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本編

さん

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 風呂を出ると鳥はついてきて、ベットから枕を引きずりおろして床の上におとし、その上にうずくまった。

 枕汚れるって、と、つつかれながらも枕を取り返し、仕方なく机上においてやる。

 鳥は机によじ登り、その上で座った。
 鏡みたいにぎらぎらした目で睨んでくる。

 
 先程から思っていたのだが、この鳥はもしや、飛べないのではなかろうか。

 手を伸ばすとつつかれるので、遠目からじろじろ観察する。

 どこも悪いところはないように見えた。
 ペットだと飛べないよう風切り羽を切るらしいが、それもない。

「なあお前、なんで飛べないの?」

 鳥は答えない。
 その目で、見返してくるだけだ。

 あなたは?とでも問うように。

 少しきまりがわるくなり、目をそらす。
 早めに夕飯を食べたせいで空いた小腹に軽食を放り込み、次の日の準備をして寝ることとした。


 ホテルのエントランス。一輪だけ違う色をした花が、風に吹かれて花弁をひとひら、散らした。


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