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第2章★為政者の品格★

★閑話4★「ケルベロス」

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リョウマ「菫? 眠れないのか? 夜は外にいると危ないぞ」

菫「リョウマ様? なぜこんなところに?」

リョウマ「今夜は赤騎士団が城の見張り担当だ。俺が見つけて良かったな。城の屋上なんかにいたら怪しまれる」

菫「お疲れ様です。その、星が綺麗で……」

リョウマ「星? ……ああ、本当に。満天の星空だ……」

菫「天界国から見る星は綺麗ですね。いい国だな……」


リョウマ「倭国も良い国だっただろう」 

菫「今は瓦礫の山ですよ」

リョウマ(倭国を壊滅に導いた天界国騎士団を、菫が恨んでいないはずがないな……)

菫「さて、そろそろ寝ようかな。赤騎士団長様に見つかっちゃったし」

リョウマ「そうしろ。俺は見張りを続ける」

菫「はい、いつも安全を提供して下さりありがとうございます。無理をせずがんばって下さいね」

リョウマ「……ああ」

リョウマ「……」

リョウマ「その、あと少しなら見ていていい」

菫「え?」

リョウマ「俺もいる」

菫「そう? 職務に支障は出ませんか?」

リョウマ「ふっ。大丈夫だ。お前はいつも人のことばかり心配しているな」

菫「そんなことないですけれど……あっ、流れ星! 見ました、リョウマ様?」

リョウマ「いや……」

菫「嘘でしょ、もったいない。結構長かったですよ」

リョウマ「そうか。でもお前の表情も星以上に移り変わるから、俺は見逃さないようにこっちを見ないといけない。星なんて見ている余裕はないんだ」

菫「……リョウマ様って、結構気障ですよね」

リョウマ「そうか? 初めて言われたが……」

菫「無自覚天然か……わたしはわりと計算してやっちゃうことが多いんですけれどね」

リョウマ「ああ。お前は計算ばかりだろうな。小悪魔菫」

菫「あら、言うようになりましたね。神界のケルベロスに昇格でしょうか」

リョウマ「いや……そう、ならないよう気を付ける。狼にもならない。あなたの忠犬でいるよう努める」

菫「あなたは天界国の忠犬でいて下さい。天界国民や仲間、部下のためにも」

リョウマ「いやだ……菫の犬がいい」

菫(ドMかな?)

菫(ああ……この人を裸にしたときもそんな感じの反応だったっけ)

リョウマ「……その、菫様?」

菫(おずおずと……可愛いな。多分わたしと……相性は抜群なんだろうな……)

菫「わたしは立場的に倭国のことを考え、行動しなければなりません。あなたを取り込むのは簡単そうですが、それによってあなたの立場が揺らぐのは、周りが不幸ですよ」

リョウマ「……あなたは合理主義ですね……」

菫「そう? まあ結構言われますけど」

リョウマ「そういうところも……たまらないです」

菫「自分勝手に感情を出すと、周りを振り回してしまう立場にいましたからね。それは気を付けるようにはしていました。だから、今のリョウマ様を見ていると可愛くて仕方がないです」

リョウマ「……そう、ですか」

菫「リョウマ様っていくつなの?」

リョウマ「25です」

菫「25歳? 割と若いんですね。28くらいかと思ってた」

リョウマ「……」

リョウマ(ここで女に年齢を聞くのも野暮なのか……? いや、菫様は普通に答えそうだが……)

菫「ふふ、気を遣っていますね。わたしは18です」

リョウマ「18歳?」

リョウマ(思った以上に若いな……肝が据わった態度取るから俺くらいかと思っていた)

菫「意外と若いでしょう。良く言われます。年取って見えるって」

リョウマ「あ、いや……。その、騎士団だとワタルと同い年か……」

菫「白騎士様か……」

リョウマ「あいつは……幼く見えるがな。少年に見える」

菫「わたし白騎士様と相性悪いから」

リョウマ「そうなのか?」

菫「どっちもドSでしょう」

リョウマ「くくっ、そうかもしれないな……」

菫「リョウマ様はドMですから、わたしと相性良さそうですよ」

リョウマ「え! いや……初めて言われたんだが……むしろSと言われ続けてきた」

菫「そうなの? この可愛い忠犬が? それは嘘でしょう」

リョウマ「嘘ではない……初めて会ったとき、あなたを叩いてしまった」

菫「ああ、物理的に……精神的にはMですよ、ワタルと違って可愛いもの」

リョウマ「そうか……」

菫「ほら、嬉しそう」

リョウマ「だってあなたに可愛いと言われた……」

菫「尻尾あったら今振ってそう」

リョウマ「……」

菫「突っ立ってないで座って見ましょうよ、星」

リョウマ「いや、職務中だしな」

菫「……おすわり」

リョウマ「…………わん」


☆終わり☆
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