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2.城下町での暮らし
16.
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(アヒンサイド)
コンコンコン
「アヒン殿下、サーシャ様がいらっしゃいました」
「入れ」
今日はサーシャからお茶の誘いを受けていた。私の体調を気遣い私の部屋でお茶を飲む事になっている。時間通りに現れたサーシャは、国内一美人だと称されるにふさわしい程今日も美しい。まあ、彼女はライアスの婚約者であり幼馴染なので特に私は恋情は抱かないが。因みに私が呪いに掛かる前は一度婚約の話が出ていたが、私の王位継承が怪しくなった事と彼女が昔からライアスの事を気に入っていた事を考慮し私から婚約破棄の申し出をしている。
「アヒン兄様、本日はお茶会をお受けいただきありがとうございます」
「構わないよ、座って」
「失礼します」
サーシャは、公爵令嬢だけあり淑女のマナーがしっかりと叩き込まれている。真っ直ぐと歩く姿勢ソファに座る所作全てが清廉されていた。
「アヒン兄様が思ったより元気そうで良かったですわ」
「あぁ、君は知っているだろうが異世界から聖女を召喚したからね」
「ええ、存じ上げてますわ」
にこりと笑ったサーシャの様子から三葉の事も知っているのだろう。
三葉がいない今、もう1人の聖女候補の三葉の義理の姉美優が力を込めたアクセサリーを毎日身につけている。一つ一つの効力は小さいが何個か付けると呪いが薄まり呼吸をするのが楽だ。
「アヒン兄様の回復の兆しが見えた様で安心致しました」
「心配掛けたね。私は必ず回復してみせるよ。安心して」
「ふふ、はい。信じております」
ふふふと笑うサーシャの微笑みは年相応で可愛らしい。
「あ、そう言えば本日は兄様に贈り物があるんです」
「贈り物?何かな」
サーシャに使えるメイドがピンク色の袋に入った小包を持って来た。それをアヒンの元まで持って来る。ありがとうと相手に伝えるとメイドはペコリと頭を下げた。
「開けて良いかな?」
「ええ、どうぞ」
中を開けてみると兎のぬいぐるみが入っていた。
「どういうつもりだい?サーシャ?」
彼女は私をいくつだと思っているんだろうか。もしかしていつものタチの悪いイタズラか?
「そんな怖い顔しないで下さい。折角可愛らしい子と一緒に選んだんですから」
「可愛らしい子?」
可愛らしい子と選んだから何だと言うのだ。私に情で訴えているのか?
「ええ。街で見つけた黒髪の子ですわ」
「っ!…何を企んでいるサーシャ」
黒髪の子なんて今この国では2人しかいないだろう。1人は今日も贅沢三昧で城に篭っているのだから残るは後1人。
「兄様、また怖い顔されてますよ」
「ライアスの事を想っているのなら彼に手を出すのは止めろ」
珍しく強い口調になってしまった私の言葉にサーシャは少し目を見張った。
「まあ怖い。本当に偶々出会った可愛らしい子と選んだだけですの。そちらはお気に召さなかったですか?」
サーシャの偶々と言う言葉は信用してはならない。きっと三葉だとわかって近づいた筈だ。
「それでは…もう一つプレゼントを用意したんです。こちらはきっと気に入って下さる筈ですわ」
不敵に笑ったサーシャに少し寒気を感じ目の前にあるうさぎのぬいぐるみを胸に抱えた。
コンコンコン
「アヒン殿下、サーシャ様がいらっしゃいました」
「入れ」
今日はサーシャからお茶の誘いを受けていた。私の体調を気遣い私の部屋でお茶を飲む事になっている。時間通りに現れたサーシャは、国内一美人だと称されるにふさわしい程今日も美しい。まあ、彼女はライアスの婚約者であり幼馴染なので特に私は恋情は抱かないが。因みに私が呪いに掛かる前は一度婚約の話が出ていたが、私の王位継承が怪しくなった事と彼女が昔からライアスの事を気に入っていた事を考慮し私から婚約破棄の申し出をしている。
「アヒン兄様、本日はお茶会をお受けいただきありがとうございます」
「構わないよ、座って」
「失礼します」
サーシャは、公爵令嬢だけあり淑女のマナーがしっかりと叩き込まれている。真っ直ぐと歩く姿勢ソファに座る所作全てが清廉されていた。
「アヒン兄様が思ったより元気そうで良かったですわ」
「あぁ、君は知っているだろうが異世界から聖女を召喚したからね」
「ええ、存じ上げてますわ」
にこりと笑ったサーシャの様子から三葉の事も知っているのだろう。
三葉がいない今、もう1人の聖女候補の三葉の義理の姉美優が力を込めたアクセサリーを毎日身につけている。一つ一つの効力は小さいが何個か付けると呪いが薄まり呼吸をするのが楽だ。
「アヒン兄様の回復の兆しが見えた様で安心致しました」
「心配掛けたね。私は必ず回復してみせるよ。安心して」
「ふふ、はい。信じております」
ふふふと笑うサーシャの微笑みは年相応で可愛らしい。
「あ、そう言えば本日は兄様に贈り物があるんです」
「贈り物?何かな」
サーシャに使えるメイドがピンク色の袋に入った小包を持って来た。それをアヒンの元まで持って来る。ありがとうと相手に伝えるとメイドはペコリと頭を下げた。
「開けて良いかな?」
「ええ、どうぞ」
中を開けてみると兎のぬいぐるみが入っていた。
「どういうつもりだい?サーシャ?」
彼女は私をいくつだと思っているんだろうか。もしかしていつものタチの悪いイタズラか?
「そんな怖い顔しないで下さい。折角可愛らしい子と一緒に選んだんですから」
「可愛らしい子?」
可愛らしい子と選んだから何だと言うのだ。私に情で訴えているのか?
「ええ。街で見つけた黒髪の子ですわ」
「っ!…何を企んでいるサーシャ」
黒髪の子なんて今この国では2人しかいないだろう。1人は今日も贅沢三昧で城に篭っているのだから残るは後1人。
「兄様、また怖い顔されてますよ」
「ライアスの事を想っているのなら彼に手を出すのは止めろ」
珍しく強い口調になってしまった私の言葉にサーシャは少し目を見張った。
「まあ怖い。本当に偶々出会った可愛らしい子と選んだだけですの。そちらはお気に召さなかったですか?」
サーシャの偶々と言う言葉は信用してはならない。きっと三葉だとわかって近づいた筈だ。
「それでは…もう一つプレゼントを用意したんです。こちらはきっと気に入って下さる筈ですわ」
不敵に笑ったサーシャに少し寒気を感じ目の前にあるうさぎのぬいぐるみを胸に抱えた。
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