小さなベイビー、大きな野望

夏休み突入

お決まりのように学期の最後に四人は、ゴットリーに呼ばれる。
「夏休みになりますが、宿題はちゃんとやること、お勉強もしっかりするのですよ。わがままばかり言わないこと、報告はきちんとやること。｣
「はーい！！｣
お返事はいつも良いのだ。
「帰ったら必ず、渡すのですよ。いいですね？」
「はーい！｣
保護者に渡すプリント。この四人のは、特別。


「おばちゃん。ゴットリー先生から。｣
「見せてちょうだい。｣
ゴットリーからの手紙だ。
注意喚起はしたことと、おそらく、四人が興味をひいてしまうイベントが近々、あることの知らせ。
おそらく、きちんと四人が知らせてるか、不安のため、宿題の内容を箇条書きで記されている。
「ふう。宿題、頑張りましょうね。｣
「うん！｣
リーサは言ったつもりの宿題内容は、ミステリー・ヴェンデの育成と絵日記とコントロールの練習だったが、実際は、それと、二学期から使用する魔物図鑑と植物の図鑑を見ておくこと。
あとは、字の練習。テキストが渡される。
字の練習と計算の練習
であるテキストの話は聞いてなかった。
「ベイビー。テキストはどこなの？」
「テキスト？なーにそれ？」
キョトン。鞄の中を漁る。
一応入っていたが、リーサの目に入ってなかった。
「なーにこれ。｣
「字の練習よ。ベイビー。｣
「リーサ、字、書けるもん。｣
「そうね。もっと綺麗に書けるように練習するの。｣
「ふーん？」
「こっちは、計算の練習のテキスト。｣
「計算、嫌い。｣
「必要なの。ベイビー。｣
字の練習はともかく、計算の練習は、嫌い。
リーサはいつも計算の授業中は、顔をしかめている。
「先生が、お絵かきしちゃダメだって。｣
「それはダメなの。｣
これはちゃんと、横で見なければ。



「アルミン、魔物図鑑ばかり、見ちゃダメよ。このテキストもあるのだから。｣
コルルは頭を痛めた。宿題に文句を言うつもりなどないが、新しい学期で使用する魔物図鑑を見ておくことが宿題に入ってる。これは由々しき問題。
ゴットリーからも、懸念は入っていたが、何分、必要なもの。
「知ってるよー。｣
目が魔物図鑑に目に入ってる。
こちらはこちらで大変。


「ミステリー・ヴェンデ、何色かなー。｣
呑気に、フランが言う横で、何だろうねと兄たちがほのぼのしつつ、宿題をチェック。
フランは、学ぶことを毛嫌いする子ではないので、安堵。
「リーサとね！勝負するの！セミの脱け殻競争。｣
「立派なのを取らないとね。｣
セミの脱け殻なら問題ないリーサがフランと競争するらしい。
ゴットリーからの手紙によれば、夏休み期間のイベントシリーズが記載されており、頭に叩き込む。


ノアは元より、勉強は好きである。
しかしながら、魔力コントロールの授業は、少しばかり苦手。
「ノアに教えて。にいさま。｣
「もちろんだよ。ノア。｣
ノア至上主義の兄三人は、ノア中心の夏休みを送る予定。
ゴットリーからは、兄たちに、ノア贔屓を克服することを勧められた一文があるが、可憐にスルー。


「スペンサー。さあ、宿題内容を提出なさい！｣
「えー！｣
「あなたは放っておくとやらないじゃないの！毎年、毎年！｣
強奪し、宿題内容を確認。
「夏休みなのに、なんで、宿題、あるんだよー。｣
「文句言わないの！ほら。調べものがあるじゃないの！遊びより優先なさいね！｣
「げー。｣
スペンサーは、帰宅するなり、フィルにより確保され、宿題をチェックされている。
やればできる子なのに、残念な子。