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第24話(中)③見えざるもの
しおりを挟むつづら折りの峠を一機に駆け抜ける。
そうして順調に邑をぬけるや、すぐに異変が。
「あれは何事だ?」
誰となしに呟かれた。
離宮へと通ずる一本道。
だが多くの人々が列をなしている。
手綱をひき歩調を弱め、異様さに馬匹が自然とかたまった。前進することを拒否していななく。
気になった殷禿は「しばしお待ちを」と告げ、どぅどうと声をかけ馬首を撫でやる。
どうにか落ち着かせ、一団から抜けると列をたどるようにして先頭へ。
「?」
何もない。
馬車が横転しているわけでもなく、土砂崩れで道が分断されているわけでもなし。
道の先がただのびている。
なのに人々は立ち往生。
解せぬ。
そこで、そこの者、馬上から行商人らしき笠をかぶった男に問う。
「なにゆえ列をなしている」
「はぁ。わたしどもはいつもこの道をぬけ、恐山の裏側にある邑へ荷を運んでおります。ですが突としてこの先へ行けなくなり立ち往生しております」
どの男たちも言葉通り大きな荷を背負っている。
顔馴染みの男と、なぁ? 、うんだ、と言葉をかわす。
「この先へは行けない? それはどういうことだ!?」
「今朝方までは普通に通れたらしいのですが。まるで目に見えない壁がそこにあるかのようにここから先へはどういうわけか進めないのです」
「…………」
殷禿は試しに指を伸ばし、男が言う壁らしきものを探る。
コツン、と何かに触れる。
冷たくとも温かくもなく。
その後もぺたぺたと触りまくるが、壁と言われればそうでもある気もするし。
どちらかというと何かによって弾かれたような感覚。
「これは!?」
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