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番外編
再会
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あの日、僕の運命を変えたあの日
姫様の父を名乗る人と会った。
人間じゃないのはすぐにわかった。
僕じゃ到底勝てない事も。
そいつは、姫様の願いを叶える為に来たと言う。
姫様は僕達の幸せを望んだ。
そのおかげで両親が生き返りミヤネが弟として産まれてくると聞いた。
「んで、記憶は消すことも残す事もできるがどうする?」
「そんなの消さないに決まってるじゃん。
この記憶は僕の物だ。例え姫様でも勝手に消させてたまるもんか」
姫様との思い出も、両親を奪われた悲しみも全て僕の物。
全てが元通りになったってなくしたくなんてない。
「そうか、それが聞きたかっただけだ。
それじゃあ俺は行くわ。」
「あっ!待って!姫様は…無事……なんだよね?」
「…今の所はな。
治り次第あいつの好きな様にさせるつもりだ。」
「それじゃあ、姫様に伝えて欲しいんだ
両親の事、ミヤネの事ありがとうって
また、遊ぼうねって伝えてほしい」
「わかった、伝言は必ず伝える。
時期世界が変わる。それまでに心の準備をしておけ」
ニッと笑う顔は何処か姫様に似ていた。
心の準備…
あの日…押し入れに隠された僕の前で両親は惨殺された
母は犯され父は拷問を受け亡くなった。
小さく力がなかった僕は、ただ…カタカタと震えて隠れるしかなかった。
あの瞬間の事…今でも夢に見る。
それが…なかった事になる?
両親が帰ってくる…?優しい両親が…?
「また…会える?」
そうつぶやいた瞬間景色が歪む。
その場に立っていられなくなるほどの目眩に思わず蹲る
少しするとガンガンと頭が激しく痛み始めた。
座ってるのも辛くてその場に寝転がった
「っぅ…」
景色が変わっていくのを痛みに耐えながら眺めた。
まるで今までの出来事を巻き戻しているかのように人が後ろ向きに歩いていったり建物が古い…僕が知っている建物に変わっていく。
時期ってこんなに早くだったの?
心の準備なんてする暇もないじゃないか
自分の体が少しずつ縮むのを感じた
目を閉じてただ身を任せた。
そうするしかないしね。
どれくらい時間が経っただろう
数ヶ月に感じたけど数分かもしれない。
頭の痛みがおさまり目を開けると通常通り人が動いてるのが見えた。
「世界が…もう変わったの?」
国が見渡せる崖の上にいた僕は世界がどう変わったのか確認する為に崖を降りて行った。
「チナ!どこに行ってたの?
何処かに行く時は、お母さんかお父さんに言ってからって約束したでしょ!?
皆で探してたんだからね!」
腰に手を当て怒る女の人を僕は知ってる
姿絵も何も残ってなくて年月が経つにつれ薄れていってしまっていたけど、僕は知ってる。
「お…母さん…っ」
信じられなくて僕はただ泣くしか出来なかった
ずっと会いたかった
会いたくて、会えなくて
せめてもう一度顔だけでも見たかった
「チナ!どうしたの?どこか怪我したの!?」
泣く僕を安心させるように抱き締め背中を擦るお母さん。
この腕が好きだった。
温かくて安心できる場所だった。
ずっとずっとこの場所に居たかった。
「おっ…母さんっ…ぼくっ…僕ねっ…っ……お母さんの事っ…大好きだよっ!
いつも我儘言って困らせてごめんねっ……
嫌いって言ってっ……ごめんねっ!!」
お母さんが死んだ前日僕はお母さんと些細なことで喧嘩をした。
きっかけは本当に些細なことで思い出せないけど
僕はお母さんに嫌いっ!って言った。
その言葉を訂正する事も、大好きと伝える事も出来ずにお母さんは死んでしまった。
もしも、もう一度会えるならそれを訂正したくて大好きと伝えたかった
「もう、突然どうしたの?
チナがお母さんを好きなのはわかってるわ。
チナの事、お母さんもとってもとっても大好きよ」
フワリと笑って僕の頭を撫でるお母さんを見て更に涙が溢れる。
「ミリー、チナ居たのか……何事?」
「わからないのよ。
何かあったのだとは思うのだけど……ってアナタ?
その引きちぎれた服は何かしら?」
「あっ!こ、これはだな!晩飯の狩りに出てだな!
わ、わざとじゃないんだっ!ミリー!俺の服よりチナの方が大事だろ!」
「それとこれは別問題です!
国王なんですから、いい加減狩りに行くたびに服を引きちぎるのやめてください!
チナが真似したらどうするんですか!」
お父さんは、狩りに行くと興奮して獣化してしまい服をいつも引きちぎって帰ってはお母さんに怒られてた。
懐かしい会話に笑みが溢れる。
あぁ、本当に帰ってきたんだ。
もう…二度と同じ間違いはしたくない。
いつ失うかわからないんだから。
姫様、いつか姫様とまた会えたら
今度は笑って両親の話をしたいな。
それで、両親に姫様を紹介したい。
姫様、僕は今幸せです。
姫様の父を名乗る人と会った。
人間じゃないのはすぐにわかった。
僕じゃ到底勝てない事も。
そいつは、姫様の願いを叶える為に来たと言う。
姫様は僕達の幸せを望んだ。
そのおかげで両親が生き返りミヤネが弟として産まれてくると聞いた。
「んで、記憶は消すことも残す事もできるがどうする?」
「そんなの消さないに決まってるじゃん。
この記憶は僕の物だ。例え姫様でも勝手に消させてたまるもんか」
姫様との思い出も、両親を奪われた悲しみも全て僕の物。
全てが元通りになったってなくしたくなんてない。
「そうか、それが聞きたかっただけだ。
それじゃあ俺は行くわ。」
「あっ!待って!姫様は…無事……なんだよね?」
「…今の所はな。
治り次第あいつの好きな様にさせるつもりだ。」
「それじゃあ、姫様に伝えて欲しいんだ
両親の事、ミヤネの事ありがとうって
また、遊ぼうねって伝えてほしい」
「わかった、伝言は必ず伝える。
時期世界が変わる。それまでに心の準備をしておけ」
ニッと笑う顔は何処か姫様に似ていた。
心の準備…
あの日…押し入れに隠された僕の前で両親は惨殺された
母は犯され父は拷問を受け亡くなった。
小さく力がなかった僕は、ただ…カタカタと震えて隠れるしかなかった。
あの瞬間の事…今でも夢に見る。
それが…なかった事になる?
両親が帰ってくる…?優しい両親が…?
「また…会える?」
そうつぶやいた瞬間景色が歪む。
その場に立っていられなくなるほどの目眩に思わず蹲る
少しするとガンガンと頭が激しく痛み始めた。
座ってるのも辛くてその場に寝転がった
「っぅ…」
景色が変わっていくのを痛みに耐えながら眺めた。
まるで今までの出来事を巻き戻しているかのように人が後ろ向きに歩いていったり建物が古い…僕が知っている建物に変わっていく。
時期ってこんなに早くだったの?
心の準備なんてする暇もないじゃないか
自分の体が少しずつ縮むのを感じた
目を閉じてただ身を任せた。
そうするしかないしね。
どれくらい時間が経っただろう
数ヶ月に感じたけど数分かもしれない。
頭の痛みがおさまり目を開けると通常通り人が動いてるのが見えた。
「世界が…もう変わったの?」
国が見渡せる崖の上にいた僕は世界がどう変わったのか確認する為に崖を降りて行った。
「チナ!どこに行ってたの?
何処かに行く時は、お母さんかお父さんに言ってからって約束したでしょ!?
皆で探してたんだからね!」
腰に手を当て怒る女の人を僕は知ってる
姿絵も何も残ってなくて年月が経つにつれ薄れていってしまっていたけど、僕は知ってる。
「お…母さん…っ」
信じられなくて僕はただ泣くしか出来なかった
ずっと会いたかった
会いたくて、会えなくて
せめてもう一度顔だけでも見たかった
「チナ!どうしたの?どこか怪我したの!?」
泣く僕を安心させるように抱き締め背中を擦るお母さん。
この腕が好きだった。
温かくて安心できる場所だった。
ずっとずっとこの場所に居たかった。
「おっ…母さんっ…ぼくっ…僕ねっ…っ……お母さんの事っ…大好きだよっ!
いつも我儘言って困らせてごめんねっ……
嫌いって言ってっ……ごめんねっ!!」
お母さんが死んだ前日僕はお母さんと些細なことで喧嘩をした。
きっかけは本当に些細なことで思い出せないけど
僕はお母さんに嫌いっ!って言った。
その言葉を訂正する事も、大好きと伝える事も出来ずにお母さんは死んでしまった。
もしも、もう一度会えるならそれを訂正したくて大好きと伝えたかった
「もう、突然どうしたの?
チナがお母さんを好きなのはわかってるわ。
チナの事、お母さんもとってもとっても大好きよ」
フワリと笑って僕の頭を撫でるお母さんを見て更に涙が溢れる。
「ミリー、チナ居たのか……何事?」
「わからないのよ。
何かあったのだとは思うのだけど……ってアナタ?
その引きちぎれた服は何かしら?」
「あっ!こ、これはだな!晩飯の狩りに出てだな!
わ、わざとじゃないんだっ!ミリー!俺の服よりチナの方が大事だろ!」
「それとこれは別問題です!
国王なんですから、いい加減狩りに行くたびに服を引きちぎるのやめてください!
チナが真似したらどうするんですか!」
お父さんは、狩りに行くと興奮して獣化してしまい服をいつも引きちぎって帰ってはお母さんに怒られてた。
懐かしい会話に笑みが溢れる。
あぁ、本当に帰ってきたんだ。
もう…二度と同じ間違いはしたくない。
いつ失うかわからないんだから。
姫様、いつか姫様とまた会えたら
今度は笑って両親の話をしたいな。
それで、両親に姫様を紹介したい。
姫様、僕は今幸せです。
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