31 / 125
2章 お茶会
22 心機一転
しおりを挟む
皆さんからの要望に公平に答える為に結局、ジェシカ様、ベアトリック様、アレンビー様、ルークレツィア様をそれぞれ名前の最後に嬢と付けて呼ぶ事でどうにか納得していただきました。
私としては本来皆様をそんなに気安くお呼びするだなんて心苦しい思いでしかないんですが、ジェシカ様だけ特別にそう呼ぶ訳にはいきませんし、なにより皆様からのお願いをお断りするだなんて失礼極まる真似もやはり私には出来ません。だからと言って呼び捨てにするのはさすがに無理なので、差し出がましいですがどうにか嬢をお付けする事で折り合いをつけていただいたのです……。
そもそも、なんで皆様急に呼び捨てにしてくれなんて言い出したのでしょう? そんな需要があるだなんて思いもしなかったので、まさかのお願いに寿命が縮まる思いでした。
でも、よく考えてみたら私ってアンナに同じような事してるんですよね……。見習いメイドである彼女に友達のように接して困らせている。
アンナも普段こんな気持ちなのかな……。
私としては全然悪気はなく、メイドとか主人とか関係なくただ仲良くしようって事しか考えていないのですけれど、それでアンナが嫌な思いをしているようなら考えを改めなくてはいけませんね。
呼び捨てにしてくれ、なんて無茶なお願いをされて困ってしまいましたが、でもそのおかげでアンナの気持ちが理解できたのだから結果的には良かったのかもしれません。
実際に体験してみないと分からない事ってやっぱりたくさんあるんですね。私もまだまだ勉強不足なようです。最近少しお勉強サボりがちでしたし、明日から気合いを入れなおして頑張りましょう。
でも、そうなると。やっぱりアシュトレイ様に知らず知らずのうちに大変な失礼を何度も重ねてしまっていたというのは間違いないみたいですね。
何も知らなくて、何も気付いていない。
私はその当然の報いを受けただけなのに。
悪いのは全部、私なのに。
心当たりがないからと、たとえ一瞬でもあろうことかアシュトレイ様に疑いをかけてしまった。
無知なるゆえの、まさかの被害者面。
本当に私って馬鹿ですよね。
だいたい、このお茶会のお誘いの時だってそうです。せっかくベアトリック様が私なんかを心配してくださってお声をかけて頂いたのに、私ときたら変な事ばかり考えていらぬ心配ばかりして結局は杞憂に終わるんですから。
そんな皆様の温かいお気持ちを無下にしています。
落ち着いたら。もう少し時間が経って色々と落ち着いたら、アシュトレイ様にお会いして謝罪しましょう。会っては貰えないかもしれませんが、当然、許して貰えるとも思えませんがどうにか私の気持ちをお伝えてして分かって頂きましょう。
それが私に出来る唯一の事で、私の責任ですから。
「それで、ローレライ。どうするの? アシュトレイ卿に仕返しでもする?」
ベアトリック様は不敵な笑みを浮かべて言います。
「いえ。私、分かったんです」
「分かったって……まさか、婚約破棄の原因が⁉︎」
「はい。あ、いえ、正直に言うと正確には分かってはいないんですけど、自分自身の無知な様や馬鹿さ加減が身に染みて分かって、そう考えるときっと色んな事を気付かない内にやってしまっていて周りの人達にさんざん迷惑を掛けていたんだなって……それでお優しいアシュトレイ様にもさすがに愛想つかされてしまったのかなって……」
「ローレライ……」
「だから私、これから自分自身のそういった未熟な部分を見つめ直して誰にもご迷惑をお掛けしなくてすむようになるまでお勉強する事にします。今日は本当に来て良かったです。あのままひとりで考え込んでても答えは出なかったと思いますし、問題自体から視線を逸らして逃げていたと思いますから。だから、ありがとうございます。ベアトリックさーーーーベアトリック嬢……それに、皆様も……感謝しています」
私は心機一転、前に進む決意をしました。
