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いつから歪んだのか。
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ソレは突然だった。
セッカさんに城の中を案内してもらっていた。
後ろからは戯れ合う骸達の声が聞こえていた
「あれ…?骸?ラン?」
なのに、突然二人の声が消えた。
後ろを振り返ると先程まで歩いた道が無くなっていた
「セ、セッカさん
骸達とはぐれてしまったみたいです!」
「んー?そうだねぇ
大丈夫大丈夫、行こ…?」
ニコニコ笑いながら私の手を引いてスタスタ歩くセッカさん。
「いや…探しましょう…?」
「…どうして?」
スッとセッカさんの顔から表情が消える
「ど、どうしてって…友達が居なくなったら…探すものじゃないですか…?
それが突然消えたなら…尚更です」
私は咄嗟にセッカさんの手を振り払った
ナニかがおかしい。それはわかるのに、ナニがおかしいのかわからない。
だけど…距離を取らなきゃいけないと思った。
私の本能が、キケンだと訴えつづけている
「ねぇ、どうして手を離すの?
どうして僕から離れようとするの?ねぇどうして?」
私が一歩後ずされば、その一歩を埋めようと更に一歩近づくセッカさん
「セ、セッカさん。落ち着いて下さい。
二人を探しに行きましょうよ。ねっ?」
ドンっと背中に壁が当たる。
もう後へは逃げられない。けれど、セッカさんは距離をつめてくる。
どうにかしなきゃいけないのに、どうすればいいのかわからない
「ねぇ、どうして僕だけを見てくれないの
どうしてあんなのを側に置くの?
どうして僕じゃないの?姫様の隣は僕のでしょ?
姫様は僕のでしょ?
なのにどうして?ねぇ、どうして姫様は僕から離れてくの?」
「な、何を…言ってるんですか…?
私は…誰のモノでもありません…っ」
コワイ…コワイ…
セッカさんは何を言っているのだろうか。
「違うよ。姫様はずっと昔から僕だけのモノだよ。
姫様だってずっとずっと僕が好きって言ってくれてたでしょ?
離れていたのは、姫様が会えないからこそ愛が深まるんだって言ったんじゃないか。
だから、僕は姫様が帰ってくるのずっと…ずぅっと待ってたのに…どうして?どうして!僕の場所だったのに!
姫様の隣は!僕の場所だったのに!!」
「いっ!?
離れて下さい!私は…っ誰のモノにもなりません!
私はっ!モノじゃないんです!
心があり意思があります…私はっ!人形じゃないんです!」
グッとセッカさんの胸を押し距離を取る。
「お気持ちは嬉しいです。
そこまで好かれてるなんて知らずにこれまで傷つけた事があったかもしれません。
私は…セッカさんの気持ちに答えられません。ごめんなさい。
…私…二人を探しますね。」
ツーっと涙を流しかたまっているセッカさんから離れて二人を探すべく一歩を踏み出した
「え…?」
「…手に入らないなら…永遠に僕の手の中に。」
胸に痛みを感じ振り向けば
そこにはあの人と似た笑顔をするセッカさんがいた。
でも、何処か…違う気がするのは気のせいなのかな…
「ゲホッ…ハァッ…ハァッ…な…に…これ…」
私の体から突き出たセッカさんの手。
その手に握られた心臓はドクドク蠢いていた。
これは誰の心臓?
「大丈夫。すぐに楽になるよ。
これで…これで永遠に僕の…モノ…だよね…?」
体から力が抜け私は前に倒れる
「姫様!!!!!」
あぁ、そんな顔をしないでほしい。
ごめんなさい。私が居たから、私が…居場所を求めたから…こんなにも傷つけてしまった?
「姫様っ!大丈夫だからっ
大丈夫だから…っ…お願いだから…俺を置いていかないで…死なないで…姫様っ…」
貴方の泣き顔…私は初めて見た気がする
そんな弱音今まで言わなかったのに…
「何でっ…何でっ…血が止まらないんだよっ!!
