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最終章 人質でなくなった女王と忘れない王太子
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その夜、寝付けなくて、こっそりと起き出し、キッチンに立ってクッキーを焼いた。
無心で手を動かして、たくさん、たくさんクッキーを焼いた。
そして、満足して寝られそうになった頃、夜が明ける前にベッドルームに戻った。
朝、何食わぬ顔でリビングに起きて行ったら、ものすごく怖い顔をしたマリーが私を待っていた。
「姫様、ちょっとこっちにいらっしゃい」
「ひっ!」
「逃げないで。逃げてもどうにもなりませんよ」
渋々と、マリーの待つリビングのテーブルについた。
どんっと、テーブルに置かれたのは、小麦粉の袋。
「ものすごく減っていますけど、どういうことですか?」
「えっと、あの、その」
「昨日は朝からお疲れでしたから、早く寝てくださいと、申し上げましたよね?」
少し大きめの声に、ジュディもアーサーも何事かとリビングのドアの外から覗いている。
そこで見てるなら助けてよ!
「……徹夜なさったのですか?」
「いいえ! 寝たわよ。ちゃんと、ベッドで」
「では、これはどういうことですか?」
「その、ちょーっと寝られなかったから、クッキー生地でもこねようかなー、なんて」
「言いたいことは?」
静かな圧に耐えられず、私は勢いよく頭を下げた。
「ごめんなさいっ。もうしません! 夜はちゃんと寝ます」
頭を下げたまま、怖くて上げられずにいると、ドアの外からフレッド様の声がした。
「くっ、くくっ、マリー、その辺で許してあけなよ。ぷっ、くくく」
フレッド様、笑い声が隠れてなくってよ?
「まったく……。フレッド様は姫様に甘いんですから。仕方ありませんね。姫様、もうこのようなことはなさらないでくださいね。お身体に触ります」
「はいっ、重々承知致しました!!」
やっとのことで、マリーに許してもらった私は、恨みがましくアーサーとジュディ、フレッド様を見た。
「もおっ、助けてくれてもよろしいのではなくて?」
「あんなに怒った母さんに、オレたちが何も言える訳ないでしょう」
「そうですよ、姫様。あそこは姫様が素直に謝るべきところです」
「えー、オレは助け舟出したじゃん」
私は頬を膨らます。
「ええ、出してくれましたとも。笑いながらね」
「えー、ごめんってー」
口では謝りながらも、フレッド様はまた笑い出した。
失礼な!
みんなで朝食を食べて、帰国の準備をする。
今日、午前中のうちに立たなければ、予約をしているホテルに今日中にたどり着かないからだ。
マリーやジュディが慌ただしく準備をしてくれている時に、2人に断りを入れて離宮を離れた。
「シャーロットちゃん、どこ行くの?」
「ギルバート様にクッキーを届けに行ってきます」
「ついて行こうか?」
「ギルバート様の宮でしたら、何度も行っているので大丈夫ですよ」
フレッド様も慌ただしい帰り支度に、お父様へも顔を出さなければならないので、ご迷惑にならないようにフレッド様のお申し出はお断りした。
本宮へと歩いて行き、ギルバート様の宮に行く前に、王太子様の執務室がある方へと足を進める。
そのために、髪をきっちりと編み込んで、白い襟に紺のワンピースを着てきた。
この地味な格好ならば、他国のメイドと思ってくれないかなという淡い期待を持って。
以前、ディリオン様からお預かりした、ハンカチを使わせていただいた。
執務室へと繋がる廊下に立っている護衛の方にハンカチを見せると、以前ここに入った時にいた護衛の方だったようで、私の顔を見ると、すんなりと通してもらえた。
王太子様の執務室なので、もうライリー陛下と側近の方々はいらっしゃらないかもしれない。
それでもいいから、ここに来たかった。
執務室のドアをノックすると、中から入室を許可する声があった。
無人の執務室にそっとクッキーを置いてくるつもりだったのに、誰がいるんだろう?
