小さなベイビー、大きな野望

春子

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色町の女たち

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色町の女は、夜の蝶々と呼ばれ、艶やかで、美しい女たちが、もてなす。
色んな事情を抱えた女たちは、色町にいることで、四天王の庇護を得られるため、色町から出ていかないことが多い。
元締めは、四天王の誰かで、所属するところで変わるが、一定にして、一度、自分の組に入った者は、四天王のものであり、何人たりとも、手出し無用。
衣食住の他、トラブル等の後ろ楯になってくれる代わりに、色町や彼らの回りで働くのだ。
他所からわざわざ、色町に来て、庇護を求めに来る者も多数いる。
マダムの管轄は、売春などの斡旋の売上や色町に於いての食事処の売上等で、シマを守っている。従業員及び、その家族をシマの中で、住まわせ、家族同然の扱い。

娼館に住む女たちは、普通なら暗いはずの顔でいるが、ここでは違う。
衣食住の保証もひいては、家族の安全もあり、尚且つ、衛生面的や店の絶対ルールがある。それが、彼女らを守っている。
他の土地から逃げるようにやって来た、新入りのエルザは、まだ18の若い女の子であるが、7才の弟とここに住んでいる。マダムは、姉のエルザが働く代わりに、弟の学費を援助と言う形で、現在、弟は、学校に通えている。以前からしたら、あり得ない処遇だ。プライベートルームは、確保されていて、仕事部屋と違う建物だ。仕事する時に、渡り廊下を歩いて、隣の館に向かうのだ。ここにいる娼館の先輩たちは、姉御肌の面倒見が良かったり、優しかったり、娼館だと忘れるほど、良い環境。
先輩のマチルダ姐さんは、まだ24歳と言う若さだが、一人息子がいて、弟と変わらない年の子を抱えている。父親は誰か、わからないらしいが、ここでは、当たり前だと言う。
「他ではあり得ない厚待遇だよ。子供は、学校に通わせて貰える。食うに困らない。なにかあれば、マダムが後ろ楯になってくれる。あたしは、現役を退く日が来たとしても、この街から離れやしない。もし、現役引退したら、店を開こうかな。小さな酒場をさ。あんたも、一緒に働く??」
クスクス笑う彼女に、笑う。
マダムの命令で、月一で、健康診断を受けさせられる。こう言った仕事だ。とてもありがたい。
「ちょっとあんたたち。大変だよ!!」
「何よ。あたしは非番よ!」
「違うわ。マチルダ。あれが現れたのよ!」
「…え?」
「あれ?」
娼館がざわついた。エルザは首を傾げる。
「小さなお姫様よ。」
小さなお姫様?
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