに鋭いが、躾されている立派な番犬。
庭を荒らしたことは、一度もない。
荒らすのは、いつだって、孫である。
「何かって、なーに?」
「えー。お宝だよ!金ピカのやつとか?」
「金ピカ?」
はしゃぐ二人に、モリアは、静かに佇んでいる。
「目がチカチカするぐらいの派手なやつ。」
「ダンジョンにあるみたいなお宝のやつがあるといいね!」
止める者がいない。あと、彼らは、砂場で遊ぶスコップ片手に、掘る気である。
正に、やる気満々。しかし、頭上から声がする。
「あなた達、やめなさいな。なんで庭を見ると、穴を堀りたがるの?フィルやコルルが、困るでしょう。」
窓からツェリが声を掛けてきた。
「まま!」
「こんな暑い日に、モリアを付き合わせるのは、止しなさいな。かわいそうだわ。あと、あなた、いくら言っても、帽子を被らないわね?庭に宝は埋まってないわ。」
「あるかもしれないじゃん。」
「おバカね。ここは、ロッシュヴォークの敷地よ?もっと厳重なところにあるに決まってるでしょ。お母様に庭を荒らして、怒られたばかりでしょ。」
自慢の庭に穴を掘った孫娘に、リリーエは、雷を落とした。
理由はお宝があるんではないかと、掘ったのだ。慌てた双子がリーサを庇った。
「おばあちゃんがあんなに怒るとはおもわなかったの。」
「お母様もまさか、孫娘が、穴を掘るなんて、思わなかったでしょうね。」
「ねーねー、ツェリおばちゃん。なんでクロッグを持ってるの?」
「そうだわ。あなた達、上がってきなさい。緊急事態よ。」
「?」
目を見合わせる。
「フランとノアがいなくなった?」
目をぱちくり。セミの抜け殻を探しに、森の中を探索したまでは良かったが、行方知れずになったらしい。
レオとメイドが同伴していた。
証言では、小さな光のような輪っかに吸い込まれていく二人を見たらしい。
捜索隊を出すレオたちと弟の安否がわからず、情緒不安定のノアの兄達から、助言を貰うべく、連絡画来たそうだ。多分、フランの兄の提案だ。
「お前、また何か、わからん踊りをしたわけじゃあるまいな!」
「してなーい!なんでリーサがしたことになってるの!あとわからん踊りじゃないやい!あれは、アメフラシのダンスだもん。」
ノアの兄であるイヴァンの詰問に動じないリーサは反論。アメフラシのダンスとは、かつて、甘えん坊たちが、間違った知識を得て、面白そうだからと、数日、踊っていた。
数日間、雨ばかり、降ったのだ。
あと、そのアメフラシのダンスは、可愛くなかった。がに股で延々とクルクルと周り、掛け声はよっよっと言う。即座に保護者は止めたが、面白がった子供たちには、逆効果。
「俺の可愛いノアを大抵、騒動に巻き込むのは、お前だ!」
「リーサじゃなーい!!」
男らしい柳眉な眉をひそめ、ノアと同じ青い海の色をした青年のイヴァンに食って掛かるリーサ。
横で今はそんな話じゃないと嗜めるレオが映っている。
「落ち着きなさい。ベイビーは何もしてないんだから。」
マルクスが前に出てくる。
「弟がいなくなって、不安がるのは、充分、わかるよ。でもベイビーは何もしてない。ベイビーを責めるのは、お門違いだよ。」
「すいません、マルクスさん。イヴァンは動揺してしまって。僕がいたのに…。」
「大丈夫だよ。レオ。」
レオは、弟たちが、消えた瞬間の魔法の流れを調べていると言う。
その光の輪のような魔力は、感じたことがない不思議な力だったらしい。
「光の輪…?」
アルミンが首をかしげる。
「どうしたの?アルミン?」
「アメフラシのダンス…あれ??引っ張られる?」
「?」
「んー?」
アルミンは考える。何処かで同じようなことを聞いた。
「あ!思い出したよ!コハクだあ!ほら、コハク、保育園の時にさ、行方不明になったじゃない?エルモおじいちゃんが暴れて大変だった時。」
「…?ああ!!あったあ。アメフラシのダンスを踊った時ね?」
「コハクに教えた時にさ、コハク、お外で踊ってたのに、いなくなっちゃって。次の日に帰ってきたの。怖くなかったって。お友達になったのって言ってたよ!」
「お友達って?」
「妖精だよ!妖精界の妖精だったって聞いたよ!悪戯ピンキーじゃなかったよ!って教えてくれたもん。」
画面越しのフランの兄もノアの兄の驚愕もその話を聞いていた周りの保護者らもあ然。
「妖精界の妖精…?」
「そうだよ!確か、コハク、妖精界へ行けるようになったって言ってたもん。」
ドカーンと爆弾を落とすアルミンに、後ろに気絶するイヴァンに、固まるレオの姿が映る。
「そうだった。悪戯ピンキーは妖精界にいないと聞いたの、がっかりしたの、覚えてる。」
別の意味で、悔しがるリーサにそうじゃないと、嗜める双子。
「コハクに連絡してみる?そしたら、二人は見つかるよ!多分。」
キラキラと目を輝かせるアルミンにリーサも妖精界に行きたーいと言うリーサ。
何処から突っ込めば、いいか、困り果てる周り。
妖精界とは特別な場所である。
おいそれと行けるような距離ではない。
「コハクにつなげて。」
無邪気にアルミンが提案する。
0
お気に入りに追加
157
あなたにおすすめの小説
冷宮の人形姫
りーさん
ファンタジー
冷宮に閉じ込められて育てられた姫がいた。父親である皇帝には関心を持たれず、少しの使用人と母親と共に育ってきた。
幼少の頃からの虐待により、感情を表に出せなくなった姫は、5歳になった時に母親が亡くなった。そんな時、皇帝が姫を迎えに来た。
※すみません、完全にファンタジーになりそうなので、ファンタジーにしますね。
※皇帝のミドルネームを、イント→レントに変えます。(第一皇妃のミドルネームと被りそうなので)
そして、レンド→レクトに変えます。(皇帝のミドルネームと似てしまうため)変わってないよというところがあれば教えてください。
6年後に戦地から帰ってきた夫が連れてきたのは妻という女だった
白雲八鈴
恋愛
私はウォルス侯爵家に15歳の時に嫁ぎ婚姻後、直ぐに夫は魔王討伐隊に出兵しました。6年後、戦地から夫が帰って来ました、妻という女を連れて。
もういいですか。私はただ好きな物を作って生きていいですか。この国になんて出ていってやる。
ただ、皆に喜ばれる物を作って生きたいと願う女性がその才能に目を付けられ周りに翻弄されていく。彼女は自由に物を作れる道を歩むことが出来るのでしょうか。
番外編
謎の少女強襲編
彼女が作り出した物は意外な形で人々を苦しめていた事を知り、彼女は再び帝国の地を踏むこととなる。
私が成した事への清算に行きましょう。
炎国への旅路編
望んでいた炎国への旅行に行く事が出来ない日々を送っていたが、色々な人々の手を借りながら炎国のにたどり着くも、そこにも帝国の影が・・・。
え?なんで私に誰も教えてくれなかったの?そこ大事ー!
