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3.隣国戦争
9.
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「お帰りなさい」
「ただいま」
村人の避難が終わりテントでアヒン殿下の帰りを待っていると日付が変わる頃戻って来た。昼間に拘束したスパイから事情聴取をするのに時間が掛かっていたのだろう。
「起きててくれたんだね」
昼間の威厳がある殿下と異なり今の殿下はいつも通り優しい口調で話してくれる。
「はい。まだ夜の分をしてないですから…」
それに聖女の力のコントロールの練習をしていたらあっという間に時間が過ぎていた。
「ふふ。ちょっと待ってて、シャワー浴びてくる」
「あ、ごゆっくりどうぞ!」
アヒン殿下はこくりと頷くと頭を撫でてから浴室へと向かった。
殿下から頭を撫でてもらうのは気持ちが良かった。何だか胸がポワポワする。
殿下の事を考えていたら時間が経っていたらしく腰にタオルを巻いただけの状態の殿下が出て来た。
「っ!」
何故だか見てはいけないものを見た気がして目を逸らした。だが一瞬見た殿下の鍛え上げられた上裸が鮮明に記憶に残っており顔が赤くなる。
「どうしたの?三葉?」
殿下はあろう事かそんな霰もない格好で三葉の隣に座って来た。殿下のタオルの中が見えそうだ。
「で、殿下何でそんな格好なんですか!?」
「ん?暑かったから?」
そうか。暑かったのか…俺おかしい。同じ男同士なのに何で殿下の事意識してるんだろう?
「もしかして…意識してくれてる?」
殿下に顎を持たれ少し上に上げられた。殿下の顔と近くなる。全てが綺麗過ぎて見ていられなくて目を逸らす。
「目逸らさないで」
「っ」
あっと思った時には綺麗な碧眼が目の前にあって、唇が重なっていた。そのまま目を瞑る事なく深い口付けにうつる。くちゅくちゅと口淫が響いて恥ずかしい。どの位重ねていたのか分からないが、腰が抜ける位口付けされてしまった。唾液をいっぱい絡めたので暫く殿下の体は大人のままだろう。
「ごちそうさま」
「うぅ…お粗末様です…」
恥ずかしくて俯いている俺の頭を殿下が撫でてくれる。凄く心地よくて眠たくなってしまう。でも今日は寝ちゃダメなのだ。
「殿下。少し時間貰っても良いですか?」
「ん?どうしたの?」
三葉の真剣な雰囲気に殿下が姿勢を正し向き合ってくれた。
「実はずっと黙ってた事があったんです…」
「……」
「俺…人には見えないものが視えるんです…」
「………何となくそんな気がしていたよ」
殿下がふっと微笑む。
「気づいてたんですか?」
「今日の昼間迄確信がなかったけどね。でも何となく視えてるんじゃないかと思っていたよ。三葉がつけていたあの仮面…メガネだっけ?を付けているのが不思議だった。聖女の力を持っている三葉が目が悪い訳ないからね。だからあれは視力を補正するのではなくて見たくない物を視ない様にする為なのかなって」
流石、殿下。ほとんど正解だ。
「殿下の言う通りです。小さいころから他の人には視えない物が視えてました。変な発言ばかりする俺は周りから敬遠される様になりました。だから歳を重ねる毎にその事は言わない様にして眼鏡を掛けてみない様にしたんです」
「三葉が視えてる物ってなんなの?」
「俺は呪いと呼んでます」
「呪い…」
殿下がつぶやく様に言葉を咀嚼した。
「はい。ショタ状態の殿下にも呪いの黒いモヤが体に取り憑いています」
「ショタ?」
聞き慣れない言葉に首を傾げる殿下の髪の毛から水滴が落ちた。
「ショタというのはとっても可愛い子供の事を言うんです!」
「そうなんだ…」
三葉の圧に少々圧倒され腰が仰反る。
「話してくれてありがとう」
「いえ。今迄隠しててすいませんでした」
三葉が頭を下げ謝ると頭にぽんと手が優しく乗せられた。その手で撫でながら殿下はふっと笑った。
「言いたくない事くらいあるでしょ人間なんだから」
今日はもう遅いし寝ようと言う話になり殿下と一緒にベッドに入った。するとホワイトもベッドに入ってきて俺と殿下の間におさまって寝たのでその日は皆んなで仲良く寝た。
