ごめん、もう食べちゃった

埴輪

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はち

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 実際に秋はずっとずっと興奮していた。
 昂り、一度射精し、少し冷静になれたかと思えば、また更に頭と下半身に血が昇る。
 今の秋の目には初めて見る生の女性器、それも憧れであり好きで好きで仕方がない苑子の性器しか見えていなかった。
 スカートを捲り上げ、ショーツを片脚の足首まで引き下げた苑子の下半身はとても淫靡でとにかく厭らしい。
 苑子の言葉通り、薄い陰毛に包まれたそこはほんのりと濡れている。
 その証拠に愛液が一筋、苑子の太ももの内側を伝っていくのだ。
 垂れた粘液を瞬きせずに追い、そして再び苑子の濡れた陰毛の更に奥を秋は凝視する。

(あの中に…… 俺のが、はいる)

 自身の性器が、苑子の性器の中に入り、一つになる。
 保健体育やネット、従兄や男友達とごく普通の会話として猥談をし、そういった雑誌や動画を見聞きしてきた。
 当然のように、セックスの仕組みは知っている。

 知っている、と思っていた。

(……やべぇ)

 俺、今日死ぬかも。

 と、秋は本気でそう思った。
 むしろ今日死にたい。
 苑子と一緒に。

 その思いのまま、秋は苑子の中に入った。





「ぁっ、あんっ んっ」
「はぁっ、はあっ、せ、んぱぃ……ッ」

 ギシギシとベッドが軋み、シーツがぐちゃぐちゃに乱れ、ずり落ちていく。
 いつの間にか秋に押し倒される形となった苑子は首筋に鼻を擦りつけられ、犬のように腰を振る秋に翻弄されていた。
 ぺろぺろと唾液を撒き散らしながら無我夢中で顔中を舐めて来る。
 嫌悪感と共に遠慮も技巧も何もなく、ただ馬鹿みたいに腰をスライドして抜き差しだけをしてくる秋に文句を言いたいのに、口から零れるのは悪態でも罵声でもなく、自分でも分かるほど弱弱しく甘えた嬌声だ。
 決して、気持ちがいいものではない。
 むしろ痛くて苦しくて、腹がはち切れそうな気さえする。
 秋の重苦しい身体に押しつぶされ、ぐちゅぐちゅぱんぱんっと派手な音を鳴らしながらひたすら揺さぶられているのだ。
 前の彼氏と別れてから二、三回他の男と寝たが、それでもここの所はご無沙汰だった。
 濡れていた自覚はあっても、やはり久しぶりの挿入は突然のこともあり、一瞬息をするのも忘れるほどの衝撃を苑子の身体と心に与えた。
 突然の侵入に驚いたのか、すんなり入ったにも関わらず苑子のそこは秋の性器を痛いほど締め付けた。
 まるでそれ以上奥に入るのを拒むかのようだ。

「ぅっ、あ、きっつ……」

 秋の顎から苦悶か快楽かも分からない汗が滴り落ちる。
 新陳代謝がいいのか、その全身は汗にまみれていた。
 特に背中の汗がひどく、シャツがはりついて気持ちが悪いほどだ。
 それでも秋は腰の動きを止めず、苑子をベッドの上に縫い付けるようにして身体を重ねる。
 尻だけを浮かして落としてぱこぱこと挿入を繰り返す。
 これが正真正銘秋にとって初めてのセックスだ。
 薄いゴム越しに感じる暖かくてぬめぬめした未知の快感と溜息を吐きたくなるような切ない痛みに、秋は譫言のように苑子の耳元で囁く。

「っぁ、そのこ、せんぱいっ ぁ、き、きもちぃ……?」
「あん、あんっ、んんっっ」

 満足に返事も出来ず、苑子は髪を振り乱しながら、頬を紅潮させて淫らに喘ぐ。
 それが苦痛なのか快楽なのか、秋には判断できなかった。

「あ、ぐ……っ!?」

 だが、無駄に力が強く、そして芯が丈夫らしい秋は苑子の軟な抵抗をものともせずに奥へ奥へと進み、犯していく。
 むしろ、そのいじらしい締め付けに、秋は自分でもぞっとするほどの喜びを抱いた。

「……いい? そのこ、せんぱいっ、ね? きもち、いい……っ?」

 焦燥にも似た、胸を焦がすような掻きむしりたくなるような衝動。
 自分の腕の中で半ば拘束され、逃げ場を無くしてひたすらぐちょぐちょぐちゅぐちゅぱんぱんっと好き勝手されて喘いでいる苑子を見ていると気が狂いそうになる。
 ぎゅうぎゅうっと締めつけ、絡みついて来る肉の襞。
 知識だけはあった膣の感触はまさに未知のそれで、今はまだ快感よりも痛みの方が強い。
 無理矢理押し込めば押し込むほどに、苑子は苦しそうに歯を食いしばり、きつく秋の性器を締め付ける。

「ぁ、すっご……ッ」

 ぐちゅぐちっ

 秋のそれは見た目以上に逞しく、横暴に苑子の中を蹂躙する。
 そして、それと連動するように、痛みの中から微かな快感を貪欲に拾い上げる苑子の身体。
 秋の性器が犯している厭らしい穴が確実に濡れていくのが分かる。

「はっ、あぅっ…… んんっ」

 じーんと痺れるような快感が少しずつ強くなり、やがてそれは苑子の脳みそを麻痺させていった。

ぐちょぅっ ぐちょ、ぐちゅっ

「ぁあー…… はぁっ、はっ、すげぇ、ぐちょ、ぐちょっ……!」

 粘液が擦れる音が少しずつ激しくなる。
 思わず秋の口から感動に近い恍惚のため息が零れた。
 今だかつてない快感に秋は翻弄され、本気でこのまま死んでもいいと思った。
 あまりの幸福感に胸がいっぱいで、破裂しそうなほど苑子への愛情が溢れて止まらない。
 痛みしかなかった挿入がスムーズになり、むしろ滑るように中を突き上げるたびに苑子の口から可愛すぎる嬌声が零れる。
 苑子が自身の侵入を許し、むしろ更に深く迎え入れようとするかのようにその肉壁が秋の性器に纏まりついている、ような気がした。

「せんぱいの、はぁ、はっ…… なか、すげー……! ぬるぬるして、る……ッ!」
「んっ、あんっ、やぁ、もっと、ゆっくり……! はぁぁ、んっ!?」

 堪らずに、秋は苑子を抱き起こした。
 突然変わった視界と、より深くなった挿入に、苑子は必死に秋の広い背中に腕を回し、文句の代わりにシャツ越しに爪を立てた。
 その仕草が気位の高い猫のようで、秋はより苑子に対する愛しさを深める。
 そしてそのまま秋は半ば本能のように深く繋がろうと対面座位の形をとり、ふるふる震える苑子の柔らかい尻を揉んでいく。
 突然胡坐をかいた秋にぎゅっと抱きしめられるようにして苑子は下から性器を押し込まれ、その強引ともとれる行動に悔しいながらも感じている自分に気づいた。
 調子に乗るなとばかりに肩に噛みついても、秋は逆に喜び、隙間を一切無くそうとより密着しようとする。
 自身の体重と秋の強引な力でどんどん深く侵入してくる硬く質量のある男の性器。
 痛みで下半身全体が軋むような、そんな感覚すら抱く。
 腰から足の爪先にかけて感じる鈍い痛みと、直接責め立てられている内部の鋭い痛み。
 腹に感じる圧迫感は苦しいばかりなのに、苑子の身体は確実に潤っていく。

「はっ、はっ…… そのこ、せんぱいの、なか、あついっ あつくて、きもちぃ……っ」
「ふぅ、んっんっ、あっ! あんっ」

 ギシギシとベッドが軋み、そのスプリングに合わせて秋の腰が跳ねて、苑子の尻をわし掴む手の力が強くなる。

 もっと深く、もっと奥に。

 苑子が喘ぐたび、切なげに秋の首に縋り付くたび、堪らない愛しさで秋の頭がパンクしそうになるのだ。

「あんっ! やっ、ぁ、はげしぃ……っ」
「っ…… ふぅっ」

 苑子の膣が蠢き、秋のそれを搾り取ろうとする。
 その具合の良さに頭も心も、もちろん下半身を中心に全てが蕩けてしまったような気がした。
 全身が燃え滾るように熱く、苑子の涙で濡れた睫毛や赤く染まる目元、腫れたような唇、その全てに魅了される。
 目の前で自分の身体にしがみつき、濡れた唇から絶え間なく嬌声を洩らす苑子に秋はもう夢中だった。
 今までも十分夢中だったが、今度はそれ以上であり、今の秋は完全に苑子以外のことが見えなくなっていた。
 むしろ苑子から一瞬でも目を離すことがもったいないと思うぐらいには頭が惚けている状態だ。

(すき、すき、すき)

 本当に、頭が、繋がった下半身が蕩けてしまいそうだ。

 いや、むしろ蕩けてしまいたかった。

「ひゃぅ……ぁっ!?」

 初め秋を拒もうとしていたきつい締め付けが緩み、今はいじらしくも絡みついてくる。
 秋の目の前で苑子の髪が揺れ、汗に混じるシャンプーの匂いやせっけんの匂いが鼻につく。
 ふんふんっとその髪の毛に鼻を突っ込めば、苑子が嫌がる様に首を振る。
 苑子の嫌がることは極力したくないはずなのに、何故か今はその抵抗が可愛らしくて仕方がなくて、抱きしめる力が無意識に強くなる。
 好きだという気持ちが止まらないのだ。
 気持ちが暴走し、制御できない。
 好きすぎて、苑子があまりにも可愛くて、気づけばその唇に自分からキスをしていた。

 ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ

 唇を押し付けるだけのキスだ。
 唇だけではなく、額や瞼、目元や頬、鼻と、秋は好き勝手に苑子の顔中にキスをする。

「ふぁ……」

 擽ったそうに苑子が微かに笑う。
 相変わらずの純情なキスが可笑しかったのかもしれない。
 子供っぽいキスの間も秋の下半身は止まらず、がくがくと苑子は揺さぶられ、剥き出しの胸がぎゅっと柔らかく秋の胸を擽る。
 苑子もまたシャツで乳首が擦れる快感に悶えていた。

「んんっ、はぁっ、あんっ、あ、あ、あっ」

 キスの合間に鼻にかかった苑子の嬌声が秋を刺激する。
 ちゅっ、ちゅっと上唇や下唇に吸い付き、馴れないキスを仕掛けて来る秋に苑子は答えるように縋り付く腕に力を籠めた。
 舌を絡ませる余裕もなく、呼吸を奪うだけのキスが心地良い。

「っ、はぁんっ、あ、きくんっ、っぁ、んっ」
「はぁ、そのこせんぱいっ、せんぱい……」

 好き好き大好きと至近距離で真っ赤に充血した目で秋が苑子に訴えている。
 秋に好き勝手犯されているはずなのに、嫌な気持ちはまったくしなかった。
 むしろ、苑子はもっと激しく突き上げて欲しいとすら思っていた。
 下腹部に埋め込まれた秋の性器が脈打ち、その腰の動きが浅く、そして無意識に速くなる。

「あんっ、あっ、もうっ……っ?」

 苑子の声に戸惑いと、不満が漏れる。
 もうすぐ、秋のそれが達するのが分かったからだ。

「やっ、だぁめぇっ……! っ、う、んっ!」

 いやいやと苑子は弱弱しく首を振るが、当の秋は強すぎる快楽と苑子に夢中でその拒絶の言葉をキスで塞いでくる。

(やっ……! はやいっ)

 苑子の目尻に涙が滲む。
 まだ、絶頂するのは早かった。
 苑子の身体はこれだけじゃ足りないのだ。
 秋だけが気持ち良くなり、苑子だけが疼きを抱えるなんて、そんなの許せないと思った。

 だから苑子も必死に腰を上下に動かした。
 自分の一番感じるところに当たるように腰を落とし、より深くなるように高く上げる。
 片手で秋の性器を掴み、固定して自分から腰を動かす苑子に、秋は涎を垂らしながらも歓喜に震えた。

「っ…… そのこ、せんぱいっ、かわいっ、かわいくてっ、すごっ……! やらしっ……!」

ぐちゃぐちゅぱんぱんっ

 苑子のスカートが秋の股間の上で踊る。
 その下では白い臀部が秋のそこを銜えているのだ。
 肉と肉がぶつかり合う音が部屋に響くほど、二人は今深く繋がっている。

「んんっ、はっ、はぁんっ、んっ、もっと、もっとぉ、お、くっ……! ああんっ! おく、を、あっ! ついてぇ、いっぱい……っ」

 もっと奥を突いて欲しい。
 どろどろに理性が溶かされた厭らしい表情を浮かべながら、苑子が秋に懇願する。

「っ、えっろ……!」

 その痴態を見て、頭の血管が切れそうだと秋は思った。
 苑子があまりにも厭らしい顔で厭らしいことを言うから。

「もう、っぁ、おれ、俺…… い、いきそうっ」
「んあっ、だめぇ……っ はんっ、はぁ、まだぁ、いっひゃっ、やらぁ……っ!」
「せっ、せんぱいっ……!」

 やばい。
 苑子のお願いを聞いてやりたいのに。
 その舌足らずで甘えたような声は明らかに逆効果だ。

 そんな顔で、そんな声で、あそこをきゅっと強請る様に締め付けられて、つい先ほどまで真っ白な童貞だった男が耐えられるはずもなく。

「っあ、はぁっ…… もうっ、むり……!」

 弾け飛ぶような快感に、秋は苑子の身体を無我夢中で抱きしめて射精した。



* *


 どくどくと、熱いものが勢いよく吐き出されているのが分かる。
 薄いゴム一枚でも、秋が大量の精液を出したのが分かるのだ。
 早く抜かなければ、と分かっていた。
 でも下半身が重く、だるくて仕方がない。
 痺れるような快感でハイソックスに包まれた足がぴくぴくと痙攣した。
 それでも狂おしいほど内側で荒ぶる疼きに、苑子のあそこがはくはくと口を開けてもっと激しい刺激を要求しようとする。
 そして射精したばかりの秋のそれが苑子の蠢きに反応し、また勃起しようとしていた。

「はやく…… ぬい、て」

 汗でびっしょりになりながら、苑子はもたれるように秋の胸に額を押し付ける。
 涙で霞む視界に、ぐちゃぐちゃになったシーツが映る。
 その上に散らばるものを、震える手で掴む。

「苑子、せんぱい」

 苑子の手が掴んだ物を目にした秋は目を見開き、言われた通り半ばまで抜いた自身の性器がまた硬くなるのが分かった。

「だめ、たりないの、まだ、いってないもんっ」

 ずるいと苑子が秋を睨む。
 その視線に含まれた甘さに秋は喉を上下させた。

「……ばかっ」

 一人だけ先にイくなんて、ずるい。

 咎めるように汗を滴らせるその太い首筋に、苑子は歯を立てた。



* * *


 苑子よりも先に果てた秋がもたもたと三個目のゴムを必死に付けようと奮闘するのをじれったい思いで見つめながら、苑子はちらっと上気した顔で扉の方を見た。

 そして、微かに目を見開き、瞬きをする。
 生理的な涙がぽろっと零れ、自然と口角が上がった。

 あまりにも秋のあれが激しくて、苑子もまた夢中になっていたせいで気づかなかったのだ。
 むしろ、忘れていたという方が正しい。

 二階には部屋が実質二つある。
 秋にも先ほど教えたのだが、緊張しすぎて苑子の部屋に入った途端にそのことを忘れたのだろう。
 もしくは興奮しすぎて、そんな些細なことなど気にする余裕もないのか。

