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3.隣国戦争

6.

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「んんぁっ…でんかぁ…や…ふ…ちゅ…ああ…んん…ふぁ」

殿下にソファに押し倒され長い口づけをされている。気持ちよくて力が入らない。
大人になった殿下に上に乗られれば身動きが取れなくなってしまう。

「三葉の汁もっと頂戴?」
「やぁ…だ…めぇ…んぁぁちゅ…」
着ている服のボタンを外され露わになった鎖骨を何度も擦られる。そこから鈍い快感が体を走り膝を擦り合わせてしまう。

「殿下もう…だめ…であっすぅ…んや…あっん…ひゃ」
「確かに…ちゅ…もう時間がないね…」

体を起こして時計を見た殿下がやっと激しい口淫を辞めてくれた。

「効力が切れる前にまた宜しくね?」
「…はい…」

待て。効力が切れそうになる度にこんな事をしなきゃいけないのか?しかも戦争の間?え、それってかなりやばくないか?主に俺の心臓が。

「きゃん?」
隅に隠れていたホワイトが恐る恐る出てきた。ホワイトにも見られていたと悟ると三葉の顔がぼっと赤くなった。

「ふふ、これからゆっくり慣れていけばいいよ」
赤くなった頬を指先でこすられ開けられたボタンをしめて貰った。

「時間がないからこれに着替えたら出発するよ」

差し出されたのは黒の軍服だった。広げてみると今アヒン殿下が着ている軍服と同じ素材の様だが、殿下の胸元には色んな勲章の証がぶら下がっている。
殿下が見ている前で着替えるのが気恥ずかしくて背中を向けて急いで服に手を通した。サイズはぴったりだった。

「似合ってる」
「あ、ありがとうございます」

殿下の方が何万倍も似合っている。なのに褒められると素直に嬉しかった。

「あ、あの殿下!相談したい事があるのですが…」
「ん?なに?」











庭の開けた空間に魔法使い300、騎士700人と見送りの王城勤め関連の人達が集まっていた。中心には王族が集まっている。その中に宰相や公爵閣下、公爵令嬢、大臣など国内の主要人物もいた。
三葉はアヒン殿下の側を離れない様に腕に小さいホワイトを抱え後ろをついて行く。

「陛下」
アヒン殿下が国王陛下に声を掛けた。久しぶりに会った国王陛下は少し疲れが見える。

「おお、アヒンいよいよだな。準備は出来たか?」
「はい。準備出来ました。後は転移魔法で移動するだけです」
「そうか。頼むぞ」
「お任せ下さい」
「三葉殿、久しいな」
「あ、お久しぶりです。陛下」
いきなり声を掛けられ動揺してしまった。すぐ様返事をするとふっと笑われてしまった。

「此度は、お主の活躍に期待しておるぞ。どうか国民を兵達をアヒンを守ってくれ」
最後は国王としてではなくアヒン殿下の父として優しい眼差しを向けられた様な気がした。その視線にしっかりと目を合わせ強く頷く。

「はい。まだまだ未熟ですが自分に出来ることを精一杯尽くしてきます」
「うむ。期待しておるぞ」
陛下は、一つ頷くと宰相の元へと向かった。
「アヒン兄様、三葉様。どうかご無事でお戻り下さい!」
「ありがとう。サーシャ」
サーシャ様が悲痛な面持ちで近寄ってきた。側にはライアス殿下がいる。思わず体が強張ってしまった。ばちっとライアス殿下と目が合ってしまった。

「あ、ライアスでん「三葉、この前はすまなかった」」
ばっと勢いよく頭を下げられた。割と大きい声だったので周りの視線が集まっている。

「ちょ!ライアス殿下、頭を上げて下さい!謝らなきゃいけないのは、俺の方です!!」
「いや、俺の仕打ちはこの国の王子として不甲斐ない行動だった。本当に申し訳なかったと思っている。どんな罰でも受ける。何なりと命じて欲しい」
本当に心から反省しているのだろう。ライアス殿下の顔は真剣だ。

「一国の王子がそんな事簡単に言っちゃいけないと思います。俺はライアス殿下に償って頂きたいとは思ってません。それでも気が済まないと言うのであれば待っていてくれませんか?」
「待つとは?」
「俺達が無事帰ってくる迄です。正直今は緊張で冷静に考えられる自信がありません。だから…俺達が帰ってくる迄どうか待っていて頂きたいのです」
「分かった」
それ迄黙って聞いていたアヒン殿下がぎゅっと手を握ってくれた。アヒン殿下を見上げると優しい微笑みを向けてくれた。

「ライアス。王都は任せたよ」
「ああ。分かってる」
アヒン殿下とライアス殿下が話している所を初めて見た。仲が悪いのかと思っていたがそうでもないらしい。でもどこかぎこちなく感じる。

「あ、あの美優さんは元気でしょうか?」
先程から周りを見渡しているが美優の姿が見えない。

「美優は、今別の所にいる」
「別の所?」
「聖女の集中部屋だよ。聖女の力を高める為に修行して貰ってるんだ。三葉が心配する事ないよ?」
「そう…なんですか?」
アヒン殿下から有無を言わせぬ雰囲気が出ている為深くは突っ込まなかった。

「三葉様、美優様の事は同じ女性である私がきちんと見ておきます。ですのでアヒン兄様の事宜しくお願いしますね」
「分かりました。宜しくお願いします」

「そろそろ行こうか」
「はい!」
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