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9章 一筋の光は
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光の術者と連携ができない。
それはどういうことなのか。
残念なことに、前世のわたしにもその知識はない。
だって、まだ12歳だったから、加護の与え方や祝福の仕方を習っている最中だったのだ。
きっと、その後に連携を教わるはずだったんだ。
こっそりと、わたしがこの光の力を使って、付与することができればいいんだけど、使い方がわからない。
二属性の魔法を持っていることは誰にも言ってないから、誰かに教わることもできない。
これを機に言ってもいいんだけど、そうしたら教会に引き取られて、ルーク様のお屋敷で働くことができなくなってしまうかもしれない。
何か、いい方法があればいいんだけど……。
「…ナ。ニーナ!」
「はいっ!」
ルーク様の声で、わたしは思考の旅から現実世界に帰ってきた。
今は、ルーク様のお部屋のお掃除をしてたんだった。
パタパタと宙を舞うハタキは、ただ指揮棒のように舞っているだけだった。
「ぼんやりと仕事をするとは、いい度胸だな」
「もっ、申し訳ありませんっ」
わたしは勢いよく頭を下げた。
ルーク様はドアにもたれかかり、腕を組んで鼻で笑った。
「まあ、無償労働だから、別に上の空でもいいっちゃ、いいんだけどな。物さえ壊さなきゃ」
「へ? 無償労働?」
「おまえは今日は休暇だと、サリーから聞いているが?」
「あっ!」
そうだった。
そういえば、さっきサリーさんと会った時に、今日はどうしたのかと聞かれた。
そうか、何を聞くんだろうと思っていたけど、お休みの日だったから、なんでお仕着せを着てるのか聞いてきたんだ。
「ルーク様、失礼しました。わたしはこれで帰ります」
ハタキを手に、そのまま部屋を出て行こうとすると、ルーク様に呼び止められた。
「おまえ、暇なら付き合え。買い物に行くぞ」
いや、だからお休みの日ですってば。
ルーク様と一緒に居たいのは山々だけど、何か光の魔法を知るいい方法がないかを考えたいんだけど。
一刻も早く、光の魔法と連携できないといけないんでしょ?
「いや、なのか?」
いつも偉そうなルーク様が、眉を下げてこちらを見る。
そんな顔を見たら、断れるわけがない。
「では、着替えてきますので、少しお待ちいただけますか?」
ルーク様の了承を得て、わたしは着替えに部屋に戻った。
ルーク様とお出かけなので、いつもよりちょっと可愛いワンピースを着る。
肩と腰の部分にレースがついていて、お気に入りの1着だ。
着替えを済ませてルーク様の部屋まで戻り、今わたしはルーク様の馬車に揺られている。
「どこへいくんですか?」
「買い物だと言っただろう。ニーナには、子どもに贈る品を見立ててもらえたら助かるんだが」
「子ども、ですか? いくつの子なんでしょう?」
わたしがそう言うと、ルーク様は嬉しそうな笑みを浮かべた。
「まだ生まれたばかりだ。一昨日、手紙が来て生まれたことを知った。可愛い女の子だそうだ」
「誰の赤ちゃんですか?」
「うん。遠くに嫁いでしまった義姉上の子どもだ」
義姉上?
ってことは、エマお姉様の赤ちゃん?
揺れる馬車の中で、手をギュッと握りしめる。
「ルーク様には姉上様はいらっしゃらなかったですよね? どちらの方なのでしょうか?」
探るようにわたしが聞く。
「ん? ああ、オレの生涯の伴侶の姉上なんだ。エマ義姉上というとてもお優しい方が、オレの義姉上なんだ」
ああ!
やっぱり、エマお姉様の赤ちゃんなんだ!!