私としては本来皆様をそんなに気安くお呼びするだなんて心苦しい思いでしかないんですが、ジェシカ様だけ特別にそう呼ぶ訳にはいきませんし、なにより皆様からのお願いをお断りするだなんて失礼極まる真似もやはり私には出来ません。だからと言って呼び捨てにするのはさすがに無理なので、差し出がましいですがどうにか嬢をお付けする事で折り合いをつけていただいたのです……。
そもそも、なんで皆様急に呼び捨てにしてくれなんて言い出したのでしょう? そんな需要があるだなんて思いもしなかったので、まさかのお願いに寿命が縮まる思いでした。
でも、よく考えてみたら私ってアンナに同じような事してるんですよね……。見習いメイドである彼女に友達のように接して困らせている。
アンナも普段こんな気持ちなのかな……。
私としては全然悪気はなく、メイドとか主人とか関係なくただ仲良くしようって事しか考えていないのですけれど、それでアンナが嫌な思いをしているようなら考えを改めなくてはいけませんね。
呼び捨てにしてくれ、なんて無茶なお願いをされて困ってしまいましたが、でもそのおかげでアンナの気持ちが理解できたのだから結果的には良かったのかもしれません。
実際に体験してみないと分からない事ってやっぱりたくさんあるんですね。私もまだまだ勉強不足なようです。最近少しお勉強サボりがちでしたし、明日から気合いを入れなおして頑張りましょう。
でも、そうなると。やっぱりアシュトレイ様に知らず知らずのうちに大変な失礼を何度も重ねてしまっていたというのは間違いないみたいですね。
何も知らなくて、何も気付いていない。
私はその当然の報いを受けただけなのに。
悪いのは全部、私なのに。
心当たりがないからと、たとえ一瞬でもあろうことかアシュトレイ様に疑いをかけてしまった。
無知なるゆえの、まさかの被害者面。
本当に私って馬鹿ですよね。
だいたい、このお茶会のお誘いの時だってそうです。せっかくベアトリック様が私なんかを心配してくださってお声をかけて頂いたのに、私ときたら変な事ばかり考えていらぬ心配ばかりして結局は杞憂に終わるんですから。
そんな皆様の温かいお気持ちを無下にしています。
落ち着いたら。もう少し時間が経って色々と落ち着いたら、アシュトレイ様にお会いして謝罪しましょう。会っては貰えないかもしれませんが、当然、許して貰えるとも思えませんがどうにか私の気持ちをお伝えてして分かって頂きましょう。
それが私に出来る唯一の事で、私の責任ですから。
「それで、ローレライ。どうするの? アシュトレイ卿に仕返しでもする?」
ベアトリック様は不敵な笑みを浮かべて言います。
「いえ。私、分かったんです」
「分かったって……まさか、婚約破棄の原因が⁉︎」
「はい。あ、いえ、正直に言うと正確には分かってはいないんですけど、自分自身の無知な様や馬鹿さ加減が身に染みて分かって、そう考えるときっと色んな事を気付かない内にやってしまっていて周りの人達にさんざん迷惑を掛けていたんだなって……それでお優しいアシュトレイ様にもさすがに愛想つかされてしまったのかなって……」
「ローレライ……」
「だから私、これから自分自身のそういった未熟な部分を見つめ直して誰にもご迷惑をお掛けしなくてすむようになるまでお勉強する事にします。今日は本当に来て良かったです。あのままひとりで考え込んでても答えは出なかったと思いますし、問題自体から視線を逸らして逃げていたと思いますから。だから、ありがとうございます。ベアトリックさーーーーベアトリック嬢……それに、皆様も……感謝しています」
私は心機一転、前に進む決意をしました。
0
お気に入りに追加
132
あなたにおすすめの小説
幸せの大樹
高崎司
恋愛
恋愛に興味のない少年、鳴沢海斗。
ある日の放課後、偶然告白現場を覗いてしまう。
そこにいたのは、学園一の美少女と言われる先輩で──。
出会いは最悪でもそこから始まる何かがあるかもしれない。
そんな青春ラブコメディーの予定です!
