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5.帰還
4.
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「この下にいる」
翌日の昼ごろライアス殿下に連れられ俺とアヒン殿下は地下に来ていた。
昨日言っていた美優さんの所へ案内してくれるらしい。
「こんな所に…」
地下は鉄格子で区切られた部屋が連なっており刑務所みたいだった。こんな所に居るという美優さんは一体何をしたのだろうか?
少し不安になった俺を感じ取ったアヒン殿下が肩を抱いてくれる。
1番奥の部屋、頑丈な鉄格子の奥に変わり果てた美優さんがいた。以前見た時は露出が高い高級なドレスを身にまとっていたのに今日は質素なワンピースを着ている。髪はボサボサですっぴんなのか酷い有様だ。
美優さんのすっぴん初めて見たかも…
一緒に住んでいた時もスッピンを見た事がなかったが化粧している時と結構違っていたらしい。
「あんた…何でここにいるの?」
美優さんが俺に気づいたみたいで睨みつけてくる。
「美優さんがここにいると聞いて…」
「はっ!嘲笑いに来たの?」
「そんな事ない!」
「どーだか…」
小馬鹿にした様に首を振られる。
俺は何を言っても同じに思え口を閉じた。
「この者は自分が聖女であると虚偽を述べ、大臣達を唆し至福を肥やし、聖女三葉の在らぬ噂を立て聖女様のお立場を危うくした詐欺の容疑が掛かっている。そして私の婚約者である公爵家の長女サーシャに暴行を働いた罪もありここに入れられている」
「暴行?…サーシャ様はご無事ですか?」
昨日姿は見れたが一言も喋れなかった。か弱い女性なのに大丈夫だっただろうか?
「サーシャは武術に長けてるから大丈夫だ。こいつの事を捕らえたのもサーシャだしな」
「あ、そうなんですね…」
流石公爵家。女性であっても武術は本格的に教わるらしい。
聞けば美優さんは、自分こそがライアス殿下の側にいるのが相応しいと宣い登城していたサーシャ様に食ってかかったのだとか…
聞けば聞くほど恥ずかしい話だ。ライアス殿下とサーシャ様は家柄だけではなく、相思相愛でお似合いのお二人なのに。何を根拠に自分の方がライアス殿下に相応しいと言ったのか…
「ご迷惑をお掛けして申し訳ありませんでした…」
「全くだ」
ライアス殿下も相当キレている様で美優さんの事を睨みつけている。
「あの…美優さんはこれからどうなるのでしょうか?」
「王族を謀ったのだ。斬首されてもおかしくはない」
「斬首っ!?ちょっと、聞いてないわよ!?」
美優さんも初耳だったのか鉄格子まで詰めてきて騒ぎ始める。
「何故お前に言う必要がある?それに罪を犯したのなら身をもって償うのが当たり前だ」
ライアス殿下の物言いに何も言う言葉が出ない。
「ちょっと三葉!あんた私の事助けなさいよっ!家族でしょ!!」
今迄同じ家族である事を嫌がっていた癖に今はそれを全面に出してくる美優さんにため息が出る。
「汚らわしい。それ以上近づくな。三葉が怖がっているだろ?」
「汚らわしいですって!?…そっちの方こそよっぽど汚らわしいわよ!男同士で好きになって馬鹿みたいっ」
俺とアヒン殿下を見ながら暴言を吐いてくる。
「そのご自慢の顔で男も誘惑したの?あんたって本当に気持ち悪いわねっ」
「こいつの処刑は私が実行しても構わないよね?」
「え?あ、…流石に陛下に許可を得ないと…」
綺麗な微笑みでライアス殿下に問うと珍しく歯切れの悪い返答が返ってくる。その返答にチッと舌打ちをうつアヒン殿下が怖い。
「早く愛しの男に私の事出す様に言いなさいよ!男を誑かすのはあんたの得意分野でしょ?」
アヒン殿下の様子に気付く様子もなく美優さんが言葉を続ける。
俺は何も言い返せなくて情けない。
視線を下に落とすとブシャという音と足元に赤い点が飛んできたのが見えた。恐る恐る視線を上げると美優さんの左手の手首がない。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!!」
自分の手首がない事に驚いた美優さんの声が児玉する。
「死ぬ死ぬ血が手首が!死ぬぅぅううう」
「はっ、紛いなりにもお前も治癒力が長けてるだろ?自分で治せ」
そう言い捨てるとアヒン殿下は俺を連れ立って地上へと上がった。後ろからは美優さんの悲痛な叫びが響き渡り地上へと上がるまでその声が聞こえ続けた。
翌日の昼ごろライアス殿下に連れられ俺とアヒン殿下は地下に来ていた。
昨日言っていた美優さんの所へ案内してくれるらしい。
「こんな所に…」
地下は鉄格子で区切られた部屋が連なっており刑務所みたいだった。こんな所に居るという美優さんは一体何をしたのだろうか?