「ただいま」
村人の避難が終わりテントでアヒン殿下の帰りを待っていると日付が変わる頃戻って来た。昼間に拘束したスパイから事情聴取をするのに時間が掛かっていたのだろう。
「起きててくれたんだね」
昼間の威厳がある殿下と異なり今の殿下はいつも通り優しい口調で話してくれる。
「はい。まだ夜の分をしてないですから…」
それに聖女の力のコントロールの練習をしていたらあっという間に時間が過ぎていた。
「ふふ。ちょっと待ってて、シャワー浴びてくる」
「あ、ごゆっくりどうぞ!」
アヒン殿下はこくりと頷くと頭を撫でてから浴室へと向かった。
殿下から頭を撫でてもらうのは気持ちが良かった。何だか胸がポワポワする。
殿下の事を考えていたら時間が経っていたらしく腰にタオルを巻いただけの状態の殿下が出て来た。
「っ!」
何故だか見てはいけないものを見た気がして目を逸らした。だが一瞬見た殿下の鍛え上げられた上裸が鮮明に記憶に残っており顔が赤くなる。
「どうしたの?三葉?」
殿下はあろう事かそんな霰もない格好で三葉の隣に座って来た。殿下のタオルの中が見えそうだ。
「で、殿下何でそんな格好なんですか!?」
「ん?暑かったから?」
そうか。暑かったのか…俺おかしい。同じ男同士なのに何で殿下の事意識してるんだろう?
「もしかして…意識してくれてる?」
殿下に顎を持たれ少し上に上げられた。殿下の顔と近くなる。全てが綺麗過ぎて見ていられなくて目を逸らす。
「目逸らさないで」
「っ」
あっと思った時には綺麗な碧眼が目の前にあって、唇が重なっていた。そのまま目を瞑る事なく深い口付けにうつる。くちゅくちゅと口淫が響いて恥ずかしい。どの位重ねていたのか分からないが、腰が抜ける位口付けされてしまった。唾液をいっぱい絡めたので暫く殿下の体は大人のままだろう。
「ごちそうさま」
「うぅ…お粗末様です…」
恥ずかしくて俯いている俺の頭を殿下が撫でてくれる。凄く心地よくて眠たくなってしまう。でも今日は寝ちゃダメなのだ。
「殿下。少し時間貰っても良いですか?」
「ん?どうしたの?」
三葉の真剣な雰囲気に殿下が姿勢を正し向き合ってくれた。
「実はずっと黙ってた事があったんです…」
「……」
「俺…人には見えないものが視えるんです…」
「………何となくそんな気がしていたよ」
殿下がふっと微笑む。
「気づいてたんですか?」
「今日の昼間迄確信がなかったけどね。でも何となく視えてるんじゃないかと思っていたよ。三葉がつけていたあの仮面…メガネだっけ?を付けているのが不思議だった。聖女の力を持っている三葉が目が悪い訳ないからね。だからあれは視力を補正するのではなくて見たくない物を視ない様にする為なのかなって」
流石、殿下。ほとんど正解だ。
「殿下の言う通りです。小さいころから他の人には視えない物が視えてました。変な発言ばかりする俺は周りから敬遠される様になりました。だから歳を重ねる毎にその事は言わない様にして眼鏡を掛けてみない様にしたんです」
「三葉が視えてる物ってなんなの?」
「俺は呪いと呼んでます」
「呪い…」
殿下がつぶやく様に言葉を咀嚼した。
「はい。ショタ状態の殿下にも呪いの黒いモヤが体に取り憑いています」
「ショタ?」
聞き慣れない言葉に首を傾げる殿下の髪の毛から水滴が落ちた。
「ショタというのはとっても可愛い子供の事を言うんです!」
「そうなんだ…」
三葉の圧に少々圧倒され腰が仰反る。
「話してくれてありがとう」
「いえ。今迄隠しててすいませんでした」
三葉が頭を下げ謝ると頭にぽんと手が優しく乗せられた。その手で撫でながら殿下はふっと笑った。
「言いたくない事くらいあるでしょ人間なんだから」
今日はもう遅いし寝ようと言う話になり殿下と一緒にベッドに入った。するとホワイトもベッドに入ってきて俺と殿下の間におさまって寝たのでその日は皆んなで仲良く寝た。
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