お姉様のお下がりはもう結構です。
ぽんぽこ@書籍発売中!!
恋愛
侯爵令嬢であるシャーロットには、双子の姉がいた。
慎ましやかなシャーロットとは違い、姉のアンジェリカは気に入ったモノは手に入れないと気が済まない強欲な性格の持ち主。気に入った男は家に囲い込み、毎日のように遊び呆けていた。
「王子と婚約したし、飼っていた男たちはもう要らないわ。だからシャーロットに譲ってあげる」
ある日シャーロットは、姉が屋敷で囲っていた四人の男たちを預かることになってしまう。
幼い頃から姉のお下がりをばかり受け取っていたシャーロットも、今回ばかりは怒りをあらわにする。
「お姉様、これはあんまりです!」
「これからわたくしは殿下の妻になるのよ? お古相手に構ってなんかいられないわよ」
ただでさえ今の侯爵家は経営難で家計は火の車。当主である父は姉を溺愛していて話を聞かず、シャーロットの味方になってくれる人間はいない。
しかも譲られた男たちの中にはシャーロットが一目惚れした人物もいて……。
「お前には従うが、心まで許すつもりはない」
しかしその人物であるリオンは家族を人質に取られ、侯爵家の一員であるシャーロットに激しい嫌悪感を示す。
だが姉とは正反対に真面目な彼女の生き方を見て、リオンの態度は次第に軟化していき……?
表紙:ノーコピーライトガール様より
【完結】愛を知らない傾国の魔女は、黒銀の騎士から無自覚に愛着されて幸せです
入魚ひえん
恋愛
【一言あらすじ】
不遇でも健気な前向き魔女と、塩対応なのに懐かれてしまい無自覚に絆されていく生真面目騎士の愛着ラブコメ!
【いつものあらすじ】
エレファナは誰もが恐れるほどの魔力を持つ、ドルフ帝国に仕えるためだけに生まれてきた魔女だった。
皇帝の命で皇太子と『婚約の枷』と呼ばれる拘束魔導を結ばされていたが、皇太子から突然の婚約破棄を受けてしまう。
失意の中、命を落としかけていた精霊を守ろうと逃げ込んだ塔に結界を張って立てこもり、長い長い間眠っていたが、その間に身体は痩せ細り衰弱していた。
次に目を覚ますと、そこには黒髪と銀の瞳を持つ美形騎士セルディが剣の柄を握り、こちらを睨んでいる。
そして彼の指には自分と同じ『婚約の枷』があった。
「あの、変なことを聞きますが。あなたの指に施された魔導の枷は私と同じように見えます。私が寝ている間に二百年も経っているそうですが……もしかしてあなたは、私の新たな婚約者なのでしょうか。さすがに違うと思うのですが」
「ああ違う。枷は本物で、形式上は夫となっている」
「夫!?」
皇太子との婚約破棄から、憧れていた『誰かと家族になること』を一度諦めていたエレファナは、夫と名乗るセルディの姿を一目見ただけですぐ懐く。
「君を愛することはない」とまで言ったセルディも、前向き過ぎる好意を向けられて戸惑っていたが、エレファナに接する様子は無自覚ながらも周囲が驚くほどの溺愛ぶりへと変化していく。
「私はセルディさまに言われた通り、よく飲んでたくさん食べて早めに寝ます。困ったことがあったらお話しします!」
(あ。気のせいでしょうか、少し笑ってくれたように見えます)
こうしてエレファナはセルディや周囲の人の愛情あふれるお手伝いをしていきながら、健やかさと美しさ、そして魔力を取り戻しはじめる。
***
閲覧ありがとうございます、完結しました!