少し不安になった俺を感じ取ったアヒン殿下が肩を抱いてくれる。
1番奥の部屋、頑丈な鉄格子の奥に変わり果てた美優さんがいた。以前見た時は露出が高い高級なドレスを身にまとっていたのに今日は質素なワンピースを着ている。髪はボサボサですっぴんなのか酷い有様だ。
美優さんのすっぴん初めて見たかも…
一緒に住んでいた時もスッピンを見た事がなかったが化粧している時と結構違っていたらしい。
「あんた…何でここにいるの?」
美優さんが俺に気づいたみたいで睨みつけてくる。
「美優さんがここにいると聞いて…」
「はっ!嘲笑いに来たの?」
「そんな事ない!」
「どーだか…」
小馬鹿にした様に首を振られる。
俺は何を言っても同じに思え口を閉じた。
「この者は自分が聖女であると虚偽を述べ、大臣達を唆し至福を肥やし、聖女三葉の在らぬ噂を立て聖女様のお立場を危うくした詐欺の容疑が掛かっている。そして私の婚約者である公爵家の長女サーシャに暴行を働いた罪もありここに入れられている」
「暴行?…サーシャ様はご無事ですか?」
昨日姿は見れたが一言も喋れなかった。か弱い女性なのに大丈夫だっただろうか?
「サーシャは武術に長けてるから大丈夫だ。こいつの事を捕らえたのもサーシャだしな」
「あ、そうなんですね…」
流石公爵家。女性であっても武術は本格的に教わるらしい。
聞けば美優さんは、自分こそがライアス殿下の側にいるのが相応しいと宣い登城していたサーシャ様に食ってかかったのだとか…
聞けば聞くほど恥ずかしい話だ。ライアス殿下とサーシャ様は家柄だけではなく、相思相愛でお似合いのお二人なのに。何を根拠に自分の方がライアス殿下に相応しいと言ったのか…
「ご迷惑をお掛けして申し訳ありませんでした…」
「全くだ」
ライアス殿下も相当キレている様で美優さんの事を睨みつけている。
「あの…美優さんはこれからどうなるのでしょうか?」
「王族を謀ったのだ。斬首されてもおかしくはない」
「斬首っ!?ちょっと、聞いてないわよ!?」
美優さんも初耳だったのか鉄格子まで詰めてきて騒ぎ始める。
「何故お前に言う必要がある?それに罪を犯したのなら身をもって償うのが当たり前だ」
ライアス殿下の物言いに何も言う言葉が出ない。
「ちょっと三葉!あんた私の事助けなさいよっ!家族でしょ!!」
今迄同じ家族である事を嫌がっていた癖に今はそれを全面に出してくる美優さんにため息が出る。
「汚らわしい。それ以上近づくな。三葉が怖がっているだろ?」
「汚らわしいですって!?…そっちの方こそよっぽど汚らわしいわよ!男同士で好きになって馬鹿みたいっ」
俺とアヒン殿下を見ながら暴言を吐いてくる。
「そのご自慢の顔で男も誘惑したの?あんたって本当に気持ち悪いわねっ」
「こいつの処刑は私が実行しても構わないよね?」
「え?あ、…流石に陛下に許可を得ないと…」
綺麗な微笑みでライアス殿下に問うと珍しく歯切れの悪い返答が返ってくる。その返答にチッと舌打ちをうつアヒン殿下が怖い。
「早く愛しの男に私の事出す様に言いなさいよ!男を誑かすのはあんたの得意分野でしょ?」
アヒン殿下の様子に気付く様子もなく美優さんが言葉を続ける。
俺は何も言い返せなくて情けない。
視線を下に落とすとブシャという音と足元に赤い点が飛んできたのが見えた。恐る恐る視線を上げると美優さんの左手の手首がない。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!!」
自分の手首がない事に驚いた美優さんの声が児玉する。
「死ぬ死ぬ血が手首が!死ぬぅぅううう」
「はっ、紛いなりにもお前も治癒力が長けてるだろ?自分で治せ」
そう言い捨てるとアヒン殿下は俺を連れ立って地上へと上がった。後ろからは美優さんの悲痛な叫びが響き渡り地上へと上がるまでその声が聞こえ続けた。
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