小さなベイビー、大きな野望

春子

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反省

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連れ戻されたリーサたちは、仲良くお説教を受けた。
が、今回は、リーサは、サラトガにも叱られた。
「リーサ。ガルガンズの技を何で使ったの?パパ、使っちゃダメって言ったよね?」
「ごめんなさい。」
既に泣いて、瞼が腫れてる。
「ガルガンズに何て頼んだの?」
「嘆きの咆哮を頼んだの。かなり抑えてって頼んだのよ!」
嘆きの咆哮を使ったのか。頭が痛い。いや、まだ良かったと捉えるべきか。
ガルガンズが多分、忖度し、力をかなり抑えて、出したに決まってる。でなければ、その場にいた者や建物など、消し炭になっていただろう。
「直ぐ様、回収したいけど、まだ犯人は捕まってないし、マダムたちは、利用するだろうし。」
スペンサーが作った吹き込み式ビー玉は、コンパクトで、容量も性能も、まだ良くない。が、ガルガンズが多少、絡んでいるならば、威力は、計り知れない。
魔法省にバレた時の対策とガルガンズの咆哮の被害を考えなければ。
「犯人が捕まり次第、回収だな。リーサ。暫くは、お前の大嫌いな査問会が張り付くかもしれないけど、我慢なさい。」
「…ん。」
リーサをだっこ。
幼い子の突拍子もない考えや行動は時に、打開策に繋がる。けれど、今回は庇えない。





リーサからもらったビー玉の仕組みを聞いた四天王は、それを利用した。
いざとなれば、骨まで、焼き尽くすガルガンズの咆哮。例え、ビー玉に吹き込まれたものでも、威力は計り知れない。
何人かの釣りを志願した子に、仕込み、誘い込んだ。それは、予想以上に、破壊し、役に立った。
「死んでないだね?」
「はい。気絶するように倒れておりますが、命はあります。」
「フンッ。被害は。」
「三番街通路の建物および、石畳のひび割れ。住人や客には、怪我人なし。エルザが、逃げるときに転けて、擦りむいた位ですね。」
「身柄は?」
「捕縛しています。他の方々もお待ちです。」
「血気盛んなあの小僧が、手を出す前に、行くかね。落とし前をつけてやろうじゃないかい。死なすんじゃないよ。」
「心得ております。」
マダムは踵を返す。
エルザが逃げ込んだ現場を見に来たのだ。
ただ、゙鳴いただけ"でこんなに被害を与えられるなんて、そりゃあ、あの魔法省が恐くて、小さい娘を監視する。
「ビー玉は、サラトガに返しな。過ぎたものを持ってるとロクなことにならん。」
「はっ。」
馬車に乗り込む。



リーサは大分、こってりと叱られ、夕飯も大人しく、全部は食べれなかった。
可哀想だが、仕方ない。が、双子は、兄でもあるネフェルを睨み付けてる。
ロクサスが監視していたが、隙をついて、部屋から出て、リーサを色町に連れ出した。
ネフェルの気持ちがわからないわけではないが、リーサを何故、今、危険地帯の色町に連れ出したと、もし、昼間に出るような奴だったら、どうしていたんだと、思う。
もし、鉢合わせにでもなったら、恐ろしい。
双子の睨み付ける視線を甘んじて受けるネフェル。



「ネフィ。ほっぺた、どうしたの?」
「ンー。お前のナイトたちに、殴られたの。」
「ナイト?ナイトって誰?」
リーサは痛くないおまじないしてあげると、擦る。
ネフェルはありがとうと微笑む。
双子がネフェルを呼びつけ、何があったらどうするんだとか、面白半分で危険人物に近寄ろうとする癖をやめろとか、キレていた。甘んじて、受ける。
まあ、手加減して、殴ったのは、わかってるし、リーサを利用した手前、受けるべき、罰である。



三文小説にもならない下らない理由で、可愛い従業員を失ったのだ。四天王は、治外法権を理由に司法に渡さず、色町でのあくまでも、内部の事だと、処理をした。
ひっそりと、処分された犯人たちは、誰に知られるわけもなく、この世から消え去り、また新しい事件に埋もれていく。


魔法省にバレたが、サラトガが笑顔で対処。
「うちのリーサは時にお転婆で、誰に似たのか。」
「サラトガ。由々しき事態だ。貴様の言い分は、聞きあきたわ!」
「そう怒りなさいますな。あくまでも、彼処は治外法権の色町です。犯人を捕まえた一因でもある。誉められる謂れはあっても、怒鳴られる謂れはありません。」
「貴様。」
押し問答だ。ガルガンズを恐れてる奴等からしたら、リーサが今回、例え、録音であろうと、吹き込まれた咆哮の威力は、普通に危険だ。
ビー玉を所持していた子達から、聞き取り調査を行うと、危険が及んだ時に、光り、唸るような咆哮が聞こえたと言う。気づくと、犯人が倒れていて、建物や地面に亀裂が走った。
ガルガンズが忖度し、手加減して、唸ったのだろうが、そもそもが、世界最古のドラゴンである。
犯人を消し炭にしていたら、まあそれはいいや。
辺り一面、なにも残らない焦土にしていたら、こんな悠長なこと、してられなかった。
「被害は、建物や地面に亀裂したそうですが、人には、怪我すら与えてない。犯人はノーカンでお願いしますね。」
「その理屈で納得出来ると?」
「うんと頷いてもらう他、ありませんね。お互いのために。」
剣呑に光るサラトガの目付き。
「色町に行く前にカタをつければ、宜しかったのに。」
であれば、そもそもが起きてないのだ。


「あら。やだわ。査問会のヤツじゃないの。」
これ見よがしにわかる位置にいる査問会の連中に嫌な顔をするツェリ。
リーサは渋い顔。
「あなた、これに懲りて、大人しくなさいな。ままは、貴女の時は、レディと言われるほど、おしとやかだったわ。」
「おしとやか?」
リーサはツェリを見上げる。
おしとやかだったと聞いたことはないリーサは、首を傾げる。




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