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本編
に
しおりを挟む蛇口を捻って熱い湯を浴槽にはる。
じいちゃんっ子だったからか多少熱く感じるくらいがちょうど良い。
祖父はいつも、祖母に怒られるほどの熱さの湯に、平気で浸かっていた。
湯をはる間に入浴道具一式を用意し、荷物を軽く整理する。
ちょっとすると、八分目ほどまで湯がたまった。
もうもうと湯気のたつなか、狭いバスタブに足をおって浸かる。
痛いほどしみる、この熱さが良い。
芯の方から疲れがほぐれていくような、そういう温かさ。
「はあ……」
しばらくそのまま沈む。
そろそろシャワーを浴びようと、詮をぬいて石鹸をたぐりよせたとき。
「は?!え、なん」
トイレの蓋の上においたバスタオルの上に、いつのまにかあの鳥が居座っていた。
閉めておいたはずの扉があいていて、そこから湯気が流れ出ている。
「やべっ、煙感知器!」
慌ててバスタブを出、戸を閉める。
一部始終を鳥は、面白そうに見ていた。
お前、戸を開けられるなら閉めとけよ、と愚痴を言う。
鳥は頭を縦に振り、――頷いているとは到底思えない――くわっと嘴をあけた。
鳥はその場から動かない。
ちら、と目をやると、こちらをじっと見ている。
何となく恥ずかしくなって、シャンプーとボディソープをさっととり、シャワーカーテンを閉めた。
夏も終わりに近く、呆れるほどの暑さも少しひいてきた筈の、夜だった。
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