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2章 想いの変化 きっかけ
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エドワードから、最後にダンスを望まれ、シャーロットは笑顔でそれに応じた。
シャーロットは笑顔を絶やさず、パーティーが終わるまで、エドワードのパートナーを務めたのだった。
パーティーもお開きになり、エドワードは迎えに来たのと同じところまでシャーロットをエスコートして来た。
中庭が見えると、シャーロットは少しホッとする。
その時、気の緩みからか足元がふらついた。
「おっと、危ない」
エドワードがすぐにシャーロットを抱きかかえ支える。
「ごめんなさい。少し、飲み過ぎてしまったようだわ」
「では、お部屋までお送りしましょう」
「いえ、ここまでで大丈夫ですわ。今日はありがとうございました。また、明日お帰りの時はお見送りに参ります。道中長いですから、今夜はゆっくりとおやすみくださいませ」
シャーロットがエドワードの腕から離れようとすると、エドワードはシャーロットの体を引き寄せ、その場で抱きしめた。
「陛下。今夜は帰したくありません。どうか明日の朝まで、わたしをパートナーとして置いてください」
「えっ、いえ、その、それは困ります……」
断ろうと、シャーロットがエドワードの顔を見るために視線を上げると、どんどんとエドワードの顔が近付いてくる。
キスをされそうになり、シャーロットが悲鳴を上げるために息を吸い込んだところで、声がかかる。
「エドワード殿、シャーロット陛下をお送りいただきありがとうございました。ここからはわたしがお送りしますので、どうぞお帰りください」
王家の居住区の方から、フレッドがやって来て、エドワードとシャーロットに近付く。
「今日はわたしがパートナーです。部屋までお送りします」
エドワードはシャーロットを腕の中から出さずに答える。
いつも人懐っこい笑顔を浮かべるフレッドは、珍しく無表情で告げた。
「ここより先は王の私室になります。部外者は立ち入ることはできません」
「では、フレッド殿も入れないでしょう」
「いいえ。わたしはこの国の宰相です。元より王の居室まで入ることを許されている身です」
毅然とした態度でエドワードを拒否するフレッドに、エドワードは小さくため息をついた。
「仕方ありません。では、シャーロット陛下、また明日」
エドワードが腕を解いた時、フレッドがシャーロットの手を取る。
「シャーロット陛下、お足元に気をつけて。では、エドワード殿。明日はわたしもお見送りいたします」
エドワードは苦笑いを残し、踵を返す。
フレッドもシャーロットの手を引き、腰に手をあて、支えるようにして歩き始める。
「シャーロットちゃん、もう少しがんばって。あの角を曲がれば、もうエドワードからは見えないから」
そして、フレッドが言う建物の角を曲がった瞬間、シャーロットが崩れ落ちた。
床に転がる前に、フレッドが抱き止める。
そして、そのまま何も言わずに横抱きにしてシャーロットの私室へと向かった。
「フレッド様、申し訳ありません。重いですから下ろしてくださいませ」
シャーロットはくったりとしつつも、フレッドの腕から逃れようとする。
「何言ってんの。重くなんかないよ。軽すぎて心配になるくらい。それに、ずっと熱があったでしょ。無理してたんだから、甘えて抱っこされといてよ」
人ひとりと装飾のたくさん付いたドレスは、それ相応の重さがあるはずだが、ものともせずにフレッドは颯爽と歩く。
「フレッド様、いつからご存知でしたの?」
「うーん。昼間、顔が少し赤かったからかな。あれっと思っていたら、それを誤魔化すようにチークを濃く塗ってるし、足元ふらつくし。具合の悪い時は悪いって言わなきゃダメだよ」
「申し訳ありません……。だから、今日はお酒を召し上がらなかったのですか?」
「シャーロットちゃんは気にしなくていいのー」
シャーロットを抱えたままドアを開け、シャーロットの部屋へと入る。
「ジュディちゃんは?」
「今日は遅くなるのでもう下がって良いと伝えました。だから、私ひとりです」
くったりとフレッドに全体重を預け、安心し切ったように寄りかかるシャーロットを、フレッドはなんとも言えない思いで見つめた。
「ごめん。寝室に入るよ」