お願いだから死ぬなっ!姫様っ!」
私は…私に優しくしてくれた彼に
ずっと見守り助けてくれた彼に…何か少しでも返せただろうか…。
あぁ、私はこんな顔を前にもどこかで見た気がする。
あの人は…今何をして…あの人って誰だろう。
あれ…?私…まだ何か忘れて……
「ーーさん!!!!」
セッカさんに城の中を案内してもらっていた。
後ろからは戯れ合う骸達の声が聞こえていた
「あれ…?骸?ラン?」
なのに、突然二人の声が消えた。
後ろを振り返ると先程まで歩いた道が無くなっていた
「セ、セッカさん
骸達とはぐれてしまったみたいです!」
「んー?そうだねぇ
大丈夫大丈夫、行こ…?」
ニコニコ笑いながら私の手を引いてスタスタ歩くセッカさん。
「いや…探しましょう…?」
「…どうして?」
スッとセッカさんの顔から表情が消える
「ど、どうしてって…友達が居なくなったら…探すものじゃないですか…?
それが突然消えたなら…尚更です」
私は咄嗟にセッカさんの手を振り払った
ナニかがおかしい。それはわかるのに、ナニがおかしいのかわからない。
だけど…距離を取らなきゃいけないと思った。
私の本能が、キケンだと訴えつづけている
「ねぇ、どうして手を離すの?
どうして僕から離れようとするの?ねぇどうして?」
私が一歩後ずされば、その一歩を埋めようと更に一歩近づくセッカさん
「セ、セッカさん。落ち着いて下さい。
二人を探しに行きましょうよ。ねっ?」
ドンっと背中に壁が当たる。
もう後へは逃げられない。けれど、セッカさんは距離をつめてくる。
どうにかしなきゃいけないのに、どうすればいいのかわからない
「ねぇ、どうして僕だけを見てくれないの
どうしてあんなのを側に置くの?
どうして僕じゃないの?姫様の隣は僕のでしょ?
姫様は僕のでしょ?
なのにどうして?ねぇ、どうして姫様は僕から離れてくの?」
「な、何を…言ってるんですか…?
私は…誰のモノでもありません…っ」
コワイ…コワイ…
セッカさんは何を言っているのだろうか。
「違うよ。姫様はずっと昔から僕だけのモノだよ。
姫様だってずっとずっと僕が好きって言ってくれてたでしょ?
離れていたのは、姫様が会えないからこそ愛が深まるんだって言ったんじゃないか。
だから、僕は姫様が帰ってくるのずっと…ずぅっと待ってたのに…どうして?どうして!僕の場所だったのに!
姫様の隣は!僕の場所だったのに!!」
「いっ!?
離れて下さい!私は…っ誰のモノにもなりません!
私はっ!モノじゃないんです!
心があり意思があります…私はっ!人形じゃないんです!」
グッとセッカさんの胸を押し距離を取る。
「お気持ちは嬉しいです。
そこまで好かれてるなんて知らずにこれまで傷つけた事があったかもしれません。
私は…セッカさんの気持ちに答えられません。ごめんなさい。
…私…二人を探しますね。」
ツーっと涙を流しかたまっているセッカさんから離れて二人を探すべく一歩を踏み出した
「え…?」
「…手に入らないなら…永遠に僕の手の中に。」
胸に痛みを感じ振り向けば
そこにはあの人と似た笑顔をするセッカさんがいた。
でも、何処か…違う気がするのは気のせいなのかな…
「ゲホッ…ハァッ…ハァッ…な…に…これ…」
私の体から突き出たセッカさんの手。
その手に握られた心臓はドクドク蠢いていた。
これは誰の心臓?
「大丈夫。すぐに楽になるよ。
これで…これで永遠に僕の…モノ…だよね…?」
体から力が抜け私は前に倒れる
「姫様!!!!!」
あぁ、そんな顔をしないでほしい。
ごめんなさい。私が居たから、私が…居場所を求めたから…こんなにも傷つけてしまった?
「姫様っ!大丈夫だからっ
大丈夫だから…っ…お願いだから…俺を置いていかないで…死なないで…姫様っ…」
貴方の泣き顔…私は初めて見た気がする
そんな弱音今まで言わなかったのに…
「何でっ…何でっ…血が止まらないんだよっ!!
お願いだから死ぬなっ!姫様っ!」
私は…私に優しくしてくれた彼に
ずっと見守り助けてくれた彼に…何か少しでも返せただろうか…。
あぁ、私はこんな顔を前にもどこかで見た気がする。
あの人は…今何をして…あの人って誰だろう。
あれ…?私…まだ何か忘れて……
「ーーさん!!!!」
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