コメディとシリアス混在のゆる設定。
相変わらずですが、お気軽にどうぞ。
若き天才国王の苦悩
べちてん
ファンタジー
大陸の半分近くを支配するアインガルド王国、そんな大国に新たな国王が誕生した。名はレイフォース・アインガルド、齢14歳にして低、中、上、王、神級とある中の神級魔術を操る者。
国内外問わず人気の高い彼の王位継承に反対する者等存在しなかった。
……本人以外は。
継がないと公言していたはずの王位、問題だらけのこの世界はどうなっていくのだろうか。
王位継承?冗談じゃない。国王なんて面倒なことをなぜ僕がやらないといけないんだ!!
私の二度目の人生は幸せです
あ・まん@田中子樹
恋愛
東雲詩乃は付き合っているはずの彼氏に散々ひどい目に遭わされた。
会社の金を横領し、詩乃の預金をすべて引き出した男は捨て台詞を吐いて、乙女ゲーとまったく同じ異世界に上級悪役貴族として転移した。
詩乃は底辺の貴族令嬢シリカ・ランバートとして、男に復讐しつつ幸せになる。
【続編あり】恋の魔法にかかったら~不器用女神と一途な従士~
花乃 なたね
恋愛
若くして国を支える大魔術師であり、「女神」とも称される美貌の才女セシーリャは、表向きは冷静沈着だが、実は小心者で魔術以外のことには不器用。そのことを周りに悟られぬよう、一人で暮らす彼女のもとに、ひょんなことから出会った青年、ディオンが「あなたの元で働きたい」と押しかけてくる。彼の勢いに押され頷いてしまったセシーリャ。家事もサポートも完璧なディオンとの共同生活の中、彼女は女神の威厳を守れるのか…。 有能だけどちょっぴりポンコツな女魔術師と、ちょっと訳ありだけど一途なスパダリ紳士の恋のお話
2021/9/25 続編を公開致しました。本ページの最終話~おまけの間に起きたお話です。
作者の登録コンテンツからとべますので良ければこちらもお楽しみください。
婚約破棄をされて魔導図書館の運営からも外されたのに今さら私が協力すると思っているんですか?絶対に協力なんてしませんよ!
しまうま弁当
恋愛
ユーゲルス公爵家の跡取りベルタスとの婚約していたメルティだったが、婚約者のベルタスから突然の婚約破棄を突き付けられたのだった。しかもベルタスと一緒に現れた同級生のミーシャに正妻の座に加えて魔導司書の座まで奪われてしまう。罵声を浴びせられ罪まで擦り付けられたメルティは婚約破棄を受け入れ公爵家を去る事にしたのでした。メルティがいなくなって大喜びしていたベルタスとミーシャであったが魔導図書館の設立をしなければならなくなり、それに伴いどんどん歯車が狂っていく。ベルタスとミーシャはメルティがいなくなったツケをドンドン支払わなければならなくなるのでした。
とある虐げられた侯爵令嬢の華麗なる後ろ楯~拾い人したら溺愛された件
紅位碧子 kurenaiaoko
恋愛
侯爵令嬢リリアーヌは、10歳で母が他界し、その後義母と義妹に虐げられ、
屋敷ではメイド仕事をして過ごす日々。
そんな中で、このままでは一生虐げられたままだと思い、一念発起。
母の遺言を受け、自分で自分を幸せにするために行動を起こすことに。
そんな中、偶然訳ありの男性を拾ってしまう。
しかし、その男性がリリアーヌの未来を作る救世主でーーーー。
メイド仕事の傍らで隠れて淑女教育を完璧に終了させ、語学、経営、経済を学び、
財産を築くために屋敷のメイド姿で見聞きした貴族社会のことを小説に書いて出版し、それが大ヒット御礼!
学んだことを生かし、商会を設立。
孤児院から人材を引き取り育成もスタート。
出版部門、観劇部門、版権部門、商品部門など次々と商いを展開。
そこに隣国の王子も参戦してきて?!
本作品は虐げられた環境の中でも懸命に前を向いて頑張る
とある侯爵令嬢が幸せを掴むまでの溺愛×サクセスストーリーです♡
*誤字脱字多数あるかと思います。
*初心者につき表現稚拙ですので温かく見守ってくださいませ
*ゆるふわ設定です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる