小さなベイビー、大きな野望

春子

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覚えたての言葉は使いたいものである。

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コントロール授業を行った。
魔力をコントロールさせるのは、基本の基本。
術を展開しても、どれぐらいの威力か、あるいは、保持量の把握は大事。
集中力が試される。
魔力を練り上げ、想像し、力を出す。
これがまた難しい。少しでも違うことを考えたり、集中力が切れたら、消えてしまう。
中々、ハード。
体を動かしてるし、魔力を使うため、息が上がる。
ほっぺが赤い。
「はい、ここまで。」
ふうとため息をつく。良い汗を掻いた気分だ。
許されている水分補給をしっかり、取る。
家から持ってきたお茶だ。ゴクゴク。
「コントロール。難しいね!」
「うん。集中力が持つのは、ちょっと難しい。」
でもこれを会得しないと、いずれ、暴発して、大事故になったら、大変なので、みんな、きちんと受ける。


リーサは、その日、学校で何があったかを必ず、フィルに話す。
今日はコントロール授業をした内容を話そうと決める。帰宅準備を整えてると、隣のクラスで目立つガイックと言う少年が仲の良い友達と話してる会話が聞こえてきた。
「え?マジ?」
「?」
「よろず屋に行ったのか?」
よろず屋?
「まあ成り行きだって。たまたまだよ。」
「どんな感じだった?やっぱ、堅気じゃない感じ?アウトロー?」
「いや、気さくな感じの人だったよ。」
「ねえねえ。よろず屋ってなーに?アウトローってなーに?」
リーサが入ってきた。回りがあっと目を見開く。
ガイックは目を見開きながらも、答えてくれた。
「色町の便利屋ってところかな?依頼をして、金を払えば、何でもするお助け業。」
「色町?ふーん?」
「アウトローって言うのは、危険な男みたいな感じかな?」
「オスカーみたいな?」
「そっかな。」
聞いたことないが、そんなのがいるのか。
「リーサちゃん?準備出来た?帰ろ?」
ジオルクが声を掛けてきた。
「よろず屋。アウトロー。」
「え?何?何の話?」
ジオルクは首をかしげる。


リーサは素直に得た知識を夕食でフィルに披露した。もちろん、コントロール授業を頑張ったことも添えて。
「アウトローでよろず屋なんだよ!」
「…ベイビー?誰からそんなことを聞いたの?」
「危険な男って意味だって!ちょい悪?」
「また変な言葉を覚えてきて。やめなさいな。すぐに使おうとするの。」
ツェリが子牛のステーキを切り分けながら、リーサを嗜める。
「ねえねえ。便利屋さんだって!スペンサーのお部屋を片付けてもらえるよ!」
「あ!それ良いな。」
「スペンサー。」
フィルに言われ、すぐに、視線を逸らす。
「アウトローってかっこいい。」
「響きはね。でも近寄るのは、控えなさい。まあ、よろず屋の二人は、あなたにむやみに近寄らないと思うけれど。」
「どうして?」
リーサは母に尋ねる。
「リーサ、よろず屋があるのは、何処だか、わかる?」
「んー?色町。」
「そうだね。色町だよ。お友だちの家に行くのは、許してるけど、他はダメだよ?約束したよね?」
サラトガに言われて、頷く。
何とか、諦めさせたい。
リーサは頷いた。

が、一度、覚えて、吹聴すると、使いたくなるのが、幼い子あるある。
伝染したかのように、甘えん坊たちの中で、アウトローは渋い男で危険な男だと。ちょい悪がカッコいい!とつけ髭をつけ、高らかに、ポーズを取る四人に、フィルたちは頭を抱えた。
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