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第1章 禁断の魔道士

魔道竜(第1章、32)

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光妖精とは、文字通り光の精霊族に属する。この世でもっとも長命な精霊だとか。


なんでも最古の種族でもあるとされ、その姿は自然界でたびたび目撃される比較的珍しくはない緑と大地の守護者である。



「エルフ? つまり大神官は妖精と人間の混血、ハーフってことか!?」



そう言っているのに……セルティガの読解力や理解力のなさにはある意味、才能の域にまでたっし脱帽だ。



「その著者だってその時代には生きて体感したはずはないんだから。あくまでなんの根拠のない憶測よ、憶測」



蒼白ぎみなあばらやの女主人は小刻みに声をふるわせながらティアヌにつめよる。



「つまり……この島の島民の誰かが悪神をよびこんだ、と言いたいの?」



話しが手っ取り早くて助かる。誰かさんとは違って。



「そうはいっても確率的に五百人の島民のうちの誰かと決め付けるのはまだはやすぎる。だって一連の人さらいでトクをする人が今のところわからないじゃない? 


真の黒幕は高みの見物をきめこむ一番疑われない人物だとおもうの。


それに悪神をよびこむなんて高々ひとりの人間だけでどうこうできる次元じゃないしね。神の島には厳重に結界が張り巡らされているっていうし」



「ティアヌぅ、それってまさに天網恢々疎にしてもらさずってやつぅ~?」



「ま、イメージ的にはそんな感じでいいんじゃない」



セルティガは身をのりだした。



「そんな絶対かいくぐれもしない結界の隙間から、どうやって悪神をよびこむなんてできるんだ?」



「たとえば…醜悪で貪欲な、人を想って想いぬいた執念にもにた人を愛する心の寂しさにつけこむ、そんな独り善がりな愛が邪蛇をよびよせるってことよ」



「ほぉ~?好きすぎて? 人を愛するって紙一重なんだな」



すると何か思い当たる節があったのか、女性はティアヌをみすえる。



「その邪蛇の執念が連鎖反応をおこさせ島民をおかしくさせているってこと?」



「邪蛇には当然のことながら供物(゛ニエ゛)が必要。儀式をおこなううえで欠かせないのが清らかでうら若き乙女、となるとこの島で若い女性ばかりが次々に姿を消すのもうなずける。その供物にされている、そう考えるべきじゃない?」



ティアヌは目の前の女性を鋭い視線でみすえた。



さも、違う? といいたげだ。



女性は顔色をうしなった。



瞳をかたく閉じ、意を決したようにゆっくりと目を見開くと静かな口調で語りはじめた。


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