ショタ王子が第一王子なんて聞いてませんけど！？

2.城下町での暮らし

22.

○○サイド

キーキーキーキーキー
海の波音に紛れ海鳥が元気に鳴いている。潮の香りが鼻を通り抜け漁師の活気盛んな声、海鳥の鳴き声や波音が耳を通り抜ける。
視界いっぱいに広がる蒼い海と海を囲う様に密集して建つ建物全てが美しい。

「ん～良い街だね～」
渡航船から地上に降りて一言目、葉巻タバコを口に咥えた茶髪のどこか気怠げなおじさんが呟いた。

「のんびりしてないで王都に向かいますよ」
「んも～トーリは真面目だね～」
「仕事ですから」
「あんま力入れすぎると疲れるぞ～」

ポンポンと肩を叩くとその手を払い落とされた。落とされた手を振り痛いというジェスチャーをするがことごとく無視された。
ここから王都まで馬車で2週間掛かる。王都行きの馬車をトーリが見つけたのでそれに2人で乗った。乗合馬車の為、車内は混み合っており狭い。色んな匂いが充満しており正直言って不快だ。唯一救いなのは出入り口の前に座っている為、外の空気が定期的に入ってくる所だけだ。

「これで2週間はおっちゃんのお尻が死んじゃうな～」
「貴方のお尻事情なんてどうでもいいです」
「うわ、冷た～。おっちゃんのお尻結構綺麗だぞ？試してみる？」
「……黙って下さい」

トーリは、無言でこちらを睨むと冷たく言い放った。そしてもう話もしたくないのか目を瞑ってしまった。

「それにしても本当にいるんだろうかね～？」

聖女っていう生き物は…