ある朝起きたら目の前に怪物がいたって話

本編

いち

　学校を終えて帰り、部屋に戻っても、そいつは消えていなかった。

　扉を開けてすぐに目があったときは驚いて声をあげてしまったが、やはりなにもしてこず、そのまま部屋に入って扉を閉める。

　カバンを置いて、床の上に座る。怪物と向かい合うと、そいつも目をあげてこちらを見た。

　どこからきたの？
　なにをしてるの？
　ごはんはたべる？

　質問をしてみるも、薄々感づいてはいたが返答はない。

　冷えた床に寝ころがるとそいつもずるずる這って、私の上に乗ってきた。
　ちょっとくすぐったく感じて笑うと、腹の上にいたそいつは驚いたのかびくりとした。
　その様子がおかしくてまた笑うと、そいつは腹の上で上下にゆさぶられながら目をぱちぱちした。

　
　下の階から、ご飯よーおりてきなさい、と母の声がした。