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第1章 禁断の魔道士

魔道竜(第1章、19)

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「そ、そんなことは…」



そのとき突然セルティガは叫んだ。



「あぁぁぁぁぁーーーッ!!」 



「やかましい! びっくりするじゃない。今度はなに!?」



「後輩に禁術の使い手、天才魔道士が現れたとか風の噂で耳にしていたが、まさかあの!エスタ=なんとかってお前のことだったのか?」



セルティガの真偽を問う瞳は゛信じられない゛と告げているのがありありとうかがえる。



「大袈裟だって」



それでもセルティガはティアヌの顔を食い入るように凝視した。



「十四歳にして禁術とされてきた数々の禁忌術を復活させ、あまたの最強呪文を使いこなし、あげく禁術をもちいて死人をよみがえらせようとしてそれがスクールにバレて留年したとか……しないとか。これって本当なのか?」



「まったく笑うしかないわよね、笑ってくれてかまわないわよ?」



「ちょっとぉ、ティアヌてば…そんなこともできるわけぇ?」



「やろうとしたけど…どうしてかバレちゃった★ けど理論上できないことではないのよ。ただ魔力はほぼ無限に近い力が必要とされるから。


すくなくともできる、と思ったからこそやろうとした」



セイラとセルティガの瞳が見開かれた。



「無限!?」



たしかにただごとではない。



「その話はおいておいて。話をもどしますよ」



なにか言いたげな目を向けているが、ここでその話を掘り下げて根掘り葉掘りたずねられるのだけはごめんこうむりたい。



誰だって一つや二つ臑(すね)に疵(きず)をもつ身、触れられたくもない話もあるはずだ。



「話をまとめると水の精霊ザルゴンはヘプロスの先に条約書があると言ってたわね。


ということは、ラグーンは存在する!」



セルティガは目敏(めざと)くも突っ込みどころを見誤らない。



「まさか……あるのかないのか、わからないまま半信半疑で虚海を旅しようと俺たちをまきこんだ……とか言わないよな?」




ぎくっ!




「そ、そんなことあるわけないでしょう! ちゃんと古文書を調べあげ、存在すると確信したからこそ計画を実行にうつしたんだから」



少し後ろめたくて二つの眼(まなこ)が空中をさまよった。



セルティガはすかさずその瞳の動きをよむ。



「目が泳いでいるぞ」



次いでセイラも相槌をうつ。



「私も見たわ」



人とは見ていないようで観察するようによく見ているものだ。



動揺はかくしきれない。



「なっ、なにを言ってるのよ、目が泳ぐだなんて、魚じゃあるまいし。スカイフィッシュを見ていたのよ!」



我ながら苦しい言いわけ。空(から)笑いでごまかしにかかる。



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