わたしも嬉しくて涙が出そうになる。
エマお姉様、お幸せなんだわ。
ルーク様が嬉しそうに言うくらいですもの。
ご結婚なさって、可愛い赤ちゃんに恵まれて。
よかった……。
前世の家族が、幸せになったという話を聞くのは嬉しい。
本当によかった。
「ルーク様、差し出がましい上に、いやらしい気がしないでもないのですが、うちの実家の商会に行きませんか? ルーク様がお買い求めになるようなブランド物ではありませんが、実用的な赤ちゃんグッズも取り揃えています。王都から遠くにいらっしゃるのであれば、王都で買える実用品がいいのではないでしょうか?」
エマお姉様の赤ちゃんのものなら、わたしも選びたい。
うちの商会で買えば、こっそりルーク様の贈り物に追加で贈ることができるかもしれない。
それに、お高いお店では、何を買ったらいいかわからないけど、うちの商会なら赤ちゃんグッズの人気商品とかもわかるしね。
ルーク様は少し考えてから、わたしの実家に行くことを、了承してくれた。
それはどういうことなのか。
残念なことに、前世のわたしにもその知識はない。
だって、まだ12歳だったから、加護の与え方や祝福の仕方を習っている最中だったのだ。
きっと、その後に連携を教わるはずだったんだ。
こっそりと、わたしがこの光の力を使って、付与することができればいいんだけど、使い方がわからない。
二属性の魔法を持っていることは誰にも言ってないから、誰かに教わることもできない。
これを機に言ってもいいんだけど、そうしたら教会に引き取られて、ルーク様のお屋敷で働くことができなくなってしまうかもしれない。
何か、いい方法があればいいんだけど……。
「…ナ。ニーナ!」
「はいっ!」
ルーク様の声で、わたしは思考の旅から現実世界に帰ってきた。
今は、ルーク様のお部屋のお掃除をしてたんだった。
パタパタと宙を舞うハタキは、ただ指揮棒のように舞っているだけだった。
「ぼんやりと仕事をするとは、いい度胸だな」
「もっ、申し訳ありませんっ」
わたしは勢いよく頭を下げた。
ルーク様はドアにもたれかかり、腕を組んで鼻で笑った。
「まあ、無償労働だから、別に上の空でもいいっちゃ、いいんだけどな。物さえ壊さなきゃ」
「へ? 無償労働?」
「おまえは今日は休暇だと、サリーから聞いているが?」
「あっ!」
そうだった。
そういえば、さっきサリーさんと会った時に、今日はどうしたのかと聞かれた。
そうか、何を聞くんだろうと思っていたけど、お休みの日だったから、なんでお仕着せを着てるのか聞いてきたんだ。
「ルーク様、失礼しました。わたしはこれで帰ります」
ハタキを手に、そのまま部屋を出て行こうとすると、ルーク様に呼び止められた。
「おまえ、暇なら付き合え。買い物に行くぞ」
いや、だからお休みの日ですってば。
ルーク様と一緒に居たいのは山々だけど、何か光の魔法を知るいい方法がないかを考えたいんだけど。
一刻も早く、光の魔法と連携できないといけないんでしょ?
「いや、なのか?」
いつも偉そうなルーク様が、眉を下げてこちらを見る。
そんな顔を見たら、断れるわけがない。
「では、着替えてきますので、少しお待ちいただけますか?」
ルーク様の了承を得て、わたしは着替えに部屋に戻った。
ルーク様とお出かけなので、いつもよりちょっと可愛いワンピースを着る。
肩と腰の部分にレースがついていて、お気に入りの1着だ。
着替えを済ませてルーク様の部屋まで戻り、今わたしはルーク様の馬車に揺られている。
「どこへいくんですか?」
「買い物だと言っただろう。ニーナには、子どもに贈る品を見立ててもらえたら助かるんだが」
「子ども、ですか? いくつの子なんでしょう?」
わたしがそう言うと、ルーク様は嬉しそうな笑みを浮かべた。
「まだ生まれたばかりだ。一昨日、手紙が来て生まれたことを知った。可愛い女の子だそうだ」
「誰の赤ちゃんですか?」
「うん。遠くに嫁いでしまった義姉上の子どもだ」
義姉上?
ってことは、エマお姉様の赤ちゃん?
揺れる馬車の中で、手をギュッと握りしめる。
「ルーク様には姉上様はいらっしゃらなかったですよね? どちらの方なのでしょうか?」
探るようにわたしが聞く。
「ん? ああ、オレの生涯の伴侶の姉上なんだ。エマ義姉上というとてもお優しい方が、オレの義姉上なんだ」
ああ!
やっぱり、エマお姉様の赤ちゃんなんだ!!
わたしも嬉しくて涙が出そうになる。
エマお姉様、お幸せなんだわ。
ルーク様が嬉しそうに言うくらいですもの。
ご結婚なさって、可愛い赤ちゃんに恵まれて。
よかった……。
前世の家族が、幸せになったという話を聞くのは嬉しい。
本当によかった。
「ルーク様、差し出がましい上に、いやらしい気がしないでもないのですが、うちの実家の商会に行きませんか? ルーク様がお買い求めになるようなブランド物ではありませんが、実用的な赤ちゃんグッズも取り揃えています。王都から遠くにいらっしゃるのであれば、王都で買える実用品がいいのではないでしょうか?」
エマお姉様の赤ちゃんのものなら、わたしも選びたい。
うちの商会で買えば、こっそりルーク様の贈り物に追加で贈ることができるかもしれない。
それに、お高いお店では、何を買ったらいいかわからないけど、うちの商会なら赤ちゃんグッズの人気商品とかもわかるしね。
ルーク様は少し考えてから、わたしの実家に行くことを、了承してくれた。
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