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7章 人質姫のもう一つの生活
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ケーキについてや、ギルバート様の学校のこと。
そんな話をしているうちに、ワゴンに乗ってケーキと紅茶がやってくる。
「お待たせいたしました。こちらはレアチーズケーキベリーソース添えです。紅茶はオレンジペコをどうぞ。こちらはバナナボートとダージリンになります」
ギルバート様は、私にどちらのケーキがいいか聞き、私がバナナボートがいいと言うとバナナボートを私の前へ置くように店員さんに言う。
ワクワクしながら、早速一口いただく。
「ギルバート様、これ、とても美味しいです。バナナとクリームがスポンジに包まれて。バナナとクリームのスポンジオムレツですね」
「こちらも美味いぞ。ベリーソースの酸味がいい」
「わあ、そちらも食べてみたいです…。次、来た時はそれにします」
私が羨望の眼差しで見つめていると、不意にギルバート様が私にケーキを差し出す。
「食べてみればいいじゃないか。城での食事会ではないのだ。そういう無礼もいいだろう。町娘は"ひとくち交換"なるものをするらしいぞ」
その言葉を聞いて、今度は私が赤くなる。
ギルバート様が口にしたものを、私が食べるなんて…。
「ギルバート様、本当に町の方はそんなことをするのでしょうか…?」
私が恥ずかしがっているのを見て、ギルバート様は怪訝そうな顔をする。
「何を照れておるんだ?」
「いえ、なんでもないです。いただきます」
ケーキの端をフォークでさして、ぱくっといただく。
顔を赤くして食べる私を不機嫌そうにギルバート様が見る。
「わたしの食べかけだから嫌なのか?…ん?…食べかけ…」
どうやら、ギルバート様も言っていて気付いたようで、慌てて「出せ!今すぐ出せ」と言ったが、もう飲み込んだあとだった。
楽しかった時間はあっという間に過ぎるもの。
夕刻になり、私は来た時に寄った洋服屋さんでメイド服に着替えて、来た時と同じようにギルバート様の馬車でお城へと帰って行った。
ギルバート様は離宮まで送ってくださって、いつもは見せないとてもお優しい笑顔で「また連れて行ってやる」とお約束してくださった。
離宮の扉を開けると、ジュディが青い顔で私の帰りを待っていた。
「そんなに私のことが心配だったの?」
私が笑いながらジュディにお土産の焼き菓子を渡す。
美味しかったケーキのお店で、ジュディのお土産を買っていたのだ。
「姫様、リビングに来ていただいてもいいでしょうか」
深刻な顔でジュディが言う。
いつものジュディなら、とても喜んでお礼を言ってくれるのに、それもそこそこにリビングに来いと言う。
「う、うん。いいけど…。では、ギルバート様、今日はありがとうございました」
お礼を言って扉を閉めようとすると、ギルバート様は扉を手で掴んで閉めるのを止める。
「ジュディ、何があった?わたしも話を聞こう」
ジュディはうろたえながら答える。
「いえ、畏れ多くも、ギルバート様にお聞かせするようなことでは…」
「ジュディ。わたしが聞くと言っている」
ギルバート様はいつも見せない厳しい表情で、ジュディに否と言わせなかった。
ギルバート様がいるが、落ち着いて話を聞けるようにと、応接室ではなく暖炉の前のソファに腰を落ちつけた。
ジュディが私たちを見ながら、ポケットから何やら紙を取り出した。
「実は…。ボナールの母に出していた手紙の返事が来たのですが、兄が怪我を理由に騎士団を除籍され、母はお城をクビになりました。そして、おそらく母は、秘密を知るものとして、王様から命を狙われているものと思われます」
そんな話をしているうちに、ワゴンに乗ってケーキと紅茶がやってくる。
「お待たせいたしました。こちらはレアチーズケーキベリーソース添えです。紅茶はオレンジペコをどうぞ。こちらはバナナボートとダージリンになります」
ギルバート様は、私にどちらのケーキがいいか聞き、私がバナナボートがいいと言うとバナナボートを私の前へ置くように店員さんに言う。
ワクワクしながら、早速一口いただく。
「ギルバート様、これ、とても美味しいです。バナナとクリームがスポンジに包まれて。バナナとクリームのスポンジオムレツですね」
「こちらも美味いぞ。ベリーソースの酸味がいい」
「わあ、そちらも食べてみたいです…。次、来た時はそれにします」
私が羨望の眼差しで見つめていると、不意にギルバート様が私にケーキを差し出す。
「食べてみればいいじゃないか。城での食事会ではないのだ。そういう無礼もいいだろう。町娘は"ひとくち交換"なるものをするらしいぞ」
その言葉を聞いて、今度は私が赤くなる。
ギルバート様が口にしたものを、私が食べるなんて…。
「ギルバート様、本当に町の方はそんなことをするのでしょうか…?」
私が恥ずかしがっているのを見て、ギルバート様は怪訝そうな顔をする。
「何を照れておるんだ?」
「いえ、なんでもないです。いただきます」
ケーキの端をフォークでさして、ぱくっといただく。
顔を赤くして食べる私を不機嫌そうにギルバート様が見る。
「わたしの食べかけだから嫌なのか?…ん?…食べかけ…」
どうやら、ギルバート様も言っていて気付いたようで、慌てて「出せ!今すぐ出せ」と言ったが、もう飲み込んだあとだった。
楽しかった時間はあっという間に過ぎるもの。
夕刻になり、私は来た時に寄った洋服屋さんでメイド服に着替えて、来た時と同じようにギルバート様の馬車でお城へと帰って行った。
ギルバート様は離宮まで送ってくださって、いつもは見せないとてもお優しい笑顔で「また連れて行ってやる」とお約束してくださった。
離宮の扉を開けると、ジュディが青い顔で私の帰りを待っていた。
「そんなに私のことが心配だったの?」
私が笑いながらジュディにお土産の焼き菓子を渡す。
美味しかったケーキのお店で、ジュディのお土産を買っていたのだ。
「姫様、リビングに来ていただいてもいいでしょうか」
深刻な顔でジュディが言う。
いつものジュディなら、とても喜んでお礼を言ってくれるのに、それもそこそこにリビングに来いと言う。
「う、うん。いいけど…。では、ギルバート様、今日はありがとうございました」
お礼を言って扉を閉めようとすると、ギルバート様は扉を手で掴んで閉めるのを止める。
「ジュディ、何があった?わたしも話を聞こう」
ジュディはうろたえながら答える。
「いえ、畏れ多くも、ギルバート様にお聞かせするようなことでは…」
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ギルバート様がいるが、落ち着いて話を聞けるようにと、応接室ではなく暖炉の前のソファに腰を落ちつけた。
ジュディが私たちを見ながら、ポケットから何やら紙を取り出した。
「実は…。ボナールの母に出していた手紙の返事が来たのですが、兄が怪我を理由に騎士団を除籍され、母はお城をクビになりました。そして、おそらく母は、秘密を知るものとして、王様から命を狙われているものと思われます」
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