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第1章 禁断の魔道士
魔道竜(第1章、14)
しおりを挟む伝説では紙でできているとも伝えられているし、ある者は石版だと言い張るやからもいる。
その精霊条約書がどこにあるのか、いまもって現存しているのかさえ定かではない。
そんな条約書は存在しないとの意見も否めない。
だが伝説では千年に一度更新の時をむかえ、ふたたび条約を取り交わす……とあるが、これまた曖昧(あいまい)で、はっきりとした明確な書きかえの時期が伝えられていない。
「なぁ、その書きかえの時期はどうして伝えられていないんだ?」
「あやふやなのよね、結局」
「あっ、それぇ~私も不思議に思ってたのよぉ」
セイラは神に仕える者の証である頭をおおう聖なる布を整え、神に祈りを捧げる首飾り、五陣星(アスタリスク)をにぎりしめる。
「聖書(バイブル)にしるされたものって創世期時代のことやら謎かけのような神話ばかり。
二度目の条約が交わされた年代とか結んだのが誰だったのか、そのへんの詳しいことなんて書かれていないもの」
「そぅね、肝心なことは何一つ伝えられていない。まるでそこに作為がはたらいているかのように……。
でも水の精霊は告げたわ。再び条約を結びなおす時期がきたと」
「その条約書とやらがヘプロスの先の孤島にあるんだな?」
「らしい、ね」
「それで時の神殿とやらは?」
「はじめてその条約を交わされた場所が伝説の島、ラグーンだと言われている。
ラグーンには神が住まい、その神を祠る゛時の神殿゛がある…と伝えられている」
話の区切りがみえてきたところで、セイラは身震いしながら腕をさする。
「ちょっとぉ~話の途中で悪いんだけどぉ、こんなところで立ちっぱなしで話すのもなんだから、食堂に行かない? とにかく寒いのよ」
「同感だ」
ティアヌはセルティガの顔をジットリと見つめる。
「思い出した!」
「なにを?」
「忘れているでしょう? さっき約束したことを」
「約束?」
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