24 / 58
第2章 冒険者編 ~シャルモンの街~
討伐をしましょう
しおりを挟む
日が沈んだ小屋の中。
私たちは二人で外の監視をしていた。
私は光魔法で明かりを作り、ロランが監視をしていた。
「なあ、セリー」
そんな時にロランに声を掛けられた私は、どうしたのだろうか?と思いつつ顔を上げる。
ロランの目線は窓の外を向いているが、顔は心配そうな顔をしている。
「息子さんの家で話してから、考え込むことが多くなったが大丈夫か?」
「ん、大丈夫です」
「そうか」
彼は私がこれ以上話さない事に気づいたのだろう。無言で外を見守っている。
話せば良いのかもしれないが、流石に不確定要素だ‥‥どうするべきか、と考えていると
「‥‥おい、来たぞ」
それは急に現れた。
私たちが外に出ると、ワイルドボアが集団で村の畑を囲っている木の柵に向かって走っている。
柵は壊される事を考えて、強固に作ってはいない。すぐに突破されるだろう。
ロランと共に村を背にして並ぶ。そして私は光の魔法を展開する。
「灯」
少し魔力を込めれば、それほど明るくないが畑一帯を照らすことができる。ついでにワイルドボアの目くらましの意味もあった。
そしていち早く魔物を見つけたロランが私に声をかけた。
「セリー!上位種の可能性があるぞ、お前は何体相手できる?」
ロランに言われて一体のワイルドボアに目を凝らす。
通常のワイルドボアであれば、毛並みは茶色、立髪は白色のセリーの身長くらいの大きさである。
だが、今見ているワイルドボアはロランの身長より少し小さいくらいだ。大きさはふた回り以上違っている。
確かに上位種と呼ばれるのも仕方ない。
そんなワイルドボアが10体ほどいるようだった。
「半数は任せてください!」
「わかった!倒して手伝うからなっ、気をつけろ!」
ロランは右へ、私は左へステップを踏む。
ワイルドボアは動いた私たちを認識したのだろう。綺麗に半分づつに別れて、向かってくる。
「さて、久しぶりに会えて嬉しいわ」
と私の気持ちをワクワクさせてくれた彼らに感謝だ。
ワイルドボアの性質は一直線に敵に向かってくることだ。それを利用する。
頭の中に防御魔法の魔法陣を思い浮かべると同時に魔法陣が手の前に現れ、中心に触れる。
すると、ワイルドボアの進行方向10mほど前に防御魔法が展開された。
先頭のワイルドボアが予想通り、防御魔法に頭を打つける。
ぶつかり続けるが、こちらの防御魔法は攻撃力がドラゴン並みと言われている母の攻撃も防ぐ魔法である。よほどのことがない限り、壊れない。
全てのワイルドボアが防御魔法範囲に入ると、ワイルドボアたちを包むかのように防御魔法を張り巡らせ、最終的に出れない檻のようなものになった。
「こちらのワイルドボアの無効化完了」
そこに下級魔法の石の弾丸を打ち込む。
自分の張り巡らせた防御魔法である。私の魔法攻撃は通じるようになっている。
ちらっとロランを見ると、ロランは剣と魔法を使用して大半のワイルドボアを倒していた。
遠距離の敵には風魔法を使い、近距離に入り込んできた敵は剣で切り落とす。
魔法詠唱を省略せず、必ず唱えているところを見ると、本当に得意なのは剣技だとわかる。
最後の一体を剣で倒し終えたところで、こちらを見たロランがギョッとする。
「おい、これは‥‥?」
「防御魔法です」
先頭のワイルドボアは後ろから押されたからか、頭から血を流して息絶えていた。
防御魔法にもワイルドボアの血と思われる赤い液体がべっとりとついている。
ごそごそとしている。まだ生き残りがいるようだ。
「2体残っていたか‥‥セリー、あいつらも倒そう」
「分かりました」
2体とも倒したあと、防御魔法を解除する。
すると後ろから数体のワイルドボアがこちらに向かっているのが見えた。第二部隊か。
「セリー、土の下級魔法でいけるか?」
「はい、勿論」
3体ほど石の弾丸で倒すと、残ったワイルドボアは戦意を喪失したのか反対へ逃げていく。
と同時にロランから声がかけられた。
「ちなみにセリーは追跡魔法使えるか?」
「‥‥使えますが、今回は風魔法を使用した追跡魔法がいいかもしれません」
訓練場の時に教えて貰ったから使えるはずだ。
ロランは私の発言に一瞬言葉を失ったが、すぐに答えてくれた。
「分かった、俺の風魔法を使おう」
小声で詠唱を始めるロランから離れたあと、防音魔法の状況の確認しておく。
ロランが近くに来た時に掛けておいたものだ。それが終わるとロランの詠唱が完成するのを待った。
と言っても、私が顔を戻した瞬間終わっていたようだが。
すると先ほど私たちがいた小屋の影から、すっと人影が村へ走っていくように見えた。気のせいだろう。
ワイルドボアの襲撃は以上だったようだ。見張りの村人が光に気づき、村長さんと息子さんを呼んできてくれたようである。私たちはワイルドボアの襲撃状況を彼らに話した後、解散する。
村では明日の朝以降に状況の整理と被害確認が行われる。倒したワイルドボアはすぐさま村に運ばれ、解体される事になった。
「セリー、寝るか?」
私たちはもう村内にある宿屋に戻ってきていた。昼食の時についでにロランが予約してくれたのだ。
先ほどから黙っている私に気を使ってくれたのか、先に私を部屋まで連れてきてくれた‥‥と思いきや、隣がロランの部屋らしい。
「‥‥ロランの部屋に防御魔法を部屋に張らせてもらえますか?」
「俺の部屋?いいけど‥‥」
「失礼します」
ロランがロランが慌てて私を外に出そうとするが、「魔法を張るため」と言うとロランは黙った。
静かになったロランを横目で見ながら、私は2つの魔法陣を展開した。ロランが、驚いているようだけれど気にしない。
魔法を張り終えると、ロランが近づいてくる。
「セリー、防御魔法と防音魔法を掛けて何があった?」
「それは今から話します」
そう答えて、私はドアの近くにある机の椅子に腰をかけた。
私たちは二人で外の監視をしていた。
私は光魔法で明かりを作り、ロランが監視をしていた。
「なあ、セリー」
そんな時にロランに声を掛けられた私は、どうしたのだろうか?と思いつつ顔を上げる。
ロランの目線は窓の外を向いているが、顔は心配そうな顔をしている。
「息子さんの家で話してから、考え込むことが多くなったが大丈夫か?」
「ん、大丈夫です」
「そうか」
彼は私がこれ以上話さない事に気づいたのだろう。無言で外を見守っている。
話せば良いのかもしれないが、流石に不確定要素だ‥‥どうするべきか、と考えていると
「‥‥おい、来たぞ」
それは急に現れた。
私たちが外に出ると、ワイルドボアが集団で村の畑を囲っている木の柵に向かって走っている。
柵は壊される事を考えて、強固に作ってはいない。すぐに突破されるだろう。
ロランと共に村を背にして並ぶ。そして私は光の魔法を展開する。
「灯」
少し魔力を込めれば、それほど明るくないが畑一帯を照らすことができる。ついでにワイルドボアの目くらましの意味もあった。
そしていち早く魔物を見つけたロランが私に声をかけた。
「セリー!上位種の可能性があるぞ、お前は何体相手できる?」
ロランに言われて一体のワイルドボアに目を凝らす。
通常のワイルドボアであれば、毛並みは茶色、立髪は白色のセリーの身長くらいの大きさである。
だが、今見ているワイルドボアはロランの身長より少し小さいくらいだ。大きさはふた回り以上違っている。
確かに上位種と呼ばれるのも仕方ない。
そんなワイルドボアが10体ほどいるようだった。
「半数は任せてください!」
「わかった!倒して手伝うからなっ、気をつけろ!」
ロランは右へ、私は左へステップを踏む。
ワイルドボアは動いた私たちを認識したのだろう。綺麗に半分づつに別れて、向かってくる。
「さて、久しぶりに会えて嬉しいわ」
と私の気持ちをワクワクさせてくれた彼らに感謝だ。
ワイルドボアの性質は一直線に敵に向かってくることだ。それを利用する。
頭の中に防御魔法の魔法陣を思い浮かべると同時に魔法陣が手の前に現れ、中心に触れる。
すると、ワイルドボアの進行方向10mほど前に防御魔法が展開された。
先頭のワイルドボアが予想通り、防御魔法に頭を打つける。
ぶつかり続けるが、こちらの防御魔法は攻撃力がドラゴン並みと言われている母の攻撃も防ぐ魔法である。よほどのことがない限り、壊れない。
全てのワイルドボアが防御魔法範囲に入ると、ワイルドボアたちを包むかのように防御魔法を張り巡らせ、最終的に出れない檻のようなものになった。
「こちらのワイルドボアの無効化完了」
そこに下級魔法の石の弾丸を打ち込む。
自分の張り巡らせた防御魔法である。私の魔法攻撃は通じるようになっている。
ちらっとロランを見ると、ロランは剣と魔法を使用して大半のワイルドボアを倒していた。
遠距離の敵には風魔法を使い、近距離に入り込んできた敵は剣で切り落とす。
魔法詠唱を省略せず、必ず唱えているところを見ると、本当に得意なのは剣技だとわかる。
最後の一体を剣で倒し終えたところで、こちらを見たロランがギョッとする。
「おい、これは‥‥?」
「防御魔法です」
先頭のワイルドボアは後ろから押されたからか、頭から血を流して息絶えていた。
防御魔法にもワイルドボアの血と思われる赤い液体がべっとりとついている。
ごそごそとしている。まだ生き残りがいるようだ。
「2体残っていたか‥‥セリー、あいつらも倒そう」
「分かりました」
2体とも倒したあと、防御魔法を解除する。
すると後ろから数体のワイルドボアがこちらに向かっているのが見えた。第二部隊か。
「セリー、土の下級魔法でいけるか?」
「はい、勿論」
3体ほど石の弾丸で倒すと、残ったワイルドボアは戦意を喪失したのか反対へ逃げていく。
と同時にロランから声がかけられた。
「ちなみにセリーは追跡魔法使えるか?」
「‥‥使えますが、今回は風魔法を使用した追跡魔法がいいかもしれません」
訓練場の時に教えて貰ったから使えるはずだ。
ロランは私の発言に一瞬言葉を失ったが、すぐに答えてくれた。
「分かった、俺の風魔法を使おう」
小声で詠唱を始めるロランから離れたあと、防音魔法の状況の確認しておく。
ロランが近くに来た時に掛けておいたものだ。それが終わるとロランの詠唱が完成するのを待った。
と言っても、私が顔を戻した瞬間終わっていたようだが。
すると先ほど私たちがいた小屋の影から、すっと人影が村へ走っていくように見えた。気のせいだろう。
ワイルドボアの襲撃は以上だったようだ。見張りの村人が光に気づき、村長さんと息子さんを呼んできてくれたようである。私たちはワイルドボアの襲撃状況を彼らに話した後、解散する。
村では明日の朝以降に状況の整理と被害確認が行われる。倒したワイルドボアはすぐさま村に運ばれ、解体される事になった。
「セリー、寝るか?」
私たちはもう村内にある宿屋に戻ってきていた。昼食の時についでにロランが予約してくれたのだ。
先ほどから黙っている私に気を使ってくれたのか、先に私を部屋まで連れてきてくれた‥‥と思いきや、隣がロランの部屋らしい。
「‥‥ロランの部屋に防御魔法を部屋に張らせてもらえますか?」
「俺の部屋?いいけど‥‥」
「失礼します」
ロランがロランが慌てて私を外に出そうとするが、「魔法を張るため」と言うとロランは黙った。
静かになったロランを横目で見ながら、私は2つの魔法陣を展開した。ロランが、驚いているようだけれど気にしない。
魔法を張り終えると、ロランが近づいてくる。
「セリー、防御魔法と防音魔法を掛けて何があった?」
「それは今から話します」
そう答えて、私はドアの近くにある机の椅子に腰をかけた。
0
お気に入りに追加
1,388
あなたにおすすめの小説
仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
運命の番?棄てたのは貴方です
ひよこ1号
恋愛
竜人族の侯爵令嬢エデュラには愛する番が居た。二人は幼い頃に出会い、婚約していたが、番である第一王子エリンギルは、新たに番と名乗り出たリリアーデと婚約する。邪魔になったエデュラとの婚約を解消し、番を引き裂いた大罪人として追放するが……。一方で幼い頃に出会った侯爵令嬢を忘れられない帝国の皇子は、男爵令息と身分を偽り竜人国へと留学していた。
番との運命の出会いと別離の物語。番でない人々の貫く愛。
※自己設定満載ですので気を付けてください。
※性描写はないですが、一線を越える個所もあります
※多少の残酷表現あります。
以上2点からセルフレイティング
【完結】愛も信頼も壊れて消えた
miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」
王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。
無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。
だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。
婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。
私は彼の事が好きだった。
優しい人だと思っていた。
だけど───。
彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。
※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
お飾り王妃の受難〜陛下からの溺愛?!ちょっと意味がわからないのですが〜
湊未来
恋愛
王に見捨てられた王妃。それが、貴族社会の認識だった。
二脚並べられた玉座に座る王と王妃は、微笑み合う事も、会話を交わす事もなければ、目を合わす事すらしない。そんな二人の様子に王妃ティアナは、いつしか『お飾り王妃』と呼ばれるようになっていた。
そんな中、暗躍する貴族達。彼らの行動は徐々にエスカレートして行き、王妃が参加する夜会であろうとお構いなしに娘を王に、けしかける。
王の周りに沢山の美しい蝶が群がる様子を見つめ、ティアナは考えていた。
『よっしゃ‼︎ お飾り王妃なら、何したって良いわよね。だって、私の存在は空気みたいなものだから………』
1年後……
王宮で働く侍女達の間で囁かれるある噂。
『王妃の間には恋のキューピッドがいる』
王妃付き侍女の間に届けられる大量の手紙を前に侍女頭は頭を抱えていた。
「ティアナ様!この手紙の山どうするんですか⁈ 流石に、さばききれませんよ‼︎」
「まぁまぁ。そんなに怒らないの。皆様、色々とお悩みがあるようだし、昔も今も恋愛事は有益な情報を得る糧よ。あと、ここでは王妃ティアナではなく新人侍女ティナでしょ」
……あら?
この筆跡、陛下のものではなくって?
まさかね……
一通の手紙から始まる恋物語。いや、違う……
お飾り王妃による無自覚プチざまぁが始まる。
愛しい王妃を前にすると無口になってしまう王と、お飾り王妃と勘違いしたティアナのすれ違いラブコメディ&ミステリー
懐妊を告げずに家を出ます。最愛のあなた、どうかお幸せに。
梅雨の人
恋愛
最愛の夫、ブラッド。
あなたと共に、人生が終わるその時まで互いに慈しみ、愛情に溢れる時を過ごしていけると信じていた。
その時までは。
どうか、幸せになってね。
愛しい人。
さようなら。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる