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デニエルとリリーエ
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デニエルの部屋には、デニエルの趣味でもあるジャズ音楽のレコードがたくさん、保存されている。
古いアンティークの蓄音機が設置されていて、ゆったりと、曲が流れる。
メンテナンスも欠かさず、蓄音機を大切に扱ってるお陰で、今も現役。
今は、リーサが、デニエルの膝を占拠中。
「目は痛くない?」
「痛くない!リーサの目、綺麗でしょう!」
「うん。綺麗でかわいいよ。」
あの忌々しいアレが、無くなり、後遺症もなく、良かった。
「ガルガンズも大人しいよ!」
体内にいるガルガンズは、当初は、苛ついていて、術の進行を食い止めていたが、消すことが出来なかった事に、プライドが傷ついてる。
ダグラスが宥め、説得した。
「ガルガンズが暴れたら、駄目だもんね!ままが、ガルガンズが暴れていいのは、古狸に向けてなら、いいって言ってたから。」
「そうだね。古狸…。デヴィット…まあ、死なないだろうね。図太いからね。」
ツェリのデヴィット嫌いは、深刻である。
メイドがデニエルのために淹れたコーヒーの香りが部屋に漂う。デニエルは、ミルクもお砂糖も入れないブラックを好む。
「ブラックコーヒー、苦くないの?」
「苦味が美味しいかな。リーサの口には、合わないね。」
「苦いもん。」
ミルクやお砂糖をふんだんに入れなきゃ、飲めない。
リーサには、おねだりをして、入れてもらったコーラを飲んでいる。
「キンバリーがね、診に来てくれるよ。まだ目薬は、つけてって。」
「そうだね。言うことはきちんと聞いてね。」
「いいこだもん。」
鼻を高くする。
「ねぇねぇ。おばあちゃんと結婚したのは、政略結婚だったで本当なの?」
「そうだね。私達の時代には、それが当たり前でね。家同士が決めた結婚が主流だったよ。昔よりは厳しくはなかったけど。それでも親が決めた相手と結婚するのは、当たり前だったよ。私の父とリリーエの父親が取り決めたんだ。家柄が釣り合い、相応しいかどうかでね。今でも思い出すよ。リリーエと出会ったのは、ちょうど、リーサ位の歳でね。リリーエは、もう既に、出来上がったお嬢さんで、おめかしをしたドレスが良く似合っていてね。赤いワンピースで大きなリボンをつけてね。でも緊張していたのか、ちょっと頬を赤くしていてね。毅然と挨拶をしていたのに、なんだか、いじらしくて。かわいいと思ってね。私は、一生、彼女を守ると決めて誓ったよ。」
デニエルたちの時代では、政略結婚は当たり前であり、親が決めた相手と結婚をするのは、当たり前。
昔のように親子ほど離れたような年頃を結婚させることは無くなっていたようだが、それでも、十歳差ぐらいなら、誤差以内。
「父親が7歳の子供の結婚相手を探すんだ。何人かね。そして、母親が振るいをかけて、調整をするんだよ。決められた一人と顔見合わせをするんだよ。まあ、私達のときは、あまりにも性格が合わないとかであれば、解消できたけど。」
「途中で嫌だってなったら?」
「話し合いが始まるよ。政略結婚って言うのは、難しくてね。いわば、家同士の契約だからね。違えると、違約金とか、新しいまた婚約者を見つけるのは、想像より大変でね。だからこそ、滅多に起きない。」
デニエルは昔を思い出すように話す。
「良かったか悪かったかは、結果論になってしまうけど、私達の時代に、政略結婚ではなく、恋愛結婚を推し進めるような物語が流行ってね。政略結婚で、相手をどうしても好きになれないとか、違う相手を好きになったとか、好きな相手と結婚出来ないと不満を抱えた人達から爆発的に広まってね。離婚するのは、中々難しい時代でね。仮面夫婦と呼ばれている人達は、それに飛びついたりね。各地で大騒動を引き起こして…議論が白熱して、まあ、緩和された部分もあるよ。」
だからこそ、自分たちの子供の頃は、あまり、政略結婚と言うのは、廃れていった。もちろん、政略結婚をしてる家柄もある。
「私達はね、マルクスたちには、自由に結婚させようと決めていてね。まあ、マルクスには、フィルという幼馴染がいて、リリーエのお気に入りだったし、でも相思相愛だったからね。家に来て貰うのは、当然だったけど。ツェリは、ある日、好きになったサラトガと結婚するって言って、驚いたけど。」
クスクス笑う。
「ママは、絶対、パパと結婚するって決めてたって。」
「サラトガがロッシュヴォーク家の子供だとわかってね。ダグラスと話し合いをした時は、リリーエがサラトガが、ハルベルに来るんだと譲らなくてね。ダグラスは、ツェリを寄越せと世迷い言を吐いてね。」
リリーエは、なぜ、ツェリを渡せねばならないと、サラトガが家に来れば良いのだと言ったが、ダグラスは、サラトガは家の長男であり、ロッシュヴォークの性を捨てさせる訳にはいかないと、リリーエとダグラスは争ったらしい。
ちなみに、サラトガとツェリは、結婚式の話で花を咲かせていたらしく、蚊帳の外。
「ままは、ジオルクが家に来るんだって!でもカイヤがリーサが嫁に来るんだからって喧嘩してる。」
歴史は、繰り返される。
「それはおかしな話だね?」
なぜ、リーサを渡せねばならないのか?
古いアンティークの蓄音機が設置されていて、ゆったりと、曲が流れる。
メンテナンスも欠かさず、蓄音機を大切に扱ってるお陰で、今も現役。
今は、リーサが、デニエルの膝を占拠中。
「目は痛くない?」
「痛くない!リーサの目、綺麗でしょう!」
「うん。綺麗でかわいいよ。」
あの忌々しいアレが、無くなり、後遺症もなく、良かった。
「ガルガンズも大人しいよ!」
体内にいるガルガンズは、当初は、苛ついていて、術の進行を食い止めていたが、消すことが出来なかった事に、プライドが傷ついてる。
ダグラスが宥め、説得した。
「ガルガンズが暴れたら、駄目だもんね!ままが、ガルガンズが暴れていいのは、古狸に向けてなら、いいって言ってたから。」
「そうだね。古狸…。デヴィット…まあ、死なないだろうね。図太いからね。」
ツェリのデヴィット嫌いは、深刻である。
メイドがデニエルのために淹れたコーヒーの香りが部屋に漂う。デニエルは、ミルクもお砂糖も入れないブラックを好む。
「ブラックコーヒー、苦くないの?」
「苦味が美味しいかな。リーサの口には、合わないね。」
「苦いもん。」
ミルクやお砂糖をふんだんに入れなきゃ、飲めない。
リーサには、おねだりをして、入れてもらったコーラを飲んでいる。
「キンバリーがね、診に来てくれるよ。まだ目薬は、つけてって。」
「そうだね。言うことはきちんと聞いてね。」
「いいこだもん。」
鼻を高くする。
「ねぇねぇ。おばあちゃんと結婚したのは、政略結婚だったで本当なの?」
「そうだね。私達の時代には、それが当たり前でね。家同士が決めた結婚が主流だったよ。昔よりは厳しくはなかったけど。それでも親が決めた相手と結婚するのは、当たり前だったよ。私の父とリリーエの父親が取り決めたんだ。家柄が釣り合い、相応しいかどうかでね。今でも思い出すよ。リリーエと出会ったのは、ちょうど、リーサ位の歳でね。リリーエは、もう既に、出来上がったお嬢さんで、おめかしをしたドレスが良く似合っていてね。赤いワンピースで大きなリボンをつけてね。でも緊張していたのか、ちょっと頬を赤くしていてね。毅然と挨拶をしていたのに、なんだか、いじらしくて。かわいいと思ってね。私は、一生、彼女を守ると決めて誓ったよ。」
デニエルたちの時代では、政略結婚は当たり前であり、親が決めた相手と結婚をするのは、当たり前。
昔のように親子ほど離れたような年頃を結婚させることは無くなっていたようだが、それでも、十歳差ぐらいなら、誤差以内。
「父親が7歳の子供の結婚相手を探すんだ。何人かね。そして、母親が振るいをかけて、調整をするんだよ。決められた一人と顔見合わせをするんだよ。まあ、私達のときは、あまりにも性格が合わないとかであれば、解消できたけど。」
「途中で嫌だってなったら?」
「話し合いが始まるよ。政略結婚って言うのは、難しくてね。いわば、家同士の契約だからね。違えると、違約金とか、新しいまた婚約者を見つけるのは、想像より大変でね。だからこそ、滅多に起きない。」
デニエルは昔を思い出すように話す。
「良かったか悪かったかは、結果論になってしまうけど、私達の時代に、政略結婚ではなく、恋愛結婚を推し進めるような物語が流行ってね。政略結婚で、相手をどうしても好きになれないとか、違う相手を好きになったとか、好きな相手と結婚出来ないと不満を抱えた人達から爆発的に広まってね。離婚するのは、中々難しい時代でね。仮面夫婦と呼ばれている人達は、それに飛びついたりね。各地で大騒動を引き起こして…議論が白熱して、まあ、緩和された部分もあるよ。」
だからこそ、自分たちの子供の頃は、あまり、政略結婚と言うのは、廃れていった。もちろん、政略結婚をしてる家柄もある。
「私達はね、マルクスたちには、自由に結婚させようと決めていてね。まあ、マルクスには、フィルという幼馴染がいて、リリーエのお気に入りだったし、でも相思相愛だったからね。家に来て貰うのは、当然だったけど。ツェリは、ある日、好きになったサラトガと結婚するって言って、驚いたけど。」
クスクス笑う。
「ママは、絶対、パパと結婚するって決めてたって。」
「サラトガがロッシュヴォーク家の子供だとわかってね。ダグラスと話し合いをした時は、リリーエがサラトガが、ハルベルに来るんだと譲らなくてね。ダグラスは、ツェリを寄越せと世迷い言を吐いてね。」
リリーエは、なぜ、ツェリを渡せねばならないと、サラトガが家に来れば良いのだと言ったが、ダグラスは、サラトガは家の長男であり、ロッシュヴォークの性を捨てさせる訳にはいかないと、リリーエとダグラスは争ったらしい。
ちなみに、サラトガとツェリは、結婚式の話で花を咲かせていたらしく、蚊帳の外。
「ままは、ジオルクが家に来るんだって!でもカイヤがリーサが嫁に来るんだからって喧嘩してる。」
歴史は、繰り返される。
「それはおかしな話だね?」
なぜ、リーサを渡せねばならないのか?
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