人がいた事にびっくりしながらドアを開けると、ディリオン様お一人が部屋の中にいた。
「シャーロット陛下、こんなところにどうして……。どうやって入ったのだ」
ディリオン様は机に座ったまま、こちらを見た。
「申し訳ありません。昔、ディリオン様にお預かりしたハンカチを使わせていただきました。こちら、お返しいたします」
私は頭を下げてから、そっと、机にハンカチを置いた。
「そういえば、メイドの振りをしていた時期があったな。して、今日はどのような用件が?」
「今日、ランバラルドを発ちます。こんなものしかございませんが、以前お気に召していただいたので、お持ちしました」
ハンカチの横に、クッキーを置いた。
「クッキーはどうしたのだ? まさか、女王ともあろう者が、厨房に立っているのではあるまいな?」
「うっ、そのまさかです……。すみません」
ディリオン様は、はあっと大きくため息をついた。
「まったく。うちの王子といい、似た者なんとかと言うのは本当だな」
なんとか、というところに何が入るのかわからなかったけれど、聞くのはやめにしておいた。
似た者バカ者とか言われたら嫌じゃない?
「王子には、会って行かないのか? 多分、昨日はたらふく飲まされた上に、足が棒になるまでダンスをさせられていたから、起きてくるのは遅いと思うが」
「お疲れでしょうし、昨日お話ししましたから」
寂しさを隠して微笑むと、ディリオン様は何も言わなかった。
「クッキー、たくさんあるので、みなさんで召し上がってください。では、また来ます。今度は、ちゃんとお借りした資金を返済しに来ます」
「国政は順調か?」
「はい。ディリオン様たちが下地を作ってくださり、フレッド様も残って政策に取り組んでくださって、おかげさまでボナールはだんだんと豊かな国になりつつあります。本当に、なんとお礼を言ったらいいかわかりません」
ディリオン様はクイッとメガネを上げる。
「そうか」
瞳の奥に、優しさが見えた気がした。
ディリオン様の他には、誰にも合わなかったけれど、私は執務室を後にした。
ギルバート様の居室の方に行き、入り口の護衛に声を掛ける。
さすがに、ギルバート様の宮には住んでいたことがあるので、顔パスだ。
リビングに通されると、眠そうな顔をしたギルバート様が長椅子に腰掛けていた。
「こんなに朝早く、元気だな、シャーロット」
座るように言われて、ギルバート様の向かいに腰を下ろす。
「私たちは、今日の午前中の間にはランバラルドを発たないと予定通りに帰国できないので」
「なにっ、そんなに急いで帰るのか? なんでもっとゆっくりして行かないんだ」
「まだ、やっと国が安定してきたばかりですので、あんまりゆっくりするのは怖くって。それでですね、昨日、クッキーを焼いたのでお持ちしたんです。こちら、どうぞ」
ギルバート様にもクッキーを差し出す。
「ああ、悪いな。昨日は疲れていただろうに。でもシャーロットのクッキーが食べられるのは素直に嬉しい」
ギルバート様は、さっさとクッキーを手にした。
「で、フレッドか? ライリーか?」
「何がですか?」
「まさか、この期に及んでまだ2人とも何も言っていないのか?」
「だから、何がですか?」
「いや、なんでもない。シャーロット、ヘタレに付き合っていたら、あっという間にババアになるぞ」
「ババアってなんですの? 私は、まだ18歳ですわ」
「知ってる。わたしと同じ歳だ。そういえば、帝国のジルベールとも噂があったな」
「ジルベール陛下ですか? ペンフレンドですけど」
「は?」
ギルバート様は眠そうだった目を見開いた。
「だから、ペンフレンドです」
「なんだ? それは」
不思議がるギルバート様に、最初にいただいた手紙の内容と、最近いただいた手紙の内容をかいつまんでお話しする。
「ほう、温泉まんじゅうに心奪われていたが、今はザーランドの銀細工に夢中なのか」
「はい。今頃は帝国に拠点を移すように、口説いている最中ではないでしょうか」
「うん。よくわかった。シャーロット、おまえは男運がない。おまえの周りはヘタレかバカばっかりだ」
