ショタ王子が第一王子なんて聞いてませんけど！？

2.城下町での暮らし

5.

(アヒンサイド)

「ごほっ…げほっ…ごほっ」
「殿下、大丈夫ですか？」

スレーマンが失礼しますと私の背中を摩ってくれる。

「ありがとう」

体が凄く怠い。呪いが進行している様だ。最近はベッドから出る事も億劫で前の生活に逆戻りしてしまった。
三葉がいなくなり最初はどうにか三葉が力を込めてくれたアクセサリーやクマでごまかしていたがもう効力が切れてしまった。

三葉がいなくなった日。私は頭に血が上りライアスの執務室に乗り込んだ。ライアスを問い詰めると何故そんなに怒っているのか分からないと言った反応だった。ライアスは、責任感が強く意思が固くて真面目だ。偶に頑固であるが今回は彼のそんな悪い部分が出てしまった様だ。三葉の義理の姉だという厚化粧で香水臭く品のないあの女がライアスを唆したのだと彼の反応から察した。本当に余計な事をしてくれる。
従者からの報告を聞いて静かに執務室の前に現れた国王陛下は事のあらましを全て聞いていたにも関わらずあの女に聖女の力があると知って私に三葉を探しに行く事を禁じた。
確かにあの女にも聖女の力があったのは事実だ。だけどネックレスの石に込められた力は鈍い光を放ち、聖女の力も弱かった。三葉が力を込めたアクセサリーの方が強い輝きを放ち効力も高かったのに、それでも自分が聖女だと宣う愚かな女に頭が痛い。
私が三葉を探しに行き城に連れ戻せばまたあの女が画策するだろう。一応聖女の力があるからこちらとしても強く出られない。それを見越した上で国王陛下は、判断された様だ。国王陛下の判断は冷静に考えれば正しい。だけど私としては陛下の命令に反きこの足で三葉を探しに行きたい。それを阻むかの様に呪いが進行しベッドに縫い付けられるのは、痛くて辛くて情けない。
早く、早く会いたい…今度は絶対に手放したりしない…早く私の元へ戻っておいで三葉。
呪いに魘されながら三葉の事を思い意識を手放した。