*本編は完結済みです。
*誤字脱字は程々にあります。
*なろう様にも投稿させていただいております。
チート幼女とSSSランク冒険者
紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】
三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が
過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。
神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。
目を開けると日本人の男女の顔があった。
転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・
他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・
転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。
そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語
※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
「白い結婚最高!」と喜んでいたのに、花の香りを纏った美形旦那様がなぜか私を溺愛してくる【完結】
清澄 セイ
恋愛
フィリア・マグシフォンは子爵令嬢らしからぬのんびりやの自由人。自然の中でぐうたらすることと、美味しいものを食べることが大好きな恋を知らないお子様。
そんな彼女も18歳となり、強烈な母親に婚約相手を選べと毎日のようにせっつかれるが、選び方など分からない。
「どちらにしようかな、天の神様の言う通り。はい、決めた!」
こんな具合に決めた相手が、なんと偶然にもフィリアより先に結婚の申し込みをしてきたのだ。相手は王都から遠く離れた場所に膨大な領地を有する辺境伯の一人息子で、顔を合わせる前からフィリアに「これは白い結婚だ」と失礼な手紙を送りつけてくる癖者。
けれど、彼女にとってはこの上ない条件の相手だった。
「白い結婚?王都から離れた田舎?全部全部、最高だわ!」
夫となるオズベルトにはある秘密があり、それゆえ女性不信で態度も酷い。しかも彼は「結婚相手はサイコロで適当に決めただけ」と、面と向かってフィリアに言い放つが。
「まぁ、偶然!私も、そんな感じで選びました!」
彼女には、まったく通用しなかった。
「なぁ、フィリア。僕は君をもっと知りたいと……」
「好きなお肉の種類ですか?やっぱり牛でしょうか!」
「い、いや。そうではなく……」
呆気なくフィリアに初恋(?)をしてしまった拗らせ男は、鈍感な妻に不器用ながらも愛を伝えるが、彼女はそんなことは夢にも思わず。
──旦那様が真実の愛を見つけたらさくっと離婚すればいい。それまでは田舎ライフをエンジョイするのよ!
と、呑気に蟻の巣をつついて暮らしているのだった。
※他サイトにも掲載中。
転生したら赤ん坊だった 奴隷だったお母さんと何とか幸せになっていきます
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
転生したら奴隷の赤ん坊だった
お母さんと離れ離れになりそうだったけど、何とか強くなって帰ってくることができました。
全力でお母さんと幸せを手に入れます
ーーー
カムイイムカです
今製作中の話ではないのですが前に作った話を投稿いたします
少しいいことがありましたので投稿したくなってしまいました^^
最後まで行かないシリーズですのでご了承ください
23話でおしまいになります
【完結】貴方達から離れたら思った以上に幸せです!
なか
恋愛
「君の妹を正妻にしたい。ナターリアは側室になり、僕を支えてくれ」
信じられない要求を口にした夫のヴィクターは、私の妹を抱きしめる。
私の両親も同様に、妹のために受け入れろと口を揃えた。
「お願いお姉様、私だってヴィクター様を愛したいの」
「ナターリア。姉として受け入れてあげなさい」
「そうよ、貴方はお姉ちゃんなのよ」
妹と両親が、好き勝手に私を責める。
昔からこうだった……妹を庇護する両親により、私の人生は全て妹のために捧げていた。
まるで、妹の召使のような半生だった。
ようやくヴィクターと結婚して、解放されたと思っていたのに。
彼を愛して、支え続けてきたのに……
「ナターリア。これからは妹と一緒に幸せになろう」
夫である貴方が私を裏切っておきながら、そんな言葉を吐くのなら。
もう、いいです。
「それなら、私が出て行きます」
……
「「「……え?」」」
予想をしていなかったのか、皆が固まっている。
でも、もう私の考えは変わらない。
撤回はしない、決意は固めた。
私はここから逃げ出して、自由を得てみせる。
だから皆さん、もう関わらないでくださいね。
◇◇◇◇◇◇
設定はゆるめです。
読んでくださると嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる