1 / 18
空
空話 1
しおりを挟む
空。
それはカナにとって自由の象徴だった。
どこまでも大きく、どこまでも広く、視界を遮るものなど存在せず、自分を邪魔するもののない全てが思いのままに出来る自由な場所。
そんな空がとても心地よくて、なによりも一番大好きだった。
基地のみんなが教えてくれる空に関する知識は寝るのも忘れて夢中で勉強したし、操縦のテクニックや、機体の機能なども全て完璧に覚えてやってのけた。
運動は苦手な方だったが、体力作りのトレーニングにも真剣に取り組んで、同年代の一般的な子供では到底手に入れられないような身体能力だって手に入れた。
そんな過酷な訓練の続く毎日はやはり辛い事も多かったけれど、空を飛ぶために必要な事だと思えばなんとか頑張れた。
それでも、あまりに辛い訓練で心が折れそうになった時には自分と同い年の4人の仲間達が励まし、支えてくれたおかげで途中で折れたりせずに最後までやり遂げる事が出来た。
辛くも厳しい毎日だったが大好きな空が、大切な仲間達がいたからなんとかやってこられた。
だが、
カナが10歳になる頃には訓練は更に激しさを増し、もう飛びたくないと訴えるカナの主張は聞き入れて貰えず、時には暴力を振るわれて強制的に飛ぶ事を余儀なくされた。
時に血を流し、時に涙を流しながら毎日の訓練に取り組んだ。
自由を奪われ不自由をしいられた。
そんな極限とも言える毎日を送るうちに、カナの空に対する思いは次第に変化していく。
大好きだった自由な空は跡形もなく消え去り、いつしか空は自分を縛り付ける場所でしかなくなっていた。
そんな空に音も気配もなく突如として現れた正体不明。
まばゆい光を放ち、空を超高速で飛び回りカナ達に襲いかかる。
カナ達は必死に逃げたが一人の仲間が撃ち落とされた。
初めて奴等と遭遇したあの日から2年。
幾度となく戦った。
そして先月、カナが14歳になった6月24日。
梅雨時期には珍しい雲ひとつない晴天の空の中、カナにとって最後の仲間だった親友のエリが地に落とされ、カナはついに一人ぼっちになった。
大好きだった青空を黒く塗り潰された、そんな気分だった。
それはカナにとって自由の象徴だった。
どこまでも大きく、どこまでも広く、視界を遮るものなど存在せず、自分を邪魔するもののない全てが思いのままに出来る自由な場所。
そんな空がとても心地よくて、なによりも一番大好きだった。
基地のみんなが教えてくれる空に関する知識は寝るのも忘れて夢中で勉強したし、操縦のテクニックや、機体の機能なども全て完璧に覚えてやってのけた。
運動は苦手な方だったが、体力作りのトレーニングにも真剣に取り組んで、同年代の一般的な子供では到底手に入れられないような身体能力だって手に入れた。
そんな過酷な訓練の続く毎日はやはり辛い事も多かったけれど、空を飛ぶために必要な事だと思えばなんとか頑張れた。
それでも、あまりに辛い訓練で心が折れそうになった時には自分と同い年の4人の仲間達が励まし、支えてくれたおかげで途中で折れたりせずに最後までやり遂げる事が出来た。
辛くも厳しい毎日だったが大好きな空が、大切な仲間達がいたからなんとかやってこられた。
だが、
カナが10歳になる頃には訓練は更に激しさを増し、もう飛びたくないと訴えるカナの主張は聞き入れて貰えず、時には暴力を振るわれて強制的に飛ぶ事を余儀なくされた。
時に血を流し、時に涙を流しながら毎日の訓練に取り組んだ。
自由を奪われ不自由をしいられた。
そんな極限とも言える毎日を送るうちに、カナの空に対する思いは次第に変化していく。
大好きだった自由な空は跡形もなく消え去り、いつしか空は自分を縛り付ける場所でしかなくなっていた。
そんな空に音も気配もなく突如として現れた正体不明。
まばゆい光を放ち、空を超高速で飛び回りカナ達に襲いかかる。
カナ達は必死に逃げたが一人の仲間が撃ち落とされた。
初めて奴等と遭遇したあの日から2年。
幾度となく戦った。
そして先月、カナが14歳になった6月24日。
梅雨時期には珍しい雲ひとつない晴天の空の中、カナにとって最後の仲間だった親友のエリが地に落とされ、カナはついに一人ぼっちになった。
大好きだった青空を黒く塗り潰された、そんな気分だった。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
愛することをやめたら、怒る必要もなくなりました。今さら私を愛する振りなんて、していただかなくても大丈夫です。
石河 翠
恋愛
貴族令嬢でありながら、家族に虐げられて育ったアイビー。彼女は社交界でも人気者の恋多き侯爵エリックに望まれて、彼の妻となった。
ひとなみに愛される生活を夢見たものの、彼が欲していたのは、夫に従順で、家の中を取り仕切る女主人のみ。先妻の子どもと仲良くできない彼女をエリックは疎み、なじる。
それでもエリックを愛し、結婚生活にしがみついていたアイビーだが、彼の子どもに言われたたった一言で心が折れてしまう。ところが、愛することを止めてしまえばその生活は以前よりも穏やかで心地いいものになっていて……。
愛することをやめた途端に愛を囁くようになったヒーローと、その愛をやんわりと拒むヒロインのお話。
この作品は他サイトにも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID 179331)をお借りしております。
政略結婚の約束すら守ってもらえませんでした。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
「すまない、やっぱり君の事は抱けない」初夜のベットの中で、恋焦がれた初恋の人にそう言われてしまいました。私の心は砕け散ってしまいました。初恋の人が妹を愛していると知った時、妹が死んでしまって、政略結婚でいいから結婚して欲しいと言われた時、そして今。三度もの痛手に私の心は耐えられませんでした。
懐妊を告げずに家を出ます。最愛のあなた、どうかお幸せに。
梅雨の人
恋愛
最愛の夫、ブラッド。
あなたと共に、人生が終わるその時まで互いに慈しみ、愛情に溢れる時を過ごしていけると信じていた。
その時までは。
どうか、幸せになってね。
愛しい人。
さようなら。
【完結】もう辛い片想いは卒業して結婚相手を探そうと思います
ユユ
恋愛
大家族で大富豪の伯爵家に産まれた令嬢には
好きな人がいた。
彼からすれば誰にでも向ける微笑みだったが
令嬢はそれで恋に落ちてしまった。
だけど彼は私を利用するだけで
振り向いてはくれない。
ある日、薬の過剰摂取をして
彼から離れようとした令嬢の話。
* 完結保証付き
* 3万文字未満
* 暇つぶしにご利用下さい
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる