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7章 こぼれ落ちた運命は再び拾えるか?
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ルーク様は厨房に行くと、パンを探し出し、そのまま食べようとした。
「ルーク様」
一人だと思っていたルーク様は、わたしが声を掛けると驚いた様子でこちらを見た。
「まだ、寝ないのか。子どもが夜更かしをするもんじゃないぞ」
「もう子どもじゃありません。働きに出ているんですから、もう大人です。それより、少しお待ちいただけますか?」
「なんだ?」
「軽食くらいでよろしければ、すぐにお作りいたしますが」
ルーク様は訝しげにわたしを見る。
「ほんとに作れるのか?」
「はい。もう大人ですから」
わたしはつんと澄まして、ルーク様に言った。
ルーク様は笑って「じゃ、待つ」と言い、厨房にある簡易テーブルの椅子に腰掛けた。
わたしは厨房にあったエプロンをつける。
ええーっと、確かゼンはここにある野菜は勝手に使っていいって言ってたわよね。
あと、玉ねぎとコンソメで簡単なスープを作って。
野菜を洗っている間に、軽くパンをトーストする。
野菜の水気を切って、ベーコンを焼いてそれぞれをパンに挟んで食べやすい大きさに切った。
それらをトレーに乗せて、ルーク様の目の前に運んで行く。
「お待たせしました。簡単な物で申し訳ありませんが、どうぞ召し上がってください」
「いや、時間外に悪いな」
ルーク様はそう言うと、早速スープを口にした。
「ほお、子どもが作ったにしては美味いぞ」
ルーク様の隣で、ルーク様が食べてくれるのをワクワクして見ていたわたしはがっくりと肩を落とす。
「だから、子どもじゃありませんって」
次に、ルーク様はサンドイッチを食べようとして、一度手に取ったものの、再度お皿に戻してパンを開け、フォークでトマトをはずした。
わたしはルーク様を睨んで、フォークでもう一度トマトをパンの間に戻すと、ルーク様は嫌な顔をした。
「ルーク様、好き嫌いをしてたら大きくなれませんよ?」
「もう大きくなったからいいんだよ」
ルーク様はそう言ってから、はっと何かに気がついたように、不思議そうにわたしの顔を見た。
「ルーク様? なんですか?」
「……いや、子どもに叱られてしまったなと思って……」
"叱る"というフレーズに、今度はわたしがはっとした。
「すみません。わたしってば、使用人のくせに生意気なことを言いました。実家に弟がいるのですが、同じようにいつもトマトをはずすので、つい同じように言ってしまいました」
冷や汗をかいて頭を下げると、ルーク様はくつくつと笑い出した。
「そうか。オレはおまえの弟と同じか」
「たっ、大変申し訳ありません。同じというわけではなくてですね、」
わたしは泡を食ってしどろもどろだ。
「いい。気にするな。トマトが入っていても美味いぞ。懐かしい味がする」
ルーク様は笑みを浮かべてサンドイッチを食べている。
「……懐かしい、ですか?」
「ああ。オレがトマトをはずしても、怒る者はもういなかったからな。トマトの入ったサンドイッチを食うのは、もう13年ぶりだ」
「そうですか……」
ん?
と、いうことは、わたしが死んでから、ルーク様はずっとトマトを食べていないってこと?
それはいけない。トマトさんにだって、栄養がたくさん入っているんだから。
「では、これからはトマトもちゃんと食べてくださいね」
わたしがそう言うと、ルーク様は目を丸くした。
「おまえ……。そうだな。では、またフォークで戻してくれる者がいたら、文句を言わずにトマトを食おう」
「それって、わたしがいなきゃトマト食べないって言ってるじゃないですかぁ。わたし、ルーク様付きの侍女じゃないんですから無理ですよ」
「はは、そうだな」
ルーク様は、穏やかに笑った。
「ルーク様」
一人だと思っていたルーク様は、わたしが声を掛けると驚いた様子でこちらを見た。
「まだ、寝ないのか。子どもが夜更かしをするもんじゃないぞ」
「もう子どもじゃありません。働きに出ているんですから、もう大人です。それより、少しお待ちいただけますか?」
「なんだ?」
「軽食くらいでよろしければ、すぐにお作りいたしますが」
ルーク様は訝しげにわたしを見る。
「ほんとに作れるのか?」
「はい。もう大人ですから」
わたしはつんと澄まして、ルーク様に言った。
ルーク様は笑って「じゃ、待つ」と言い、厨房にある簡易テーブルの椅子に腰掛けた。
わたしは厨房にあったエプロンをつける。
ええーっと、確かゼンはここにある野菜は勝手に使っていいって言ってたわよね。
あと、玉ねぎとコンソメで簡単なスープを作って。
野菜を洗っている間に、軽くパンをトーストする。
野菜の水気を切って、ベーコンを焼いてそれぞれをパンに挟んで食べやすい大きさに切った。
それらをトレーに乗せて、ルーク様の目の前に運んで行く。
「お待たせしました。簡単な物で申し訳ありませんが、どうぞ召し上がってください」
「いや、時間外に悪いな」
ルーク様はそう言うと、早速スープを口にした。
「ほお、子どもが作ったにしては美味いぞ」
ルーク様の隣で、ルーク様が食べてくれるのをワクワクして見ていたわたしはがっくりと肩を落とす。
「だから、子どもじゃありませんって」
次に、ルーク様はサンドイッチを食べようとして、一度手に取ったものの、再度お皿に戻してパンを開け、フォークでトマトをはずした。
わたしはルーク様を睨んで、フォークでもう一度トマトをパンの間に戻すと、ルーク様は嫌な顔をした。
「ルーク様、好き嫌いをしてたら大きくなれませんよ?」
「もう大きくなったからいいんだよ」
ルーク様はそう言ってから、はっと何かに気がついたように、不思議そうにわたしの顔を見た。
「ルーク様? なんですか?」
「……いや、子どもに叱られてしまったなと思って……」
"叱る"というフレーズに、今度はわたしがはっとした。
「すみません。わたしってば、使用人のくせに生意気なことを言いました。実家に弟がいるのですが、同じようにいつもトマトをはずすので、つい同じように言ってしまいました」
冷や汗をかいて頭を下げると、ルーク様はくつくつと笑い出した。
「そうか。オレはおまえの弟と同じか」
「たっ、大変申し訳ありません。同じというわけではなくてですね、」
わたしは泡を食ってしどろもどろだ。
「いい。気にするな。トマトが入っていても美味いぞ。懐かしい味がする」
ルーク様は笑みを浮かべてサンドイッチを食べている。
「……懐かしい、ですか?」
「ああ。オレがトマトをはずしても、怒る者はもういなかったからな。トマトの入ったサンドイッチを食うのは、もう13年ぶりだ」
「そうですか……」
ん?
と、いうことは、わたしが死んでから、ルーク様はずっとトマトを食べていないってこと?
それはいけない。トマトさんにだって、栄養がたくさん入っているんだから。
「では、これからはトマトもちゃんと食べてくださいね」
わたしがそう言うと、ルーク様は目を丸くした。
「おまえ……。そうだな。では、またフォークで戻してくれる者がいたら、文句を言わずにトマトを食おう」
「それって、わたしがいなきゃトマト食べないって言ってるじゃないですかぁ。わたし、ルーク様付きの侍女じゃないんですから無理ですよ」
「はは、そうだな」
ルーク様は、穏やかに笑った。
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