小さなベイビー、大きな野望

春子

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閑話(4)

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オフィーリアが初めて、後に出会う親友と会ったのは、幼稚園の時。
衝撃的な出会いだった。
幼稚園では、親に置いてかれる子達が泣くことは日常茶飯事。
しかしながら、リーサは、他に髄を見せない程の泣き振りを見せた。
「ああああんー。」
「ベイビー…迎えに来るからね?そんなに泣いたら、枯れちゃうわ…。」
優しい女性がリーサを宥めるが、最早、聞こえてない。後ろを振り向かないようにと、先生が促し、足早に出口に向かう。
リーサは泣いたら、ずっと泣いてるような子だった。
家族から引き離されたことはなかった彼女はショックの余り、泣き、先生がだっこしてるが、他にも何名か、同様に泣いてる。
後の甘えん坊集団に連なる面々だ。
対応に追われる先生が大変そう。
「…ねえ?お名前なんて言うの?私、オフィーリア。」
泣くリーサに声をかけたら、リーサは、泣いて真っ赤な瞳で、見つめる。
「…リーサ。」
「リーサちゃん?よろしくね。あっちで遊ばない?私、おままごとがしたいの。」
手を握る。


あの日からずっとリーサはオフィーリアと遊んでいた。心を許してくれたのだ。
リーサはあの毎日、お迎えをしてくれる女性…フィルに、私の話を飽きずに話している。
フィルはいたく、感激し、オフィーリアちゃん、よろしくね。と何度も何度も、私の手を握った。

後に家の事情で遅れて入園したジオルクと出会った。リーサは、ジオルクと会ったことがあったようで、幼稚園のいろんなことを教えていた。
ジオルクは問題のない、優等生だった。
問題だったのは、泣いて困っていたリーサが改善されたと思いきや、そんなことで、問屋は卸さない。
甘えん坊集団との出会いである。
元より、アルミンは、従兄弟同士で、面識はあり、仲は良かった。
家庭環境がほぼ似てる甘えん坊集団は、会ったが最後。波長を合わせ、一人ずつなら、まだしも、楽しくて、やらかす方に向かうのだ。
「見て!大きな芋虫。」
「すごーい。」
「アルミン…その子だーれ?」
「猫だよー。」
各々好き好きに動く。大抵のことは動じない。
甘やかされるのは、当然である彼らに、立ち向かう敵はいないのだ。少なくともここには。
「やめなさい。リーサ。まだお昼寝ではないの!」
「アルミン。猫を教室に入れないの!」
「フラン。ダメダメ。冒険はしないの!」
「ノア。どこにもいかないのよ!」
先生たちが四人に言い聞かすが、何が悪いのか、首をかしげている。
弁明をしておくと、四人は、言い聞かせれば、とってもいいこなのだ。
ただちょっとばかり、突拍子がないだけで。

リーサはある日、私に秘密を打ち明けた。
「リーサのお腹に、ガルガンズがいるのよ。」
「ガルガンズ?」
「ドラゴンだよ。パパがリーサが一番、いいからって。」
「?」
後にわかることだが、リーサには、ロッシュヴォークが守るドラゴンのガルガンズを託された。
「ガルガンズは、強いの!だから、リーサがオフィーリアちゃん、守る!」
「フフ。」
他愛もない約束だが、嬉しくて、うなずいた。
その日から、リーサは監視されていたそうだ。魔法省の特殊課の査問会の人たちだ。
当時は私はわからなかったが、リーサ含めた甘えん坊集団は機敏に感じとり、嫌がっていた。
お化けがいると、先生たちは困惑したものだ。
リーサが大好きな叔父に、泣きついて、やめさせたと言う。


あと、少しだけ、驚いたのは、リーサの母と私の父が知り合いだったこと。
そして、リーサは、母親の気質によく似てしまってる。
「ままあ。オフィーリアちゃんのパパが意地悪いう!」
「もうまたなの?バカね。オフィーリアちゃんはいずれ、うちに来るんだから待ちなさい。」
「ツェツリーエ。バカをいうな!なんで俺の愛娘を寄越さないといけない!」
「うるさいわ。」
「パパ。落ち着いて。」
ツェリとカインの喧嘩が始まる。
「カインが私に生意気だわ?」
「お前に言われたくないわ。へし折るぞ。」
「なあに?潰すわよ?」
「あなたたち!毎度、毎度、やめなさい!」
喧嘩をやめない二人を仲裁するフィル。
「毎度、言い合うのをよしなさい!ベイビー。お約束は?ダメよね?」
ショボショボするリーサ。
「私は何も悪くないわ。」
「あなたはいつになったら、寛容になるの…。ふう。ごめんなさいね。オフィーリアちゃん。また来てね。」
「はい!」
「またね。」
「バイバイ。」
何度も交わした約束。きっと大人になろうとも、変わりはしないだろう。
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