小さなベイビー、大きな野望

春子

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嫌いなものは、視界に映したくないタイプ

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リーサは、基本、マルクスやフィルフリークである。二人のイエスマンであり、他に比べたらきちんと聞くのだ。
二人の性格からして、素敵で立派な二人を貶す連中は、等しく、愚か者である。
母は言った。
バカは治らないものだと。
再三に渡る忠告を無視し、フィルに近づいた馬鹿なやつを懲らしめてる母に、そうかと、脳裏に焼き付いた。
「これ、捨ててきてちょうだい。」
命じていた。
ツェリはリーサを抱えて、中に入ったから、あとは知らない。


ハルベル…特に、ツェリと頗る相性が悪い特殊課の査問会の連中は、ツェリがリーサを妊娠してる頃から警戒していた。何故ならば、魔力の強いツェリとサラトガの子供だったからだ。
どちらの要素を引き継ごうとも、それは、強力な魔法使いになることは、わかりきっていた。
ツェリの妊娠の大半のストレスは、魔法省の極一部が、干渉してきたから。
妊婦の体に悪いと、抗議し、尚且つ、イライラが止まらないツェリは、魔法省のしかも、査問会が使用するエリア限定に、凄まじい雷雨を浴びせた。
サラトガが再三、ツェリは妊娠していて、大変なのだから、やめろと警告していたが、耳を貸さなかった。マルクスの怒りは、凄まじく、魔法省に、警告文を出したのだ。
無事に産まれた子供は女の子だった。
喜ぶハルベルを尻目に、査問会は警戒を緩めなかった。

成長したリーサの魔力が、ガルガンズの魔力と適合することがわかり、ロッシュヴォークの中で〝引き継ぎ〟が行われた。
これに過剰反応した査問会連中に、サラトガは怯まなかった。リーサを拘束すると聞き付けたツェリの怒りは止まらず、サラトガを返せと暴れまわった。
この件については、ロッシュヴォークもハルベルも家名を使っての抗議を行い、大騒動。
リーサは見知らない人間に見られ、泣きじゃくり、マルクスに助けを求めてから、発覚したのだ。
人見知りが功を奏した。
「いい。リーサ。お前に眠るガルガンズは、あの人たちにとっては、恐ろしくてたまらないんだよ。ガルガンズは暴れないんだけどね。」
ため息をつく父に、リーサは、と認識してるガルガンズを奪われるのは、実に不愉快。

それだけなら、きっと、リーサは、査問会を嫌がる程度で、良かったのだ。
しかし、あろうことか、中立面するあの憎き、デヴィットが、査問会を庇ったことから、リーサは敵愾心を持つようになった。
査問会側の誰か…名前は知らないし、顔も覚えてないが、そいつが、マルクスやフィルを詰るような発言をしたのだ。子供にわかるような発言だ。
〝だから、ダメなのだ…ハルベルは終わった…妹すら、止めることは出来ず…ましてや…。〟
リーサは、咄嗟に攻撃してしまった。と言っても可愛いものである。リーサはガルガンズの力をまだコントロール出来るほど、器用ではなかった。が、感情剥き出しの重力だった。咄嗟に、サラトガが魔力でかき消した。
暴れる娘を抑え、ため息をついたサラトガは、呟いた。
〝せめて、フランツの耳に入らないようにしろ〟と
リーサは大泣きであった。

後日、何故か、キングブレストから下山したフランツがどう意味だと、詰め寄り、ついでに、リーサを怖がらせた査問会連中は潰した。

リーサは基本、誰かに手を出したりしないが、マルクスやフィルをはじめた家族や友達に手を出されるのが、キライであった。その日から、リーサは我慢しなくなった。
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