そして、もう一つ先のドアも開け、ベッドの位置を確かめると、ゆっくりとそこへシャーロットを降ろした。
暗い部屋の中は、月明かりだけが頼りだった。
シャーロットは笑顔を絶やさず、パーティーが終わるまで、エドワードのパートナーを務めたのだった。
パーティーもお開きになり、エドワードは迎えに来たのと同じところまでシャーロットをエスコートして来た。
中庭が見えると、シャーロットは少しホッとする。
その時、気の緩みからか足元がふらついた。
「おっと、危ない」
エドワードがすぐにシャーロットを抱きかかえ支える。
「ごめんなさい。少し、飲み過ぎてしまったようだわ」
「では、お部屋までお送りしましょう」
「いえ、ここまでで大丈夫ですわ。今日はありがとうございました。また、明日お帰りの時はお見送りに参ります。道中長いですから、今夜はゆっくりとおやすみくださいませ」
シャーロットがエドワードの腕から離れようとすると、エドワードはシャーロットの体を引き寄せ、その場で抱きしめた。
「陛下。今夜は帰したくありません。どうか明日の朝まで、わたしをパートナーとして置いてください」
「えっ、いえ、その、それは困ります……」
断ろうと、シャーロットがエドワードの顔を見るために視線を上げると、どんどんとエドワードの顔が近付いてくる。
キスをされそうになり、シャーロットが悲鳴を上げるために息を吸い込んだところで、声がかかる。
「エドワード殿、シャーロット陛下をお送りいただきありがとうございました。ここからはわたしがお送りしますので、どうぞお帰りください」
王家の居住区の方から、フレッドがやって来て、エドワードとシャーロットに近付く。
「今日はわたしがパートナーです。部屋までお送りします」
エドワードはシャーロットを腕の中から出さずに答える。
いつも人懐っこい笑顔を浮かべるフレッドは、珍しく無表情で告げた。
「ここより先は王の私室になります。部外者は立ち入ることはできません」
「では、フレッド殿も入れないでしょう」
「いいえ。わたしはこの国の宰相です。元より王の居室まで入ることを許されている身です」
毅然とした態度でエドワードを拒否するフレッドに、エドワードは小さくため息をついた。
「仕方ありません。では、シャーロット陛下、また明日」
エドワードが腕を解いた時、フレッドがシャーロットの手を取る。
「シャーロット陛下、お足元に気をつけて。では、エドワード殿。明日はわたしもお見送りいたします」
エドワードは苦笑いを残し、踵を返す。
フレッドもシャーロットの手を引き、腰に手をあて、支えるようにして歩き始める。
「シャーロットちゃん、もう少しがんばって。あの角を曲がれば、もうエドワードからは見えないから」
そして、フレッドが言う建物の角を曲がった瞬間、シャーロットが崩れ落ちた。
床に転がる前に、フレッドが抱き止める。
そして、そのまま何も言わずに横抱きにしてシャーロットの私室へと向かった。
「フレッド様、申し訳ありません。重いですから下ろしてくださいませ」
シャーロットはくったりとしつつも、フレッドの腕から逃れようとする。
「何言ってんの。重くなんかないよ。軽すぎて心配になるくらい。それに、ずっと熱があったでしょ。無理してたんだから、甘えて抱っこされといてよ」
人ひとりと装飾のたくさん付いたドレスは、それ相応の重さがあるはずだが、ものともせずにフレッドは颯爽と歩く。
「フレッド様、いつからご存知でしたの?」
「うーん。昼間、顔が少し赤かったからかな。あれっと思っていたら、それを誤魔化すようにチークを濃く塗ってるし、足元ふらつくし。具合の悪い時は悪いって言わなきゃダメだよ」
「申し訳ありません……。だから、今日はお酒を召し上がらなかったのですか?」
「シャーロットちゃんは気にしなくていいのー」
シャーロットを抱えたままドアを開け、シャーロットの部屋へと入る。
「ジュディちゃんは?」
「今日は遅くなるのでもう下がって良いと伝えました。だから、私ひとりです」
くったりとフレッドに全体重を預け、安心し切ったように寄りかかるシャーロットを、フレッドはなんとも言えない思いで見つめた。
「ごめん。寝室に入るよ」
そして、もう一つ先のドアも開け、ベッドの位置を確かめると、ゆっくりとそこへシャーロットを降ろした。
暗い部屋の中は、月明かりだけが頼りだった。
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