『あの、こっちの部屋は?』

 苑子の部屋に入る前、秋は緊張を誤魔化すようにそう尋ねた。
 本人にとっては沈黙に陥らないための、他愛ない会話のつもりだったのだろうが。
 その気の利いた問いに苑子は内心で密かに嗤った。
 それを表情に出さないようにと、随分と苦労したものだ。

 そのとき我慢していた笑みがつい、浮かんでしまう。
 秋が慣れない装着に意識を向けていてくれて良かった。

『ああ、そっちは……』

 いくら苑子に惚れていても、さすがにこんなあくどい嘲笑を浮かべる様を見ては先ほどの興奮も冷めてしまうだろう。

『そっちは、妹の部屋』

 姉妹なのだ。
 部屋が近いのは極普通で、ありきたりな話だ。

 ただ、姉の部屋を覗き見することは普通ではないだろう。
 いくらわざとらしく鍵が開いていたとしても。
 廊下に響くほど、一階に届くほど、激しい音を立てたとしても。

「……っ!」

 にんまりと、嘲るように細められた苑子の視線と、よく似た瞳がぶつかる。
 広くはない部屋だ。
 その目に浮かぶ動揺も、嫉妬も、絶望も、目を凝らさなくとも分かる。

 視線を逸らすことなく、あられもない姿で寝そべったまま、苑子は汗で額に張り付く前髪をかきあげた。
 少しだけ、視界が明るくなった気がした。
 苑子の視線は扉のほんの僅かに空いた隙間に向けられている。
 耳をすませば第三者の吐息が聞こえそうだというのに、肝心の秋は苑子の誘いに応えることに必死で、まったく気づく気配がないのが可笑しかった。

 それにしても。

 一度視線に気づけば、どうして今まで気づかなかったのか不思議なほど、それは強く、粘つくようなどろどろとしたものだ。

 だからこそ、心地良い。

 ぞくぞくすると、苑子は更に唇を歪ませた。
 怖いほど、興奮する。
 言いようのない優越感が快感に変わるのが分かった。
 秋には悪いが、なんだかそれだけで達していしまいそうになる。

 いつから見ていたのか知らないが、安心してほしいと苑子は心の中で優しく見物人に語り掛けた。
 これからも、苑子と秋のやらしい行為はたくさん見られるのだ。
 苑子が飽きるまで、何度でも。
 目の前でとっても淫らでエッチなことをしてあげる、と。

 だから、安心して、と語り掛けようと思った。
 唇の動きだけでも、伝わればいいなぁ、と思ったのだが。

 苑子の唇はつい、挑発的なことを紡いでしまう。

「     ?」

 音にならないその囁きに、息を呑む音が聞こえた。
 漸く、ゴムを嵌めることに成功したらしい秋がほっと安堵のため息を吐き出すのとちょうど同じタイミングで。

 その間がいいのか悪いのか分からないタイミングに苑子はくすくすと笑った。
 嬉しそうに、勃起したものにゴムを被せて近づいて来る秋に、苑子は更に愉快な気持ちになった。

(……なにこれ、最高っ)

 この優越感は堪らない。

 本当、秋くんには悪いけど。
 セックスよりも、気持ちいいかもしれない。




* * *


 苑子の唇が誘う様に動く。
 恋人に散々吸われた、真っ赤に潤んだ唇が。


「の・ぞ・き?」


 お姉ちゃん、言ったよね?
 覗き見しちゃダメだって。

 後悔しても知らないんだから。

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