小さなベイビー、大きな野望

春子

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お掃除メイド

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スペンサーの趣味のひとつは、開発である。
仲間と一緒に作る作業時や個人で開発でするときもあり、成功例をあげるならば、非正規ではあるが、盗聴器の開発、匂袋等々。
もちろん、失敗作もある。
スペンサーは恐れ知らず。
部屋はその開発品の材料が乱雑に置かれ、腐海の森と化しており、掃除を命じても、数日後には、元通り。
今日もまた、部屋から、爆発音。
ヴォォェン。
ビクッ。リビングでフィルに甘えていたリーサは、抱きつく。フィルは立ち上がり、
「スペンサー!!!」
フィルの怒鳴り声。リーサは、リビングにいるように指示される。どうやら、爆発し、部屋から悪臭が流れていく。
「スペンサー!テメー。何して…くさっ。」
「ぎゃああ。目が染みる。」
双子が文句を吐く。
フィルが来て、洗浄魔法をかけ、スペンサーに大説教。
「いやあ。」
スペンサーに罰を与える。ごちゃごちゃした部屋の片付けも命じた。


しばらくして、平和な昼の穏やかな時は、崩され去った。
「きゃあああ!!」
リーサは、背後から迫る黒ドレスを着たメイドに追いかけられてる。
モップを不乱に、振り撒く。泡が廊下に飛び散る。
ちなみに止めようとしたスペンサーは、返り討ちにあい、倒れてる。
「まま!!」
リーサは足が遅いし、持久力があまりない。
滑って転ける。
「あ!」
バタン。リーサを狙うかのようにメイドがモップを押し付けようとする。
ギュっ。目を閉じる。
「困るわ。うちの娘に何してるの?」
ツェリは意図も簡単に、人形を止めた。リーサは、母に抱きつく。
「これはなんなの?フィル不在に何をしてるの?」
「お掃除メイド。スペンサーがおばちゃんにあげようとして作ったやつ。さっき、動かしたの。そしたら、暴れたの。」
「手伝いをさせようとして、作ったのね?失敗したけど。ああ。こんなに泡吹いて。」
洗浄魔法をかける。
「スペンサーは。」
「お風呂。そこで、動かしたから。」
風呂場にいくと、泡まみれの体に倒れてるスペンサー。
「スペンサー。可哀想だけど、フィルの説教は免れないわ。」
そう告げた。


フィルは頭を抱えた。今回に関しては、母想いのために作ったものが失敗。まあ、汚したし、怒らなきゃいけないから、叱ったが、気持ちは嬉しいわと伝えた。
「欲張って、魔石を使いすぎたわ。」
「お顔もちょっと怖いよ。変えて。」
「そうだな。はじめてだから。改良の余地が必要か。」
「スペンサー…。」
諦めないのは、良いことだが、時と場合による。
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