「ギルバート様もですか?」
「バカ言え。わたしは別格だ」
なんかよくわからないけれど、ギルバート様はもちろん、ライリー陛下もフレッド様もとても素敵な方だとわかっているので、まあいいかとそのままにした。
もう、ランバラルドから離れなければならない時間が近付いていた。
無心で手を動かして、たくさん、たくさんクッキーを焼いた。
そして、満足して寝られそうになった頃、夜が明ける前にベッドルームに戻った。
朝、何食わぬ顔でリビングに起きて行ったら、ものすごく怖い顔をしたマリーが私を待っていた。
「姫様、ちょっとこっちにいらっしゃい」
「ひっ!」
「逃げないで。逃げてもどうにもなりませんよ」
渋々と、マリーの待つリビングのテーブルについた。
どんっと、テーブルに置かれたのは、小麦粉の袋。
「ものすごく減っていますけど、どういうことですか?」
「えっと、あの、その」
「昨日は朝からお疲れでしたから、早く寝てくださいと、申し上げましたよね?」
少し大きめの声に、ジュディもアーサーも何事かとリビングのドアの外から覗いている。
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「……徹夜なさったのですか?」
「いいえ! 寝たわよ。ちゃんと、ベッドで」
「では、これはどういうことですか?」
「その、ちょーっと寝られなかったから、クッキー生地でもこねようかなー、なんて」
「言いたいことは?」
静かな圧に耐えられず、私は勢いよく頭を下げた。
「ごめんなさいっ。もうしません! 夜はちゃんと寝ます」
頭を下げたまま、怖くて上げられずにいると、ドアの外からフレッド様の声がした。
「くっ、くくっ、マリー、その辺で許してあけなよ。ぷっ、くくく」
フレッド様、笑い声が隠れてなくってよ?
「まったく……。フレッド様は姫様に甘いんですから。仕方ありませんね。姫様、もうこのようなことはなさらないでくださいね。お身体に触ります」
「はいっ、重々承知致しました!!」
やっとのことで、マリーに許してもらった私は、恨みがましくアーサーとジュディ、フレッド様を見た。
「もおっ、助けてくれてもよろしいのではなくて?」
「あんなに怒った母さんに、オレたちが何も言える訳ないでしょう」
「そうですよ、姫様。あそこは姫様が素直に謝るべきところです」
「えー、オレは助け舟出したじゃん」
私は頬を膨らます。
「ええ、出してくれましたとも。笑いながらね」
「えー、ごめんってー」
口では謝りながらも、フレッド様はまた笑い出した。
失礼な!
みんなで朝食を食べて、帰国の準備をする。
今日、午前中のうちに立たなければ、予約をしているホテルに今日中にたどり着かないからだ。
マリーやジュディが慌ただしく準備をしてくれている時に、2人に断りを入れて離宮を離れた。
「シャーロットちゃん、どこ行くの?」
「ギルバート様にクッキーを届けに行ってきます」
「ついて行こうか?」
「ギルバート様の宮でしたら、何度も行っているので大丈夫ですよ」
フレッド様も慌ただしい帰り支度に、お父様へも顔を出さなければならないので、ご迷惑にならないようにフレッド様のお申し出はお断りした。
本宮へと歩いて行き、ギルバート様の宮に行く前に、王太子様の執務室がある方へと足を進める。
そのために、髪をきっちりと編み込んで、白い襟に紺のワンピースを着てきた。
この地味な格好ならば、他国のメイドと思ってくれないかなという淡い期待を持って。
以前、ディリオン様からお預かりした、ハンカチを使わせていただいた。
執務室へと繋がる廊下に立っている護衛の方にハンカチを見せると、以前ここに入った時にいた護衛の方だったようで、私の顔を見ると、すんなりと通してもらえた。
王太子様の執務室なので、もうライリー陛下と側近の方々はいらっしゃらないかもしれない。
それでもいいから、ここに来たかった。
執務室のドアをノックすると、中から入室を許可する声があった。
無人の執務室にそっとクッキーを置いてくるつもりだったのに、誰がいるんだろう?
