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2.城下町での暮らし

11.

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「ホワイちょ~」
「キャンキャン!」

今日は週に2回ある孤児院の子達が教会に遊びに来る日だ。大きいホワイトと初対面した子供達は怯える子もいたがグラム君がホワイトに近づき舐められるのを見ると恐怖心はどっかにいったみたいだ。今では仲良く庭で走り回っている。
ホワイトの綺麗な白銀の毛に泥がついたからお風呂に入れてあげないといけないなと思いながら庭掃除をする。

「三葉君。ホワイト可愛いね」
「ジョリア先生。はい、自慢の家族です」

ジョリア先生もホワイトの事を気に入ってくれた様だ。

「またコーナン君が見つけて来たんだって?」
「そうなんです。コーナンさんは、本当に困っている生き物に目がないみたいで…」
「ははっ間違いない」

ジョリア先生もコーナンさんに拾われた1人だ。かく言う俺もだが。

「所で今度うちの孤児院の出資者の方が来賓されるんだけど…三葉君も会いに来ないかい?」
「お金持ちの方ですか?」

出資者と言ったらお金持ちのイメージがある。

「そうだね。公爵家の御令嬢だよ」
「御令嬢?」

普通公爵様が直接来るんじゃ無いのか?何で御令嬢が来るんだ?代理とか?

「そう。サーシャ様がうちの出資者だからね」
「え、そうなんですか?凄いですね。若いのに…」

あ、でもこの国の成人は16歳からだった。そしたらもう大人なのか。

「サーシャ様はライアス殿下の婚約者でもあるんだよ」
「え…ライアス殿下の…」

まずい。それは非常にまずいのではないか?

「サーシャ様がいらっしゃるのはいつですか?」
「明後日だよ。来るかい?」
「いや、ちょーっと俺は会えないです…」
「そう。都合が悪かった?ごめんね、また今度にしようか」
「はい!是非!」

危ない、危ない。公爵家のしかもライアス殿下の婚約者に会うなんて死ににいく様なもんだ。出来れば会いたく無い。よし、主教様に頼んでその日はお休みを貰おう。
教会にも顔を出すかもしれないからな。用心するに越した事はない。



公爵令嬢が来訪される日が来た。俺は予定通り主教様に頼んで1日お休みを貰っていた。ご飯作りもお休みだ。そしたらヨハンさんにぶーぶー言われたが背に腹はかえられない。
今日もヨハンさんから貰ったお下がりを着て出かける準備をする。

「三葉殿。準備は出来たのかい?」
「主教様!今日は、お休みを頂いてありがとうございます」
「ふぉふぉふぉ。構わぬよ。それよりほれ。三葉殿の給料だよ」
「良いんですか!?ありがとうございます!」

遂に初任給を頂いた。ずっしりとした袋の重さに笑みが溢れる。袋の中を覗くと思ったより入っていた。これで新しい服を買える!

「じゃあ主教様、行ってきます!」
「ふぉふぉふぉ気をつけての~」
「キャン!」
「ん?ホワイトどうしたの?」

ホワイトが三葉の服を引っ張って来た。

「行っておいでホワイト」
「キャン!」

どうやらホワイトも一緒に出かけたかったみたいだ。主教様に見送られ俺とホワイトは、教会を後にした。
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