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17章 隊服

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隊服。

隊服、隊服。

ここ数日、わたしの頭の中は隊服のことでいっぱいだ。

ルーク様もお兄様も、当日は出発前に加護を与えればそれでいいと言っていたけど、どうしてもわたしはルーク様のお側に居たかった。
それには、隊服が必要になる。
お兄様の話によると、討伐が始まれば街から森までの道は封鎖され、一般人は森に近付けないようにするらしい。
当日は隊服を着ていない者は、立ち入り禁止区域には入れないように指示が出ているそうだ。
一般人と騎士・兵士の区別をつける為に、それぞれ同じようなデザインの隊服が支給されている。
これは王家が言い出したことらしいけど、そんなに厳重に区別する必要あるのかしら?
何か悪いことを隠す訳じゃあるまいし、もっと規則を緩くしてくれたらわたしもやりようがあるのに……。

狙い目は領地を護るために領主が出す私兵の隊服だけど、調べたらやっぱり女性兵士はいないようだった。
討伐でなければ、騎士も私兵も女性がいるのに、こと討伐に関しては、屈強な男の人で固めているらしい。

いや、いいんだけど!
護りが鉄壁ならば、魔獣が街に現れることもないからその方がいいんだけど、わたしが紛れ込めないのが困る……。

どうにかして、光の討伐隊の服を借りるしかない。

あと何週間かは時間がある。

光の討伐隊の制服を真似て作るだけの時間はある。
教会が与える認定章さえなんとかなれば……。

大司教様が魔法を付与していると言っていたけれど、どんな魔法なのかしら。
わたしか付与する光の魔法じゃダメなのかしら。


………………。

ええい!
ここで悶々としていても仕方ない!

見に行こう!
光の制服と認定章、どんなものか見てやろうじゃないの!

そうと決めたらすぐ決行よ。
わたしはカレンダーを見る。
次のルーク様とお兄様が不在の時は、お城で定期的に行われる討伐会議の日だ。

それは明後日だった。
本来なら、討伐訓練の日はメイドとしての仕事をしている日だけど、サリーさんに言ってお休みにしてもらおう。

わたしはルーク様との討伐訓練を何食わぬ顔でおこない、夜にサリーさんにお願いをした。

「サリーさん、お願いです。明後日お休みをいただきたいんです」

訓練から帰って着替えもせずに厨房に行くと、サリーさんは眉と眉の間に深い皺を刻んだ。

「ニーナ、埃っぽい体でここに来ないで! 話なら後で聞くから」
「後じゃダメなんです! ルーク様に聞かれたくないんです!」

わたしは自分が埃っぽいのを自覚していたので、厨房の中には入らず、出入口からサリーさんを見て拝み倒した。
サリーさんの後ろでゼンが笑いを堪えているけど、そんなものは気にしない。

ええい!
ゼン、うるさい。
サリーさんから2メートルは離れているから、空気に向かって土下座せんばかりのわたしが面白いのは知ってるから、黙ってて欲しい。

わたしのそんな様子を見て、サリーさんはふぅとため息をついた。

「そんなことしなくてもお休みくらいいいわよ。だって、メイドの仕事が休みの日はルーク様と一緒に行動して休みじゃないし、ルーク様の付き添いが休みの日はメイドの仕事やってるし。いつ休んでるのか心配してたのよ。わかったわ。明後日はお休みね」

サリーさんはしょうがないわねって感じの表情をしながら、それでも笑って了承してくれた。

嬉しくなったわたしは、サリーさんに抱きつきたいのはやまやまだったけど、厨房に入れないのでその場でぴょんぴょん跳ねて喜びに表現する。

すると、サリーさんの眉間の皺が深くなる。
「ニーナ、ホコリが立つからさっさと着替えに行ってちょうだい」
「はっ、そうですね! 着替えてルーク様にお夕食をお持ちします!」

わたしはマッハの速さで着替えをして、ルーク様にお夕食を運ぶのだった。





*****************







暑い日が続きますね。
みなさま、いかがお過ごしでしょうか。

明日から雪野は会社がお休みになります。
いつも、土日祝日と休前日は更新したりしなかったりですが、明日から一週間はそんな感じになります。
一度長いお休みをしてしまったこのお話を、それでも読んでくださっているみなさまには心苦しいのですが、何卒どうぞよろしくお願いします。

今、こんな時期ですが、みなさまもお身体お気をつけてお過ごしくださいませ。
暑いですが、よく食べてよく寝て、体力をつけてウイルスなんて寄せ付けないようにしましょうね。


雪野結莉
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