人がいた事にびっくりしながらドアを開けると、ディリオン様お一人が部屋の中にいた。
「シャーロット陛下、こんなところにどうして……。どうやって入ったのだ」
ディリオン様は机に座ったまま、こちらを見た。
「申し訳ありません。昔、ディリオン様にお預かりしたハンカチを使わせていただきました。こちら、お返しいたします」
私は頭を下げてから、そっと、机にハンカチを置いた。
「そういえば、メイドの振りをしていた時期があったな。して、今日はどのような用件が?」
「今日、ランバラルドを発ちます。こんなものしかございませんが、以前お気に召していただいたので、お持ちしました」
ハンカチの横に、クッキーを置いた。
「クッキーはどうしたのだ? まさか、女王ともあろう者が、厨房に立っているのではあるまいな?」
「うっ、そのまさかです……。すみません」
ディリオン様は、はあっと大きくため息をついた。
「まったく。うちの王子といい、似た者なんとかと言うのは本当だな」
なんとか、というところに何が入るのかわからなかったけれど、聞くのはやめにしておいた。
似た者バカ者とか言われたら嫌じゃない?
「王子には、会って行かないのか? 多分、昨日はたらふく飲まされた上に、足が棒になるまでダンスをさせられていたから、起きてくるのは遅いと思うが」
「お疲れでしょうし、昨日お話ししましたから」
寂しさを隠して微笑むと、ディリオン様は何も言わなかった。
「クッキー、たくさんあるので、みなさんで召し上がってください。では、また来ます。今度は、ちゃんとお借りした資金を返済しに来ます」
「国政は順調か?」
「はい。ディリオン様たちが下地を作ってくださり、フレッド様も残って政策に取り組んでくださって、おかげさまでボナールはだんだんと豊かな国になりつつあります。本当に、なんとお礼を言ったらいいかわかりません」
ディリオン様はクイッとメガネを上げる。
「そうか」
瞳の奥に、優しさが見えた気がした。
ディリオン様の他には、誰にも合わなかったけれど、私は執務室を後にした。
ギルバート様の居室の方に行き、入り口の護衛に声を掛ける。
さすがに、ギルバート様の宮には住んでいたことがあるので、顔パスだ。
リビングに通されると、眠そうな顔をしたギルバート様が長椅子に腰掛けていた。
「こんなに朝早く、元気だな、シャーロット」
座るように言われて、ギルバート様の向かいに腰を下ろす。
「私たちは、今日の午前中の間にはランバラルドを発たないと予定通りに帰国できないので」
「なにっ、そんなに急いで帰るのか? なんでもっとゆっくりして行かないんだ」
「まだ、やっと国が安定してきたばかりですので、あんまりゆっくりするのは怖くって。それでですね、昨日、クッキーを焼いたのでお持ちしたんです。こちら、どうぞ」
ギルバート様にもクッキーを差し出す。
「ああ、悪いな。昨日は疲れていただろうに。でもシャーロットのクッキーが食べられるのは素直に嬉しい」
ギルバート様は、さっさとクッキーを手にした。
「で、フレッドか? ライリーか?」
「何がですか?」
「まさか、この期に及んでまだ2人とも何も言っていないのか?」
「だから、何がですか?」
「いや、なんでもない。シャーロット、ヘタレに付き合っていたら、あっという間にババアになるぞ」
「ババアってなんですの? 私は、まだ18歳ですわ」
「知ってる。わたしと同じ歳だ。そういえば、帝国のジルベールとも噂があったな」
「ジルベール陛下ですか? ペンフレンドですけど」
「は?」
ギルバート様は眠そうだった目を見開いた。
「だから、ペンフレンドです」
「なんだ? それは」
不思議がるギルバート様に、最初にいただいた手紙の内容と、最近いただいた手紙の内容をかいつまんでお話しする。
「ほう、温泉まんじゅうに心奪われていたが、今はザーランドの銀細工に夢中なのか」
「はい。今頃は帝国に拠点を移すように、口説いている最中ではないでしょうか」
「うん。よくわかった。シャーロット、おまえは男運がない。おまえの周りはヘタレかバカばっかりだ」
「ギルバート様もですか?」
「バカ言え。わたしは別格だ」
なんかよくわからないけれど、ギルバート様はもちろん、ライリー陛下もフレッド様もとても素敵な方だとわかっているので、まあいいかとそのままにした。
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